4年前のあどけなさは、もうなかった。

 運命のプロ野球ドラフト会議が11日、行われ、支配下選手として77人が指名を受けた。育成ドラフトは過去最多だった昨年の49人を上回って51人。合計すると、128人がプロ野球選手になる資格を得た。

 次々と指名されているテレビ画面を見ていると、懐かしい顔が目に飛び込んできた。法政大・三浦 銀二投手と、中央大・古賀 悠斗捕手。三浦はDeNA4位指名を受け、古賀は西武3位指名を受けた。この2人、4年前の福岡大大濠時代に取材していた。「華奢な」体つきだった三浦投手、体の線は細った古賀が、立派な姿になっていた。心のなかで拍手していた。

 育成ドラフトは過去最多となったが、ソフトバンクが1球団としても最多の14人指名となった。その最後、今年のドラフトの最後の最後に名前が呼ばれたのが、福岡大の仲田 慶介外野手だった。仲田も実は福岡大大濠出身。レギュラーではなかったが、三浦と古賀とともに17年センバツに出場している。今年は育成を含めて3人、同校からドラフト指名選手が誕生したことになる。

 OBのプロ野球選手を調べると、特に最近の輩出が著しい。

★福岡大大濠出身主なプロ野球選手
1966年西鉄7位 大津 秀美捕手
1986年西武1位 森山 良二投手(北九州大中退)
1990年広島1位 瀬戸 輝信捕手(法政大)※小池外れの1位
2009年ソフトバンク2位 川原 弘之投手
2010年西武1位 大石 達也投手(早稲田大)
※横浜、楽天、広島、オリックス、阪神、西武から1位指名。抽選で西武
2012年中日3位 古本 武尊外野手(龍谷大)
2016年阪神4位 濱地 真澄投手
2019年DeNA2位 坂本 裕哉投手(立命館大)
2020年オリックス1位 山下 舜平大投手
2021年西武3位 古賀 悠斗捕手(中大)
   DeNA4位 三浦 銀二投手(法政大)
   ソフトバンク育成14位 仲田 慶介外野手(福岡大)

 今年、高校3年生ではプロ志望届を出す選手はいなかったが、毛利 海大投手、川上 陸斗捕手ら、今後大学などを経てプロ入りできる逸材はいる。さらに、現2年生でも山下 恭吾内野手ら、プロスカウトから注目されている選手がいる。これからも「伝統」は続いていきそうで、ひとつの時代を築いている。

 現在の八木 啓伸監督は2010年に、部長から監督に就任した。それから11年、8人がドラフトで指名された。福岡大大濠時代は4番で主将。立命館大ではレギュラーになれず、大学卒業後に福岡の西日本銀行(現西日本シティ銀行)に就職する。「銀行マン」として4年務めた後に「大好きだった」高校野球の指導者への道を歩んだ。営業活動などを通じて、チームワークなどを学んだことを活かし「主体性」を重んじる指導方針を掲げている。

「自分で考えることが大事」

 毎週月曜日は練習はオフとしているが、その時に何をするのか。選手に考えさせ、行動させている。

 4年前のセンバツ前に、三浦と古賀にこの「オフ」の過ごし方を聞いているメモが残っていた。二人とも答えは同じだった。「体のケアにつかってます。だいたい整骨院です」。遊びたい盛りの高校生。オフとなれば野球から離れたくなるのが普通だろうが、そんな心構えは4年後に花開いた。ドラフト最後の指名選手、仲田も「自分の売りは肩」と福岡大で努力を重ねて指名を勝ち取った。八木監督も当時の取材で、古賀と三浦については「努力型」と評価していた。山下、浜地のように高校から直接プロにいけなくても、「主体性」を持った努力は必ず実を結ぶのだろう。

 福岡大大濠は来年センバツに向けて秋季大会を戦っている最中で、現在県大会で8強入りしている。先輩たちの笑顔に刺激を受けたナインが、気持ちを新たにまた「主体性」を持って努力する。そうやって、伝統は引き継がれていく。

(記事=浦田 由紀夫)