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「歳内無双」を超える投手が登場!NPB入りを狙う四国アイランドリーグplusのドラフト候補たち

2021.07.02

  未来を切り開く熱き夏は高校野球だけのものじゃない。日本国内独立リーグのパイオニア的存在として2005年に産声を上げ、今年17年目を迎える「四国アイランドリーグplus」。香川オリーブガイナーズが3年ぶりの優勝を遂げた前期シーズンを経て、7月3日に開幕を迎える後期シーズンは彼らにとって「NPBドラフト指名・NPB復帰」を懸けた勝負の夏となる。そこでここではNPB入りを狙う四国アイランドリーグplus戦士たちを前期の順位順に紹介していきたい。

前期優勝:香川オリーブガイナーズ(34試合22勝9敗3分.718)

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前期10勝0敗で香川オリーブガイナーズの優勝に大きく貢献した近藤壱来(鳴門渦潮高~三菱自動車倉敷オーシャンズ・2年目)

 11試合登板 10勝0敗 4完投 3完封 2無四球試合 75回 92奪三振 14四死球 防御率1.56

 ちなみに上記はフルシーズンの成績ではない。あくまで前期を終えた時点にすぎない。

 このように昨年「歳内無双」と言われた歳内 宏明(現:東京ヤクルトスワローズ)すら上回る驚異的な数字を残しているのが香川オリーブガイナーズの背番号11・22歳の若き絶対エース・近藤 壱来(180センチ78キロ・鳴門渦潮高~三菱自動車倉敷オーシャンズ・2年目)である。

 「今年はエースになることを自分の中で決めて(2018年セ・リーグ最優秀中継ぎ賞・昨年まで東京ヤクルトスワローズ所属だった)近藤 一樹さん(選手兼任コーチ)からも様々なアドバイスをいただきながら『うまくなりたい』だけを考えて取り組んできた」結果、今季は最速148キロのストレートと曲がりを大小使い分けられるスライダー、フォークとパワーカーブをバランスよく使う術を手にすることに。

 「力でなく勝手に行く感じがした」前期優勝決定試合での完封劇のような感覚が身に付けば、2006年・90試合制で相原雅也(高知ファイティングドッグス)がマークしたシーズン17勝の更新と、香川オリーブガイナーズ入団前に約一年間野球から離れていたブランクから夢実現の扉は、自ずから開くことになるだろう。

 一方、前期チーム打率.301とこちらも驚異的な数値を叩き出した打線にもドラフト候補たちが。特に今季・社会人の名門・東芝から入団し遊撃手として躍動中の望月 涼太(175センチ78キロ・右投左打・東大阪大柏原高~九州共立大)や、一塁駆け抜け4秒台を常時切るようになった堀北 彰人(中堅手・180センチ80キロ・右投左打・龍谷大平安高~東洋大~THINKフィットネスGOLD’S GYMベースボールクラブ・2年目)の2人は、内外野問わず複数ポジションを守れるユーティリティー性も後期はアピールしていくことになりそうだ。

前期2位:高知ファイティングドッグス(34試合19勝12敗3分.613)

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元広島東洋カープの高知ファイティングドッグス・藤井皓哉(おかやま山陽高出身・1年目)

 昨年は石井 大智(投手・秋田高専)が阪神タイガース8位指名を受け、さらには開幕一軍。2011年以来となるNPBドラフト選手を輩出した高知ファイティングドッグスには、今年も指名への期待が膨らむ右腕がいる。

 193センチ97キロというビッグサイズを有する宮森 智志(右投右打・呉商高~流通経済大・1年目)がその人。前期成績は7試合に登板し1勝1敗・30回を投げて24奪三振で防御率3.30と決して突出した数字ではないが、2メートルを超える角度から入る最速147キロストレートとフォークは魅力たっぷり。後期の飛躍次第では本指名も視野に入りそうだ。

 他にもそろって150キロをマークしている松下 圭太(183センチ85キロ・福島高~宮城教育大~東北マークス・2年目)と、平間 凛太郎(187センチ97キロ・山梨学院大附附属高~専修大~日本製紙東海REX・2年目)のリリーバー陣は年齢的にラストチャンスだ。

 そして忘れてならないのは 5月9日に福岡ソフトバンクホークス3軍相手にノーヒットノーランを達成した元・広島東洋カープの藤井 皓哉。前期12試合に登板し5勝2敗・防御率1.46・80回を投げて96奪三振。香川オリーブガイナーズ・近藤 壱来とリーグの双璧を為す働きを見せている藤井は8月31日まで伸びた復帰リミットまでのオファーを信じて右腕を振り続ける。

[page_break:前期3位:徳島インディゴソックス/前期4位:愛媛マンダリンパイレーツ]

前期3位:徳島インディゴソックス(34試合15勝17敗2分.469)

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二塁送球タイム1秒8台の強肩を備える徳島インディゴソックス・古市尊(高松南高・1年目)

 現在、NPB所属全8名が支配下登録となった徳島インディゴソックス。活躍度も凄まじく、今年は岸潤一郎明徳義塾出身)が38試合で4本塁打とブレイクの兆しがあり、昨年巨人より育成ドラフト7位指名を受けた戸田 懐生東海大菅生高中退→KTCおおぞら高等学院)が早くも支配下登録、一軍登板。さらには戸田に続いて支配下登録となった平間隼人鳴門渦潮出身)が一軍初出場と、今年も改めて「育成の徳島」を印象付けているが、2021前期は苦しい闘いが中盤戦まで続いた。

 ただ、終盤戦には6連勝をマークするなど前年リーグ覇者の地力を発揮しつつある彼ら。捲土重来を期す後期は、昨年Vに貢献した投打中心選手の復活に加え、前期リーグ戦14回無失点・14奪三振と経験値の高さを見せている平安山陽(投手・右投右打・177センチ82キロ・松山聖陵高)、二塁送球1.75秒の強肩が光る古市 尊(右投右打・176センチ72キロ・高松南高)らの高卒1年目選手たちが覇権奪還、リーグ総合3連覇への鍵を握る。

 さらに前期だけで15盗塁を積み上げた村川 凪(右翼手・右投左打・174センチ63キロ・如水館高~四日市大・1年目)の圧倒的走力は、NPB選手と伍してもそん色ないレベルにある。

前期4位:愛媛マンダリンパイレーツ(34試合5勝26敗3分.161)

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前期最終戦に先発した愛媛マンダリンパイレーツ・玉置隼翔(和歌山東高・1年目)

 最低勝利数と最低勝率の2つの「史上初」を打ち立ててしまうなど泥水をすすってしまった愛媛マンダリンパイレーツの前期。

 後期は正田 樹(投手・桐生第一高~日本ハムファイターズなど)、伊藤 隼太(コーチ兼任外野手・中京大中京高~慶應義塾大~阪神タイガース)、平井 諒(投手・帝京第五高~東京ヤクルトスワローズ)、大本 将吾(右翼手・帝京第五高~福岡ソフトバンクホークス育成)といった元NPB勢ばかりでなく、前期最終戦に先発した最速142キロ大型右腕・玉置 隼翔和歌山東高・189センチ83キロ)、前期は中堅手として全試合に出場した漆原 幻汰豊川高・右投左打・170センチ77キロ)の高卒1年目コンビが後期反抗のキーマンとなるだろう。

 また、骨折からの復帰が待たれるパワフルヒッター・仁木 敦司(遊撃手・右投右打・175センチ93キロ・下関国際高~広島国際学院大・1年目)や投手転向2年目の今年、26歳を目前にして「やればできる」右腕から151キロを叩き出した宇佐川 陸(182センチ88キロ・済美高~東洋大~カナフレックス~高知ファイティングドッグス)も、残された可能性に全てを賭ける。

(記事=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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