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2011年度版 高校生ドラフト特集(上)

2011.10.22

2011年度版 高校生ドラフト特集(上)

第4回 2011年度版 高校生ドラフト特集(上)2011年10月22日

野球ファンにとって待ち遠しいドラフト会議が、いよいよ10月27日に開催される。今年は、震災の影響もあってイベントの開催日程などが目まぐるしく変わる中、CS、都市対抗など野球界も慌しい一年となっている。今回は、ドラフト会議において、どの選手がどの位置でドラフト指名されるのだろうかということを予想していきたい。また、普段プロ野球に目を向けながらも高校生についてはあまり知らないという方にもこのコラムを通して興味を持っていただければ幸いです。

■ 2011 高校生ドラフト指名 上位候補一覧

一般的にドラフト3位以内が上位候補ということになる。
ドラフト3位以内が狙える選手をポジション別に列挙してみた。

投手 釜田 佳直(石川金沢)右右 
武田 翔太宮崎日大)右右
吉本 祥二足立学園)右右
上沢 直之専大松戸)右右
松本 竜也英明)左左
今村 信貴太成学院大高)左左
捕手 高城 俊人九州国際大付)右右
内野手 高橋 周平東海大甲府)右左
松本 剛帝京)右右
白根 尚貴開星)右右
外野手 川上 竜平光星学院)右右

上位候補 ~投手編~

釜田佳直(金沢)

今年の高校生右腕で、総合力ナンバーワンといえるのが、石川金沢の釜田佳直だろう。150キロを超えるストレートがありながらクレバーさを兼ね備えた投手である。普段の球速は140キロ台中盤。しかし、要所で150キロ台のストレートで勝負できる技術があり、スライダー、カットボール、ツーシーム、縦スライダーと球種を増やし、高校生としては極めてレベルの高い右腕に成長を遂げた。また、向上心が高く、人間性もしっかりしており、自らの力で素質を伸ばしていける力もある。1年目の後半から一軍の登板が期待できる投手であり、2年目~3年目にローテーションを担う投手に成長する可能性も高い。将来のエース候補を確保したい球団は、単独で獲りに行きたいところだ。

西日本でナンバーワンの素材と評価されるのが、武田翔太宮崎日大)である。189センチの長身を活かした140キロ台の速球、角度の高さ、制球力、変化球のキレは、スカウト陣の間でもハイレベルと評判である。スカウト陣の評判が高いようにその将来性を見込んで上位指名される可能性が高い。

東日本でナンバーワンの素材と評価されるのが、吉本祥二足立学園)である。186センチの長身から振り下す角度のある140キロ台の球筋。肘の柔らかさと体重移動が優れたフォームには大きな魅力があり、線の細さを解消し、肉体面での成長が見えれば150キロ台という大台も突破できるだろう。
ただ、現段階では実戦力に大きく欠けるところがあり、まさに未完の大器という表現がぴったりな投手である。


上沢直之(専大松戸)

唐川二世と評されている上沢直之専大松戸)も面白い。綺麗な投球フォームは、踏み出し、体重移動、左腕の使い方が唐川と酷似している。球速的には140キロ前後だが、角度やキレを兼ね備え、多彩な変化球を投げ分けるなどバランスが取れている好右腕だ。

高校生左腕の中で、ナンバーワンの素材と呼べるのが、松本竜也英明)であろう。191センチという高身長ながらバランスが優れた投球フォームをしている。抜群の制球力に加え、キレ味鋭いスライダー、フォークなどの変化球もあり、スケールと完成度を備えた左腕だけに、間違いなくドラフト上位に入ってくるはず。

球界を代表する左腕に躍り出る可能性を持っており、将来的にも楽しみが詰まっている。

 松本に次いで左腕として評価されているのが今村信貴太成学院大高)だ。完成度の高い投球フォームから投じる伸びのあるストレートは魅力的。肩肘と股関節の柔軟性が優れた投手で、将来性を高く評価して上位する球団も予想される。

捕手に目を向けると、上位候補として期待されるのが高城俊人九州国際大付)である。打者としては、一発を打つ長打力と巧打力に加え、勝負強さも兼ね備えている。捕手としてもスローイングタイム1.9秒~2.0秒台を計測し、冷静沈着なリードで投手陣を盛り立てた。将来的に打てる捕手に成長する可能性を秘めており、打てる捕手が枯渇しているプロ野球界にとっては願ってもない逸材だ。


上位候補 ~内野手編~

高橋周平(東海大甲府)

内野手では、上記の3人を挙げた。

高橋周平東海大甲府)は、高校生離れした体格、打球の速さ、打撃技術の高さを兼ね備え、今年初めから高校生としては異例のドラフト1位候補に挙げられ、春季大会から山梨に駆けつける球団が相次いだ。甲子園出場はならなかったものの、日本で開催されたAAAアジア選手権では木製で本塁打を放ち、木製バットの順応をアピール。その本塁打が決勝点となったように勝負強さも折り紙付きで、将来の主力候補として期待される逸材だ。

松本剛帝京)は、1年夏からレギュラーを獲得。当時から守備・走塁で高い評価を受けていたが、多少打撃に課題があった。しかし、緩やかに成長を遂げて、3年夏には打撃開花。今では高い総合力を誇るようになった。さらに強烈なキャプテンシーもあり、将来の主力候補に相応しい逸材だ。

白根尚貴開星)は、投手と野手のどちらで評価するのかと意見が分かれる。投手としては、馬力を全面に活かした140キロ台後半のストレートに、多彩な変化球を投げ分ける。マウンド上では落ち着きがあり、強力打線にも恐れない度胸の強さも兼ね備える。野手としては、高校生離れした長打力・対応力の高さを兼ね備え、日大三の吉永健太朗から4打数4安打を打ち、打者として大きくアピールした。個人的には投手として推したいが、野手として評価する球団も多く、打てる人材が欲しい球団にとっては絶好の逸材だ。


上位候補 ~外野手編~

川上竜平(光星学院)

そして外野手。人材の少ない外野手の中でも、特に右打ちの人材が少ない。その中で上位候補として推したいのが、川上竜平光星学院)だ。今夏の甲子園で3本塁打を打った川上だが、特に専大玉名戦で放った満塁本塁打は滞空時間が長く、惚れ惚れとさせられるものがあった。外野守備も基準以上のレベルに到達。さらに俊足であり、投手としても最速146キロを計測する強肩を併せ持つ。そんな希少価値の高さを買って予想以上に高い順位で指名される可能性もあるかもしれない。まだ技術的には粗さが残るが、プロの投手に対応する術を身に付けた時、末恐ろしい選手に育つ可能性を持っている。

ここまでを上位候補として上げましたが、次は中・下位候補の選手に目を向けていきたい。
<次回へ続く>

(文=編集部河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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