飯塚高等学校(福岡)新チームは本気を共有できる【後編】
この夏ベスト16入りを果たした福岡県飯塚市にある飯塚高校。このチームは2年生が多くベンチ入りし、主力として活躍した。今回はその中でも吉田 幸彦監督が期待する4名の選手、そして吉田監督が絶賛する選手を紹介する。
天性のバッティングセンスを持つ選手とは?
片渕 一葵(飯塚)
今年のチームは2年生が多く活躍し、夏は2番~5番に2年生が任された。その中心選手が2番で、主将を務めた大塚 航(センター、176センチ71キロ 右投げ右打ち)、3番の野崎 雅旭(ライト 174センチ68キロ 右投げ左打ち)、4番の片渕 一葵(ファースト、サード 170センチ75キロ 右投げ右打ち)、5番の大坪 輝(ショート 176センチ64キロ 右投げ右打ち)の4人。吉田監督は「2番~5番まで目をつぶってでも経験させたわけですから、この子たちがもうワンランクアップして、あとそこに新しくメンバーに入る子が追随してレベルアップしていかなければならないですよね」と話す。今の飯塚の中心メンバーは誰が見てもこの4人だ。「この子たちが全員を引っ張ってもらいたいですね。さらには後輩たちにもその後姿を見せてほしいです」と吉田監督。
その中でも吉田監督が一目置く存在、それは4番の片渕だ。この片渕は波が少なく、常に打っているから調子を落とすことがない。いい状態を常に維持できる好バッターだ。「4打数0安打、5打数0安打とかということがないんです。必ず1本か2本は打ちます。ヒットの打ち方を知っているので、こういう球でこう打ったらヒットになる確率が高い、低いということを知っているのが片渕です」と吉田監督が絶賛。
さらにこう続ける。「彼はバッティングの天性のようなものを持っています。入ったときからミートが上手で勝負強さもある。今まで見てきてこれほど波がない子は珍しいなと。こういう子が5人くらい揃えば打撃力、得点力を含めて上がると思うんですけどね」。
4選手に共通する想い
左から大塚、野崎、片渕、大坪(飯塚)
その4選手はどのような意識で練習に取り組み、そしてどのようなことを考えて打席に立っているのか。まずこの4人に共通している想い、それは「選抜が確定の九州で一番になって、神宮大会に出たい」ということだ。吉田監督も「このチームは夏に甲子園というよりは春に甲子園というのが頭にあります」と教えてくれた。
それぞれが意識していることも聞いてみた。2番の大塚 航は「3人よりも先に打順が回ってくるので、3,4,5番に回したいと思っています」。3番の野崎 雅旭は「1,2番が塁に出て、しっかり返す役目なので長打で返すことを意識しています」と語ると、吉田監督絶賛の片渕は「自分が4番なのでチャンスで回ってきたら全部返す気持ちで取り組んでいます」。そして5番の大坪は「自分は3人が打った後なので、溜まっているランナーを絶対に返してやろうという気持ちで打席に立っています」と話した。
インタビューして分かったことはこの4人はそれぞれしっかり役目を把握しているということだ。2番から5番の役目をそれぞれが自覚している。この先、経験を積んできたこの4人がどれだけチームを引っ張っていけるか、そしてチーム全体でレベルアップできるのか。何が何でも秋の九州を制し、神宮大会に出場し、選抜で暴れる飯塚の姿に期待したい。
[page_break:注目の4選手によるリラックストーク]注目の4選手によるリラックストーク
左から大塚、野崎、片渕、大坪(飯塚)
――憧れの選手はいますか?
大塚:敦賀気比にいた林中 勇輝選手。体は細いんですけど、遠くに飛ばす力があるところです。
野崎:大阪桐蔭の藤原 恭大外野手です!
片渕:中田 翔選手(日本ハム)です。
大坪:柳田 悠岐選手(ソフトバンク)です!
――対戦したい高校はありますか?
大塚:大阪桐蔭と対戦したいです。
野崎:秀岳館です。
片渕:甲子園にでた東筑です。石田 旭昇選手と対戦したいです。
大坪:鹿児島実業です!
――ムードメーカーはいますか?
大塚:古谷 大地です。
野崎、片渕、大坪:大塚です。
――最後に活躍を誓う4選手は周りへの感謝の言葉をお願いします。
大塚「お父さん、お母さんありがとう」
野崎「3年生今までありがとうございました」
片渕「お父さん、お母さん大好きな野球をさせてくれてありがとう」
大坪「家族の皆さん、野球をさせてくれてありがとう」
選手のみなさん、吉田監督、ありがとうございました!
(取材・文=田中 実)