プロ注目遊撃手・辻本倫太郎(仙台大)の大学ラストイヤーがスタート!開幕戦は足で魅せた
6回、二塁からヘッドスライディングで生還し、顔とユニホームに土をつけながら喜ぶ辻本
「世代ナンバーワン遊撃手」との呼び声高い仙台大・辻本倫太郎内野手(4年=北海)の大学ラストイヤーが幕を開けた。仙台六大学野球春季リーグ戦の開幕戦に「3番・遊撃」でフル出場し、5打数1安打1打点1盗塁。守備機会はそれほど多くなかったものの堅実にこなし、目標としている支配下でのドラフト指名へ向け、好スタートを切った。
例年、終盤にかけて調子を上げていく傾向の強い辻本。「リーグ戦の入りは得意ではない」と苦笑いを浮かべつつ、この日は6回の第3打席で今季初安打を放った。無死一塁の場面で、ここまで好投を続けていた東北工業大の先発左腕・後藤佑輔投手(3年=仙台育英)から投手強襲の内野安打。その後の逆転劇を呼び込む貴重な安打となり、「チームを勢いづけるヒットを打てたので、(初安打の)タイミング的にはよかった」と胸をなでおろした。
一方、打撃に関しては「まだまだ物足りない」と話す。第3打席以外は第4打席で相手の野選を誘い打点を挙げたものの、いずれも凡退。特に8回の第5打席は二死満塁の好機で回ってきたが、初球を打ち上げ二飛に倒れた。ただ、3年次までに最大のライバルである東北福祉大戦で打率.368(38打数14安打)、2本塁打、9打点と抜群の通算成績を残しているように、チームの山場にピークを合わせられるのが辻本の強み。チームの苦境を救う一打を放つため、自身の打撃スタイルは崩さない。
またこの日は足で魅せた。6回は安打を放った後、6番・伊藤颯内野手(3年=鶴岡東)の左前打の間に二塁から激走し、気迫のヘッドスライディングで逆転のホームを踏んだ。野選で出塁した7回には今季初盗塁をマーク。開幕前の取材時、「足は速い方だけど、盗塁があまりできていない。走れるイメージを持ってもらいたい」と話しており、その言葉通り果敢に次の塁を狙った。辻本と言えば華麗な守備と勝負強い打撃が武器だが、今春は走塁技術の高さも発揮し、ドラフトに向け走攻守でのアピールを続ける。
新チームでは主将に就任し、その象徴である背番号「10」をつける。主将になっても、背番号が変わっても、持ち前の明るく、ひたむきなプレースタイルは変わっていない。この日も得点シーンなどでは声と笑顔で喜びを表現し、チームを盛り立てた。「(最上級生になっても)意識することはあまり変わらない。リーグ優勝して全国で勝てるように、一戦必勝で戦う」。大学ラストイヤーも、辻本らしく、全力で駆け抜ける。
(記事=川浪康太郎)