第387回 県立奥越明成高等学校(福井)「少人数の雑草軍団が夏に強くなる理由」2016年10月27日

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[1]夏に強い。奥越明成の戦績
[2]「チーム作りは人間作り」の信念でコールド負けのスタートから2度のベスト4入りへ
[3]メンタル強化と体重アップで夏はベスト4以上を目指す

 この夏、福井大会でベスト4に進出した奥越明成。なぜこのチームが注目されるのかというと、3学年で20人台という小世帯のチームの中、毎年上位に勝ち進んでいるチームだからだ。この夏も、ベスト4。なぜこのチームが福井県でも上位に進出するチームになれるのか…。その背景を知るべく大野市にあるグラウンドを伺った。

夏に強い。奥越明成の戦績

キャプテン・寺島 海渡選手(県立奥越明成高等学校)

 「センター空けといていいですか?」

 過去4年で2度、夏の福井でベスト4入りを果たした奥越明成の練習中、ノックが始まる前に選手が監督に確認した事柄はとても今夏に3勝を挙げたチームとは思えないものだった。10人いた3年生が引退し現在の部員数は13人。しかもその内2人は中学まで野球経験無し。この日、センターの選手が病院に行っていたため誰も守る選手がいなかった。

 結局、レフト兼ピッチャーの選手がセンターに入ったが、ほとんどのポジションで守備に就くのは1人だけ。この状況下で主力を怪我で欠こうものならダメージはかなり大きい。実際、新チームは8月末の練習試合でショートを守るキャプテンの寺島 海渡(2年)がシートノックで右足の靭帯を切り戦線を離脱すると、はリードする展開の試合を逃げ切れず1回戦で姿を消した。

「まだ“チーム”になっていないようなチーム。夏に向けて1年かけてチームを作るんです。よく雑草集団という言葉を使う人がいますけど、うちがまさにそうで、上の学年が人間的に成長して引っ張ってくれるんで夏に戦えるようになるんかな」とは勝矢 吉弘監督。

 単独チームとしては2012年秋からと歴史の浅い奥越明成はここまで公式戦22試合を戦い戦績は9勝13敗。まだ強豪と呼ばれるほどの実績は無いが、この22試合を季節別に並べ替えるとその評価は一変する。

春  2勝4敗
夏  6勝4敗
秋  1勝5敗

 夏に強いことが分かる。この夏も昨秋の練習試合で対戦した際に0対18でボロ負けしていた美方と準々決勝でぶつかると4対0で撃破。昨秋は投手陣は4発の本塁打を浴び、打線は相手エースが1イニングしか投げていないにもかかわらず沈黙していた。それが8ヶ月後には見事リベンジに成功、2014年夏に並ぶベスト4に進出した。4年で準決勝に2度進出と第三者目線からは着実に進んでいるように見えるが、その始まりは手も足も出ないままの5回コールド負けからだった。

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奥越明成 【高校別データ】

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プロフィール

小中 翔太
小中 翔太
  • 1988年大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。主なWebの寄稿は高校野球ドットコム。また、野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビやYahoo!ニュースにも寄稿する。大阪、京都を中心に関西の球場に出没中。
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