Column

2015年ドラフト候補特集(高校生)西日本編「小川、高橋奎、永谷などの甲子園経験者が一歩リード!」

2014.12.03

 次は西日本の逸材をピックアップ。今年は甲子園経験者がリードする年となっていくのではないだろうか。

小川、高橋奎、永谷の3投手がトップを走る

小川良憲、高橋奎二、永谷暢章

 次は西日本地区をピックアップしたい。2年生ながら甲子園に出場した投手が多く、ドラフト候補という観点で見れば、小川 良憲近江)、高橋 奎二龍谷大平安)、永谷 暢章履正社) の3人が有力だろう。

 小川はこの夏の甲子園でブレイクした右サイドハンド。肩甲骨が柔らかく、テイクバックを大きく取ったフォームからの常時140キロ前半の速球、打者の手元で鋭く曲がる小さなスライダー、ツーシームを自在に投げ分け、コーナーワークを存分に活かしている投球には見応えがある。

 ただ近畿大会では状態を落としているのが気になったが、来年にかけて、速球のスピードアップや、さらに投球の引き出しが増えていけば、面白い。プロなど高いレベルで活躍する右サイドはいかに打者から嫌がれる投球が出来るか。

 今年、BFAアジア選手権で日本代表を苦しめた(試合レポート)韓国代表のエースであるオム・サムベクという投手がいるが、彼は140キロ~145キロの速球に、キレのあるスライダー、シンカーで自在に投げ分け、高校生とは思えない完成度を持った投手だった。小川は彼のような完成度までを目指せる投手だけに、一冬超えて、どこまで進化しているか注目したい。

 高橋は、小川 泰弘(東京ヤクルト)を彷彿とさせるような投球フォームで、140キロ前半の速球、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる投球の完成度は、来年の高校生左腕の中では最も高い。だた高橋も小川と同じく近畿大会では不調気味だった。高橋の根幹である投球フォームのバランスを崩し、やや突っ込みがちのフォームになっていた。
来年は有力的な高校生左腕は非常に少ない。高校生左腕はいつでも需要があるだけに、高橋にとってはかなりチャンスがあると考えられる。ぜひプロを目指し、取り組んでいってほしい。

 永谷は上体を反りあげるフォームから繰り出す145キロ前後の速球、落差のあるスライダーを武器にする速球派右腕。スケールの高さでいえば、来年度の高校生を代表する右腕だ。課題はいかに投球の引き出しを増やしていけるか。夏の大阪大会準決勝大阪桐蔭戦で1回KOと悔しい経験をした永谷。ここから一回り成長を遂げることが出来るかに注目したい。

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[page_break:伸びのある直球を投げ込む坂口大誠に注目]

伸びのある直球を投げ込む坂口大誠に注目

坂口大誠(奈良大附)
130キロ後半ながらキレのある速球を投げ込む

 坂口 大誠奈良大附)は、右オーバーから繰り出す速球は130キロ後半だが、手元に非常に伸びのある速球を投げ込む投手だ。この球質のまま、140キロ台まで速くなっていけば面白い。まだスライダー、カーブと球種は少ないが、素質の高さは前述した3人の投手に負けていない。

 他では、1年秋からマウンドを踏み、135キロ前後の速球、多彩な変化球を駆使する技巧派左腕・齋藤 祐太(智弁和歌山)、130キロ後半の速球を投げ込むサイドハンド・玉田 琢磨京都翔英)、そして玉田に続く2番手として期待され、140キロ近い速球を投げ込む三田村 博京都翔英)も面白い存在だ。

 古都 成輝須磨学園)は最速140キロの速球に加え、キレのある変化球をコントロール良く投げ分ける右腕。また近畿大会出場の津名のエース・潮崎 彰成も、140キロ近い速球を投げ込む投手だ。

 夏の岡山大会で最速142キロを計測し、4種類の変化球をコントロール良く投げ分ける実戦派右腕・小畠 空興譲館)にも注目したい。また、中国大会4強に導いた高橋 晟一朗米子北)は、135キロ前後ながら勢いある直球を投げ込む。春季中国大会に出場した川上 遥鳥取西)は最速138キロを計測。肩、ひじが柔らかく、フォームの土台も良いが、夏、秋ともに県大会初戦敗退。西日本でこれほどの好素材の投手は少なく、一冬であっと驚かす成長を見せてもらいたい。

 甲子園に登板し、180センチの長身から角度ある速球を投げ込んだ西口 ひかる坂出商)、右スリークォーターから140キロ前後の速球を武器にする石場 匠(長崎海星)、140キロ台を計測する内間 敦也コザ)、恵まれた体格から140キロ台の速球を投げ込む前田 敬太中部商)にも注目だ。

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[page_break:全国制覇の大阪桐蔭は6年連続のプロ入り輩出はなるか]

全国制覇の大阪桐蔭は6年連続のプロ入り輩出はなるか

青柳昂樹(大阪桐蔭)

 打者では、この夏全国優勝した大阪桐蔭から3人の野手に注目したい。青柳 昂樹福田 光輝藤井 健平だ。青柳は走攻守三拍子揃った選手で、秋季大会決勝のPL学園戦(試合レポート)では1本塁打4安打と大当たり。さらに打撃面をレベルアップし、存在感を示したい。

 福田は守備範囲が広い守備に加え、広角に打ち分けるバットコントロールの高さが魅力の遊撃手。藤井は鋭いバットスイングが特徴で、大阪桐蔭の打者の中では最もパンチ力の高さを感じさせる選手だ。大阪桐蔭は2010年~2014年まで5年連続で高卒プロ入りを果たしているが、6年続けることはできるか。

 また廣岡 大志(智弁学園)も注目の逸材だ。夏の甲子園では岸 潤一郎明徳義塾2013年インタビュー2014年インタビューから本塁打。140キロ台の速球についていける目の良さ、スイングスピードの速さが魅力。打撃のポテンシャルの高さは、トップクラスだ。

 奈良県では長打力のある坂口 漠弥、俊足の舩曳 海の天理の両コンビに注目。遠くへ飛ばす能力が高い池 智也近江兄弟社)、向井 拓関西中央)は長打力と確実性を兼ね備えたスラッガーだ。強打者が揃う智弁和歌山からは左のスラッガー・山本 龍河と右のスラッガー・春野 航輝に注目だ。山本はどんな投手でも恐れないフルスイング、春野はどっしりとした構えから、好投手に対してもボールを見極め、打ち崩すことが出来る打撃技術の高さに注目だ。高卒プロを狙うつもりで、持ち前の打撃を磨きながら、走塁、守備も高めていきたい。同じ和歌山県では黒瀬 健太初芝橋本)の長打力も必見だ。
 

 中国地区では強打、スピード、アグレッシブな遊撃守備を兼ね備えた田邨 光開星)、強打強肩の外野手・徳田 夕希也岡山理大附)、長打力、ミート力を兼ね備えた大型二塁手・川本 拓歩岩国)の3人に注目。
四国地区では184センチ86キロと恵まれた体格を生かした打撃が魅力の藤原 睦来今治西)、投打で高いセンスを秘める杉内 洸貴今治西)が魅力だ。

 九州地区では福岡を代表する大型捕手・河野 真哉東福岡)、また元ロッテの監督・山本 功児氏の息子である山本 武白志は巧打者だった父とは違い、長打力抜群の逸材で、父に続き、プロ入りの可能性を持った逸材だ。今年の選抜で本塁打を放った山本 卓弥神村学園)は、無駄が少なく、力強さを備えた打撃フォームに加え、守備力の高い外野守備を兼ね備えた大型外野手で、このまま打撃、守備ともにスケールアップすれば、九州トップクラスの評価を受ける選手になるだろう。

 
 池間 誉人糸満)は、抜群の身体能力を生かしたアグレッシブな守備が持ち味の好ショートストップだ。

 西日本は東日本に比べると出てくる選手の名前が少ないが、春季大会で新たに多くの選手が出てくるだろう。来年、どんな選手が出てくるのか、心待ちにしたい。

 (文=編集部 河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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