第8回 「長距離走は必要?」元プロ日体大コーチが語る投手の基礎体力の重要性と練習メニュー vol.22021年01月14日
【目次】
[1]選手、指導者、トレーナーの三者でコミュニケーションを取ることが大切
[2]練習が出来るための基礎体力を作っておく
12月に入り、高校野球は一斉に対外試合禁止期間へと入った。解禁される2021年3月6日まで、各チームは体作りや基本練習を中心に過ごすことになり夏の飛躍に向けて非常に大事な期間となる。
今回はそんなオフシーズンに是非行いたいトレーニングや基本練習を、アマチュア球界で定評のある指導者に伺っていった。中学、高校球児に皆さんには是非参考にして欲しい。
第2回目となる今回も日本体育大学の辻孟彦投手コーチにお話を伺っていく。プロ野球選手時代の経験、大学院体育科学研究科での知識を活かして、松本 航(西武)、東妻 勇輔(ロッテ)、吉田 大喜(ヤクルト)、森 博人(中日2位)といった投手をプロに輩出した辻コーチ。
今回は「大学野球までにここまでは抑えて欲しい基礎体力・基本技術」をテーマにお話をいただき、日本体育大で行っている練習メニューも教えていただいた。
vol.1はこちらから!
松本航、東妻勇輔ら3年間で4人の大卒プロ投手を輩出した投手王国・日体大が実践する投手トレーニング vol1
選手、指導者、トレーナーの三者でコミュニケーションを取ることが大切

日本体育大・辻孟彦コーチ
「大学野球までにここまでは抑えて欲しい基礎体力・基本技術」
このテーマに対して、辻コーチがまず挙げたのが肩、肘の怪我をしていないことだ。高校時代に我慢や無理をして大学入学後に怪我が発覚し、1、2年を棒に振るケースをこれまで辻コーチは何人も見てきた。早い段階での申告、医療機関での治療を行うことが、その後の野球人生を大切にできる。
「一生懸命やって怪我するのはしょうがないです。その後に大事なのは専門家に診ていただいて原因を明らかにし、治療やリハビリをしっかり行うことです。もし気になるところがあるのであれば、早く正直に言ってちゃんとした医療機関で診てもらって治療することをオススメします」
現在は球数制限による、故障の防止策も設けられているが、球数を制限すること以上に「どんな投手なのか」を見極めることが大事だと辻コーチは力説する。フォームも一人ひとり違えば球速も違う。また球速の速さでも肩肘にかかる負担も変わってくるため、どんなフォームで何球を投げるべきかを選手、指導者、可能であればそこにトレーナーも加えて三者でコミュニケーションを取っていくことが大切だ。
「100球投げて怪我する選手もいれば、100球投げても怪我しない選手もいます。コミュニケーションを取りながら、できれば定期的に専門家やトレーナーに見てもらって選手とトレーナーと指導者とでコミュニケーションが取れれば、防げる怪我も多いのではないかと思っています。特に高校生は素直に言わずに無理することも多いと聞きます。普段の球数からしっかりとコミュニケーションを取って行くことが大事です」
辻コーチ自身、高校時代は肘の靱帯損傷により約1年半のリハビリ生活を送った。その経験から大学時代では、小さな違和感も見逃さないことを心掛け、練習、試合に関わらず常に無駄なボールを投げないことを意識してきた。
大学4年春のリーグ戦では14試合中13試合に登板し、リーグ新記録の10勝、リーグタイ記録の5完封を記録して通算20回目の優勝の原動力となったが、予め登板数が多くなることを想定してキャンプ期間中から準備をしていたと話す。
「当時はベンチ入りメンバーに下級生も多く、僕が多く投げないと勝てないと監督からも言われていました。6、7勝するつもりで1日100球を10日間投げるなど、対策していたことがあの結果に繋がったと思います。
あと僕の場合は球速が140キロ前後で、変化球でゴロを打たせるタイプの投手だったことも幸いしました。150キロ近いボールを投げる投手があれをやってしまうと、肘への負担も大きく最後まで持たなかったと思います」
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