手束仁の 都立片倉高校野球部岐阜県遠征同行日記

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第4回 手束仁の都立片倉高校野球部岐阜県遠征同行日記 ~第一日目~2013年08月24日

【目次】
第一日目:8月2日(金) 第二日目:8月3日(土) 第三日目:8月4日(日)

宿泊先に到着した片倉高校野球部

宿泊先に到着した片倉高校野球部

 新チームが始動してすぐの8月の最初の週。昨夏の西東京大会ベスト4進出という実績を持つ都立片倉は、恒例となっている岐阜県遠征を実施した。この夏は、初戦で敗退したということもあって、新チームのスタートも早く、宮本秀樹監督としても、「今までにないくらいに早い仕上がりを感じているけれども、今年は国体(東京開催)の関係もあって、ブロック予選の開催がいつもより早いから、丁度いいのかもしれない」という思いであった。

 そんな思いの宮本監督だけに、この遠征では岐阜県の有力校相手の遠征では、その手ごたえを確認したいという思いで向かった。

第一日目:8月2日(金)

 朝6時に八王子市の都立片倉高校出発という日程で始まる岐阜県遠征。今回、ボクもその2泊3日の遠征試合合宿に同行させていただくこととなった。5時半頃から、選手たちは三々五々集まってきていた。親の車や自転車など、それぞれの手段で、早朝集合にとにかく間に合わせようという気持ちである。つまり、この遠征はここからスタートするのである。誰一人遅刻者がなく、マネージャーの点呼確認もスムーズで、まずは上々の出発だった。

 間にドライブインで、20分の休憩を入れて、岐阜県中津川市へ向かったが、10時半過ぎには中津川公園夜明け前スタジアムに到着した。 夜明け前スタジアムという名称は、中津川市が合併などによって市に昇格した際に、「子どもたちに夢を与えられるような新しい野球場の名称」として公募された。市民などから181通の応募があり、その中から、文豪島崎藤村の出身地である馬篭町も近いということもあって、藤村の代表作『夜明け前』から命名されたものである。これが、当初の目的の意図を反映しているのかどうかはともかく、こうして「夜明け前スタジアム」という名称が決まったのである。 都立片倉の選手たちは、夜明け前とは言わないまでも、夜明け頃から準備して、この地へ向かってきたのである。

夜明け前スタジアム 試合風景

夜明け前スタジアム 試合風景

 待ち受けていてくれたのは中津商である。中津商は、この夏のメンバーが大半残ったということもあって、鍵谷英一郎監督は、この秋は確実にブロック大会を勝ち上がって、県大会に進出していくということを第一目標としている。チームとしても、シートノックを見ても、きちんと練習を積んできているという印象を強く与えてくれた堅実な感じのチームである。

 夜明け前スタジアムは両翼100mで中堅は120mでフェンスも高い。鍵谷監督は、「ここの球場が出来てから、相手チームはともかく、自分のところのチームでホームランは見たことがないですねぇ」と苦笑する。それくらいに本塁打の出にくい球場である。というか、広い球場なのだ。

中津商  001 101 100=4
都立片倉 000 000 030=3

都立片倉 000 000 104=5
中津商  001 001 000=2

 中津商は、夏の大会のメンバーが大半残っているだけに、この時期ではあるがチームとしての完成度は高い。投手の片田君も夏も背番号1をつけて投げていたという。ただ、そんなに連打を浴びるというタイプではないが、夏は四球でリズムを崩してしまっていただけに、投球のリズムを崩さないということが課題だったという。そんな片田君に対して、片倉打線は7回までは5番石井君以外はなかなか捉えきれていなかった。やっと8回に、一死から安打を集中し、4番の長島君の左中間二塁打や、この日は当たっている石井君も左中間へ持っていって1点差とした。

 そして、都立片倉の投手としては宮本監督が、「この遠征で何とか投げられるという目処をつけたいと思っている」という1年生の矢ケ崎君が、4回途中から粘りの投球をしていた左腕の馬場君が登板。8、9回はストレートも伸びがよく決まり、ピシャリと抑えて宮本監督の期待に応えた。


 試合そのものは、1試合目は中津商が逃げ切り、チームとしての完成度の高さを示した。しかし、次の試合では都立片倉が9回に相手投手の死四球から逆転。両チームともに、改めて四死球が試合の流れを変えてしまうということを実感したのではないだろうか。試合を終えるとすぐに、宿舎としている岐阜市の長良川スポーツセミナーハウスに向かった。中津川公園からは、バスで1時間半近くかかった。「岐阜県は広いなぁ」と思わされた。

 18時過ぎに宿泊地に到着すると、荷物をおろして入口ロビーで、すぐに入室のオリエンテーリングだ。夕食の予定時刻が19時ということなので、とにかく慌ただしい。施設のルールを説明されると、各自が割り当てられた部屋へ行き、すぐに食事に向かう。部屋は1部屋に6~7人となっている。時間の都合で、入浴は食事の後ということになった。他のスポーツ団体も多く宿泊していて、岐阜県中学野球選抜チームや新体操のチーム、さらには掛川少年サッカーチームに近大新宮野球部に女子バスケットの強豪倉敷翠松もいたりして、ごった返している。 そんな食事を終えると、入浴タイムとなり、9時15分からロビー脇でミーティング、そして10時消灯と長くて慌ただしい一日が過ぎていった。

(文・写真=手束 仁

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中津商 【高校別データ】

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
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