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2021年は「森木世代」。森木大智を含めた150キロ右腕5名、さらに150キロ左腕、191センチ左腕と世代をけん引する10人の投手たち

2020.10.27

 2021年のドラフトの高校生は特に大豊作と言う評判だ。2021年のドラフト高校生編をシリーズ別で掲載。まず来年を代表する好投手10名だ。

森木大智は順調に成長中

2021年は「森木世代」。森木大智を含めた150キロ右腕5名、さらに150キロ左腕、191センチ左腕と世代をけん引する10人の投手たち | 高校野球ドットコム

 2018年夏、森木大智高知)は高知中時代に最速150キロをマークし、高校になれば「森木世代」になるといわれていたが、その期待通りの成長を見せている。この秋は初戦敗退に終わったが、最速153キロのストレートに加え、137キロまで到達した高速スライダー・120キロ前半のパワーカーブ、130キロを超えるスプリット系チェンジアップと1つ1つの球種の精度の高さは一級品。怪我無くいけば、順調に1位候補に挙がる逸材だ。

 森木に並ぶ評価を受けそうなのが、畔柳亨丞中京大中京)。最速150キロを超える速球は勢いがあり、回転数の高さでいえば、中日1位の高橋宏斗より上回るという評判だ。投げ方も、下半身主導で、軸足にしっかりと体重が乗った躍動感あふれる投球フォーム。さらに速くなる可能性があり、変化球各種の精度の高さも素晴らしいものがある。全国の舞台で評価をさらに高めたいところだ。

 伊藤樹仙台育英)は、完成度の高さ、メンタルの安定感は2021年の高校生右腕ではトップレベル。140キロ中盤の速球に加え、高速フォーク、切れ味鋭いスライダーなど、見ていて安心できるタイプ。伊藤のような常に試合が作れるタイプはかなりのイニング数を投げがちだが、伊藤を酷使せずに東北大会優勝をしていしまうところに凄みを実感する。来春、選抜が開催されれば、間違いなく注目度トップクラスの右腕。

 松浦慶斗大阪桐蔭)は最速150キロと言う評判だが、この秋は常時130キロ後半。ただ、わかっていても詰まってしまう異質のストレートは魅力的。スライダーのキレもよく、どんなスケールを持った投手になっていくのか楽しみな存在。1年かけて常時145キロ前後の速球を投げ込む投手になることを期待したい。

  達孝太天理)は193センチの長身から最速145キロの速球、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カーブを投げ分ける。特にフォーク、チェンジアップの精度の高さは一級品で、高確率で三振が奪える。昨年と比べると完投能力が上がり、一本立ちするようになった。惜しくもコールド負けを喫したが、それでも潜在能力の高さは示すことができた。

 羽田慎之介八王子)は、10月19日の投球を見て、このコラムのトップ10入りが決まった大型左腕。191センチの長身から常時140キロ~143キロの速球の勢いは松浦慶斗大阪桐蔭)に匹敵するほど。羽田にしかないボールの角度があり、分かっていても詰まらせるほどの球威があり、さらにスライダー、カットボール、チェンジアップ、フォーク、カーブと球種も多彩なうえで、一定以上の切れがあり、低めにも集めることができる。

 課題は制球力で、都大会1回戦の都立富士森戦では6四球を出してしまった。だが、決して自滅はしない。都立富士森戦では本人自らセットポジションにしたり、フォームの強弱をつける工夫を行い、8回3失点10奪三振。そして国士舘戦では8回7奪三振、1失点、1四球に抑える好投を見せた。八王子の安藤監督は羽田の持ち味を引き出すために、ストレートを磨くことを優先させている。それでも勝つために本人になりに工夫ができる姿勢の良さがある。羽田の個性、思考力、ポテンシャルを最大限に引き出す八王子の方針は素晴らしく、ロマンしか感じない。

[page_break:小園、風間、関戸の150キロ超え3名右腕と北海道もまた上位を狙える左腕が]

小園、風間、関戸の150キロ超え3名右腕と北海道もまた上位を狙える左腕が

2021年は「森木世代」。森木大智を含めた150キロ右腕5名、さらに150キロ左腕、191センチ左腕と世代をけん引する10人の投手たち | 高校野球ドットコム

 小園健太市立和歌山)は言動を見ていても独特の世界観を持った大型右腕。最速は152キロといわれているが、普段は常時140キロ中盤の速球、カットボール、スライダーなどを器用に投げ分ける投球のレベルの高さは一級品だ。近畿大会準々決勝では強力な智弁和歌山打線にも完封勝利を挙げ、評価を高めている。

 風間球打(ノースアジア大明桜)はこの夏、最速150キロをマークした大型右腕。ストレートの勢い、投手としてのスケールの大きさはこの世代でもトップクラス。ドラフト上位を目指せるポテンシャルは備わっている。

 関戸康介大阪桐蔭)は好調時ならば150キロ前後の速球で圧倒する速球派右腕。小さな怪我が多いが、しっかりとコンディションを整え、フォームのメカニズムを安定させ、さらに投球の引き出しを増やしていけば、もっと評価を挙げることができるだろう。

 木村大成北海)は全道大会優勝に貢献した145キロ左腕。余計な癖がなく、連動性がとれた投球フォームから投げ込む常時130キロ後半の直球は切れがあり、スライダーで次々と三振を奪い、全道大会では30.2回を投げて、41奪三振、防御率0.00。K/BBは8.2と高い指標を誇る。スケールの高さだけではなく、安定感も高い大型左腕として人気になりそうだ。

 読者の方にはあの投手が入っていない!と思うかもしれない。それだけ2021年の投手はベスト10の変動が激しく、凄まじい投手豊作になる可能性を持った世代であり、続編では全国の好投手を紹介をしていきたい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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