【ドラフト候補総括・野手編】世代屈指のスラッガー・真鍋慧は期待通りのパフォーマンス。センバツでアピールを見せた逸材たち
仲田侑仁(沖縄尚学)、真鍋慧(広陵)、石川瑛貴(東邦)
第95回記念選抜高校野球大会は25日で全36校が出場した。投手編に続き、ドラフト候補として注目したい野手をピックアップしたい。
野手のトップは広島広陵(広島)の真鍋 慧内野手(3年)。初戦の二松学舎大附(東京)戦では、3安打の活躍を見せた。長距離だけではなく、逆らわずに流し打ったり、変化球をうまく打ち返したり、「上手さ」を見せた。豪快な打撃を期待したいと思うが、そのうち打つだろうと思わせるほど真鍋には迫力があり、これまでの実績が証明している。
このセンバツで評価が上昇しているのが、沖縄尚学(沖縄)の仲田 侑仁内野手(3年)だろう。初戦では豪快な本塁打を放った。腕っぷしが強く、捉えた打球は強烈。巨人の岡本 和真内野手(智辯学園出身)のような遠心力を上手く使ったスイングで長打を量産する。今年のドラフトは一塁手タイプだと真鍋や花巻東(岩手)の佐々木 麟太郎内野手(3年)が一番人気になる。この2人を外した時、和製スラッガー枠として浮上する候補として考えたい。ただ守備、走塁については未知数。特にスローイングに強さがあるのか。興味を持った球団は念入りにチェックを重ねるのではないか。
中日・石川 昂弥内野手の弟である東邦(愛知)の石川 瑛貴内野手(3年)は、センバツ2試合で打率5割。ライナー性の打球を心がけているというように、ライナー性の打球が多く、打球速度もある。何より惹かれるのは兄同様、懐が深い構えからの高いコンタクト力。センバツで一気に調子を上げて、打ちまくる勝負強さは何か持っている。きっかけをつかめば、一気に長打を量産できる素質を持った逸材だ。
堀柊那(報徳学園)、鈴木叶(常葉大菊川)
今年は好捕手が多いが、高卒プロを意識できるのは報徳学園(兵庫)の堀 柊那捕手(3年)、常葉大菊川(静岡)の鈴木 叶捕手(3年)の2人だ。
堀は1.8秒台〜1.9秒台のスローイングが光り、初戦でも適時打を打った。強肩で、安定したキャッチングもあり、俊敏さもあり、リードも丁寧で、脚力もある。実戦力が高くて、強肩捕手が多いセンバツでも際立つものがあり、スカウト評価は高い。ただ、打撃のパンチが弱いのが課題で、3回戦以降で強打を発揮できるか。
初戦で敗退したが、鈴木は堀以上のポテンシャルを感じさせた。同じく1.8秒台のスローイングを披露し、また、専大松戸(千葉)の平野 大地投手(3年)から中前安打を放つなど、打球も速い。本人はかなり謙虚だが、素質は高いので、もっと欲を持って高卒プロを目指してほしい。
石野蓮授(報徳学園)
ここから指名ボーダーラインであるが、強豪大学に進んでも、即戦力として活躍が期待できそうな人材を紹介したい。
大垣日大(岐阜)の米津 煌太内野手(3年)は、沖縄尚学(沖縄)の好投手・東恩納 蒼投手(3年)の内角直球を捉えて、痛烈なヒットを打つなど、打撃技術の高さは秀逸。二塁手の守備も軽快で、スローイングの強さが光る。二塁手でこれほどの強いプレーを見せ、ポテンシャルの高い野手はなかなかいない。
智辯和歌山(和歌山)の青山 達史内野手(3年)は窮屈な内角攻めに苦しみ、二塁手の守備もまだ本格化していない感じで、時間がかかりそうだ。ポテンシャルは高いが、持ち味を発揮できずに終わった。
龍谷大平安(京都)の山口 翔悟内野手(3年)は、抜群の強肩を誇る遊撃守備が魅力だが、打撃で持ち味を発揮できなかった。突き抜けたパフォーマンスを見せていきたいところ。作新学院(栃木)の武藤 匠海内野手(3年)も英明(香川)戦で決勝本塁打を放ったように、安定感のある打撃フォームから長打を量産し、さらに肩の強さが光る三塁守備も見どころがある。
報徳学園(兵庫)の石野 蓮授外野手(3年)も初戦の健大高崎(群馬)戦で強烈な本塁打を放った。インコースの捌きもうまく、潜在能力は抜群。報徳学園からJR西日本を経由して、19年のドラフトでソフトバンクドラフト1位になった佐藤 直樹外野手のような選手へ育つ可能性がある。
英明の寿賀 弘都外野手(3年)はシャープで確実性の高い打撃に加え、投手としても143キロを投げる強肩もあり、どちらもポテンシャルが高い。どちらでいくかは分からないが、野手としていけば、この世代でもトップクラスの外野手へ成長する可能性を秘めている。
氷見(富山)の青野 拓海投手(3年)は初戦敗退となったが、打者としての潜在能力の高さを感じさせた。山梨学院(山梨)戦でも2安打をマークし、懐が深く、鋭い打球を飛ばす。高校通算22本塁打に達しており、本人は「現時点では打撃のほうに自信があります」と語る。パワフルなスラッガーに育つ可能性があり、今後も注視していきたい。
(記事=河嶋 宗一)