
東松快征(享栄)・前田悠伍(大阪桐蔭)
第31回WBSC U-18ベースボールワールドカップに向けたU-18代表候補強化合宿が4日から6日まで開催された。合宿でどんなパフォーマンスを見せたのかを総括していきたい。
紅白戦の午後の試合で投げた投手について。
東松 快征(享栄)
3回1失点 最速145キロ 平均球速139.2キロ
152キロ左腕として注目された剛腕。体全体を使った投球フォームから投げる速球は球威がある。視察していたスカウトのガンでは、140キロ後半を計測していたが、それに相応しい威力ある直球を投げていた。特に三振を奪った時の直球には重量感があり、高校生のレベルとは思えない迫力があった。
変化球も120キロ後半のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、110キロ台のカーブと、いずれも打者の手元で鋭く変化し、精度も悪くなかった。
1、2回とテンポよく抑えていたが、3回裏に甘く入ったチェンジアップを捉えられた。走者を出すと、単調になるところがあり、走者を出した時の粘りが今後の課題。ライバルである私学4強の強豪を抑える鍵にもなる。
いずれにしても能力的には世代トップで大阪桐蔭・前田と張り合える実力を見せてくれた。
前田 悠伍(大阪桐蔭)
3回無失点 最速143キロ 平均球速138.13キロ
さすが世代No.1左腕という投球を見せた。テンポよく追い込み、最後はチェンジアップというコンビネーションが確立していた。前田もスカウトによっては140キロ後半を計測していた。球質としては東松が球威型なら、前田はキレ型だろう。
この日はベース際ギリギリというより、ストライクゾーンをしっかりと攻めて直球で攻めきり、落ちる変化球で勝負できていた。
金属バットに戻っても、ギリギリで勝負せず、直球の威力や変化球の精度の高さで圧倒できるコンビネーションを確立できればもっと圧倒できる投手になれる。
升田 早人(光)
2回無失点 最速140キロ 平均球速136.04キロ
甲子園が終わってからほとんど投げていなかったというが、135キロ〜140キロを連発していた。球威を継続できる点は升田の強みではないか。現在は先発完投スタイルだが、常に80点以上の直球を投げることができ、精度のバラツキがほとんどない。このままパワーアップすれば、夏にはさらに凄みを見せる可能性はある。
森 煌誠(徳島商)
2回4失点 最速144キロ 平均球速138.18キロ
四国地区ではかなり高く評価されている本格派右腕。平均球速も全投手の中でも高い順位につけているが、4失点を喫してしまったのは、良い直球とそうでもない直球の差が激しい点にある。立ち上がりは130キロ前半程度で、調子が悪いかと思ったが、いきなりエンジンがかかり、140キロ台を連発。勢いがある直球を投げたと思ったら、走者を出した途端に、135キロ前後の力のない直球を振り抜かれていた。この落差が激しかった。
能力は高いが、この課題を乗り越えないと勝てる投手になっていけないだろう。縦割れのカーブもいいが、投球面で突き詰めるべき点はかなり多い。
直江 新(九州学院)
2回無失点 最速139キロ 平均球速134.87キロ
しなやかなフォームから繰り出す130キロ後半の速球に、カーブ、スライダーなどの変化球を丁寧に投げ分ける。短い2イニングながら、爆発力には欠ける投球で、長いイニングで持ち味を発揮するタイプだと思う。これからは短いイニングで投げる機会はあると思うので、全開で140キロ台連発する投球もできると、より打たれにくい投手になる。
東恩納 蒼(沖縄尚学)
2回無失点 最速141キロ 平均球速137.1.キロ
強い腕の振りから繰り出される140キロ前後の速球はスピンがあり、爽快感がある。変化球の精度も悪くないが、直球で押し切れるほどの力強さがあるのがこの投手のウリ。好調時と比べるとやや球速は出ていなかったが、夏場には140キロ中盤を連発できると、もっと打たれにくい投手になる。
坂井 陽翔投手(滝川第二)は5日の午前中まで神戸地区予選があり、移動して、2日目の練習終わりから合流。最終日はブルペン投球を行った。直球には伸びがあり、試合形式でみたいと思わせた。チェックする球団もいて、これからの兵庫県大会でマークされるのではないか。
(記事=河嶋 宗一)