目次

[1]全てが変わった関東遠征!そして秋優勝
[2]熊本工高校との戦い。僕らは未完成ゆえに伸びしろがまだある
[3]常に「上には上がいる」ことを忘れずに

 昨秋、初めて新人中央大会を制し、県大会へ向けて手ごたえを掴んだ美来工科前編では新人中央大会までを振り返っていただいた。そして、さらなるレベルアップを遂げるため美来工科は関東遠征を行う。そこで彼らは何を得たのだろうか。

全てが変わった関東遠征!そして秋優勝

主将・神山 諒介選手(県立美来工科高等学校)

 新人中央大会を制した美来工科は、そこで立ち止まろうとしなかった。次なる手は関東の強豪校の胸を借りることだった。

眞玉橋 元博監督:関東遠征が大きかったです。もしもあのとき関東遠征へ行かず、ここでやっていたらおそらく痛い目に遭わず、秋へ入っていたのかなと。多分、沖縄尚学興南とも秋の大会前には組まなかった(どちらも強いので、秋で当たる可能性が強い)だろうし。かといって他校とやって、何となく抑えちゃったら選手は勘違いしちゃってただろうし。

 遠征で対戦したのは日大三関東一都立日野といった都内上位のチームばかりだった。日大三の印象について「甲子園で何度も勝っているチーム。名前に構えちゃいました」と振り返れば、山内 慧は「どこに投げても打たれそうな雰囲気しかなくて体格も良いし、打球の速さが違う」と圧倒されたという。しかしマスクをかぶっていた神山 諒介主将は「打たれましたけど、このコースに投げれば打たれないんだなということをマスクを通して感じることが出来た」と、山内の球でもコースを突けば通用することを知る。

 眞玉橋監督はこの遠征中、それまでカットボールとSFFのみだった山内にもう一つ、球種を増やそうと声を掛けた。指揮官は山内が緩急のあるピッチングを身に着ければ、秋も十分戦えると踏んでいた。その結果、山内は緩いカーブを使い、秋を勝ち抜いていく。遠征の糧は山内だけではない。打線も日大三関東一都立日野などレベルの高いピッチャーと対戦したことで、低めの球を見極めないと勝てないことを痛感。また好球必打でいかないと、見逃してしまった甘い球はもう来ないということを体感した。これこそが、新人大会を制しても自信がわいてこなかった指揮官の思いであり、選手たちにとって必要だった課題が見つかった瞬間だった。

 秋の開幕まで二週間ほどの時間しかなかったが、美来工科には追い風が吹いてもいた。第一シードは参加全61校中一番最後の登場となる2回戦から。開幕戦のチームに比べると一週間の猶予が与えられていた。2回戦をコールドで快勝すると3回戦の名護とのゲームでは再びサヨナラ勝利。試合の中でもカーブを要求していた神山 諒介は、準決勝那覇戦で「確実に使える」と確信。決勝戦はもうひとつの雄、興南との決戦であったが6回二死無走者から四球二つを挟みながら4連打を集めて逆転に成功。山内も興南打線を牛耳り見事新人・秋季の2冠を達成したのだった。