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2011年度版 高校生ドラフト特集(下)

2011.10.23

2011年度版 高校生ドラフト特集(下)

第4回 2011年度版 高校生ドラフト特集(下)2011年10月23日

野球ファンにとって待ち遠しいドラフト会議が、いよいよ10月27日に開催される。今年は、震災の影響もあってイベントの開催日程などが目まぐるしく変わる中、CS、都市対抗など野球界も慌しい一年となっている。今回は、ドラフト会議において、どの選手がどの位置でドラフト指名されるのだろうかということを予想していきたい。また、普段プロ野球に目を向けながらも高校生についてはあまり知らないという方にもこのコラムを通して興味を持っていただければ幸いです。

■ 2011 高校生ドラフト指名 中位~下位候補一覧

中位~下位は4位以降の指名となる。ここからは球団の戦略・目利き勝負となる。中位以降の指名が予想される選手たちも上位候補に見劣りしない能力を持った選手も多い。中位~下位で指名が予想される主な選手を列挙してみた。

投手 西川 健太郎星陵)右右
伊藤 拓郎帝京)右右
北方 悠誠唐津商)右右
水原 浩登関西)右右
松田 遼馬波佐見)右右
山崎 正衛近大高専)右右
歳内 宏明聖光学院)右右
田中 優貴丹生)左左 
戸田 隆矢樟南)左左
笛田 怜平鹿児島南)右右
内野手 渡辺 雄貴関西)右右
外野手 釜元 豪西陵)右左
北川 倫太郎明徳義塾)右左 
石川 慎吾東大阪大柏原)右右

ドラフト上位指名候補はこちら


中位候補 ~投手編~

伊藤拓郎(帝京)

西川健太郎星陵)は、釜田佳直と共に注目を浴びてきた本格派右腕。最速147キロのストレートにスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、制球力も安定。フォームの完成度も高く、知名度は低いが、多くの球団に注目されている逸材だ。

 1年夏の甲子園で、1年生としては最速の148キロをマークした伊藤拓郎帝京)。それ以降はフォームを崩し、伸び悩んだが、最後の夏でフォームに安定性に生まれ、投球術も上手くなった。1年夏のような140キロ台後半を連発する投手ではなくなったが、実戦的な投手に成長を遂げた。しかしながら、まだ波があり、試合では独り相撲をすることもあったが、伸びしろは十分にある。

今年の高校生の中で、最も速いストレートを投げたのが北方悠誠唐津商)。常時150キロを投げる馬力は、この世代の中でもおそらくナンバーワンではないか。140キロ台を記録するカットボール、縦のスライダーのキレも抜群で、一つ一つのボールの凄味も文句なし。しかしながら、時折みせる制球力の大きな乱れは、常にフルカウントと満塁を覚悟しなければならない。だが、彼をプロ仕様に育てることが出来れば大きな戦力になることは間違いない。

水原浩登関西)の投手としての完成度は、今年の高校生右腕の中でも随一。選抜までは堅田裕太の後ろに隠れていたが、感性の光る投球と引き出しの多さが光っていた。今夏では、ストレートの威力も向上し、さらに引き出しを増やしたことで、選抜準優勝の九州国際大付に完投勝利し、チームをベスト4に導いた。一時は野手専念も考えたものの、国体終了後に投手転向を決意。将来的には、投球術を売りにした先発投手に育つ可能性が高い。


松田遼馬(波佐見)

松田遼馬波佐見)は、躍動感溢れる投球フォームから伸びのあるストレートで打者をねじ伏せる投球スタイルが身上。馬力で押す投球スタイル故に投球術に課題も残す。

山崎正衛近大高専)は、191センチ85キロという恵まれた体格を誇りながら、バランスが良いのが最大の長所。角度のあるストレートは最速147キロを計測。まだ細かい修正点など課題を残しており、未完の大器といったところだが、その素材が開花した時には計り知れない楽しみが待っている。その可能性を買って、中位で指名する球団もあるかもしれない。

歳内宏明聖光学院)は、高校生屈指のスプリッタ―。課題であったストレートのスピード・球威をレベルアップさせたことは大きい。エラーが出ても表情に出さず、淡々と投げられる精神的な強さを売りで、将来的にみてもセットアッパー候補だろう。

 北信越屈指の左腕として評判だったのが田中優貴丹生)。左腕からキレのあるストレートとカーブを投げ分ける本格派左腕。同じく全国屈指の左腕になりうる存在であった戸田隆矢樟南)は、最後の夏に調子を崩し、評価を下げたという声も聞かれる。それでもポテンシャルは上位投手にひけをとらないものがあり、楽しみな素材でることは間違いない。

全国的には無名なものの素材として上位にひけをとらないものをもっているのが、笛田怜平鹿児島南)である。187センチ70キロという細身から投げ込むストレートは145キロに達するといわれる。


中位候補 ~野手編~

北川倫太郎(明徳義塾)

渡辺雄貴関西)は、さらに攻守の技術を高め、高校生屈指の内野手に成長した。強靭なリストを活かした打撃と安定感が増した守備は魅力的で、身体能力も高く、プロで仕込みたいと思わせる選手だ。

ここのところ、評価が急上昇しているのが釜元豪西陵)だ。走攻守三拍子揃ったプレースタイルで、今夏の長崎大会では打率5割を記録したバットコントロールの持ち主。波佐見松田遼馬から2安打2打点を記録した打力は本物であろう。

北川倫太郎明徳義塾)は、火を噴くような打球の速さが売りであるが、打球が上がらないことが課題でもあった。

しかし、今夏に2試合連続本塁打を記録し、アジアAAA野球選手権では、いつもの豪快な打撃と一転して柔らかい打撃も披露した。そして木製バットの順応力の高さも示していた。課題であった守備と走塁のレベルも高まっており、打てる左打者が不在な球団は頭に入れるべき選手であろう。

石川慎吾東大阪大柏原)は、身体能力抜群の外野手。技術的にはまだ粗いところもあるが、徹底的に育て上げれば、勝負強さを兼備する中距離打者として育つ可能性がありそうだ。


下位候補

駒月仁人(塔南)

下位候補は、最速144キロを誇る北のドクターK・金沢一希旭川龍谷)、2年生から素材の高さを評価されてきた左腕の横山雄哉山形中央)、日本人離れのパワーを活かしたピッチングが売りの佐村トラヴィス幹久浦添商)、高校生離れした馬力を誇り将来的に150キロが期待される森和樹市立柏)、186センチの長身から威力のあるストレートと切れのあるスライダーを投げ込む川崎貴弘(津東)、最速145キロのストレートを武器にするサウスポー・浜田一輝(箕面東)、速球派アンダーハンドの青柳晃洋川崎工科)もマークしたい逸材だ。

他校から再入学した浜田は、高野連の規定により2年秋を終えて公式戦が終了している。その後は、手を抜かず黙々とトレーニングを積んできた。今シーズンの公式戦でアピールする機会がなかったが、注目度と将来性が高い投手である。
速球派アンダーハンドの青柳は、今夏、神奈川大会初戦の横浜隼人戦で完投勝利を挙げている。「高卒でプロへ行きたい。その覚悟は出来ています」ときっぱりと言い切った強烈なプロ志望を持つだけに是非注目したい。

捕手では、ディフェンス力の高さが光る駒月仁人塔南)、内野手では小柄ながら身体能力抜群の桑原将志福知山成美)、選抜で2本塁打を放った九州国際大付のエース三好匠、抜群の打撃センスを誇る西田直斗大阪桐蔭)、投手として140キロ台後半の速球を操り、野手としてもリストの利いた打撃が光る永江恭平海星)、東海大相模とのOP戦でバックスクリーン右の幻の本塁打(3回途中で降雨によりノーゲーム)を放った熊本県屈指のスラッガーの稲倉大輝熊本国府)走攻守三拍子揃った坂口湧希神村学園)なども押さえておきたい。

以上、指名が予想される高校生のドラフト候補を取り上げてみた。上記の選手を押さえることができれば、さらにドラフトを楽しめることができるはず。
続いて大学生を取り上げたい。

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(文=編集部河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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