千葉葵、森本修都など練習会でベールを脱いだ4人の好投手たち
8月29日と30日、阪神甲子園球場で、阪神甲子園球場で「プロ志望高校生合同練習会」が開催された。77名の選手が自身の武器をアピールした。この練習会はそれまで埋もれていた逸材を見出す意味でも非常に意義のあるイベントであった。また一会場で有名、無名問わず色々なプレーが見られたのはとても良かった。今回は参加選手についてレポートしていきたい。今回は表舞台での露出が少なく、この練習会でベールを脱いだ4人の好投手たちを紹介する。
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練習会に参加した高田竜星、松村力、加藤優弥、上田 洸太朗と北信越、東海を代表する剛腕4名を徹底分析
森本 修都 ※写真は今夏の練習試合より
千葉 葵(滋賀学園)投手 左投げ左打ち 180センチ85キロ
神戸中央シニア時代から有名な左腕で、1年からベンチ入り。しかし故障などもあり、最後の夏は未登板に終わった。それでも滋賀大会では彼の投球を見ようと、スカウトが球場に足を運んでいた。ベールに包まれた左腕がようやく登場した。しかし無情にも雨により、雨天練習場での登板。それでも潜在能力の高さを発揮した。
投球フォームは実に綺麗で、右足を挙げてから、テークバック、リリースに入るまでの一連の動きが連動性があり、ストレートの勢いは140キロ前後の速球を投げていた投手と比較していても負けていなかったといえる。まだ高めに浮くところはあるが、コーナーに決まったときのストレートは素晴らしいものがある。
スライダーの切れ味は素晴らしく、土田龍空(近江)から三振を奪うなど、能力の高さを発揮してくれた。本当に甲子園で投げる姿を見てみたい投手だった。
森本 修都(光泉カトリック)投手 188センチ91キロ
投げては最速150キロと呼ばれる速球投手。ただ150キロはボール型の投球測定器による測定されたもので、スピードガンで計測するよりも速く出やすい。実際に計測器で140キロをコンスタントに出していた投手が、実際は130キロ台だったことがよくあった。改めて投手としてベールを脱ぐこととなった。
大谷翔平チックなメカニズムから常時135キロ前後(最速137キロ)の直球を中心に投げ込む。120キロ近いスライダーのキレもよい。ポテンシャルの高さは素晴らしいものがあり、一時期の不調は脱しつつある。
NPBスカウトから打撃を注目されているように、打撃練習からポテンシャルの高さを発揮。振り幅が大きいスイングでさく越えの打球を披露するなどパワーは圧巻。ただ、実戦になると始動の遅さから、振り遅れの打球が目立ち、対応力に課題を残す。
ポテンシャルの高さを見れば、投打ともに魅力的。ただ投手としては再現性、野手は対応力と、どちらも時間はかかりそうだ。メカニズムの構築という点からすれば、投手として化ければ恐ろしいボールを投げる可能性は持っている。
榮 龍騰 ※写真は昨春の試合より
松木平 優太(精華) 投手 右投げ右打ち 180センチ65キロ
この夏に急浮上した145キロ右腕。スピードはもちろんだが、フォームの良さ、将来性を含めてピカイチの逸材だった。練習会でも打者5人相手に3奪三振に抑えるなど実力のアピールに成功した。
ノーワインドアップから始動し、左足をゆったりと挙げてから真っ向から振り下ろす右のオーバーハンド。常時135キロ~140キロのストレートは回転数が高そうで、プロのスカウトから注目されるのもうなづける球質の良さがある。115キロ前後のスライダーは手元でキレるので、左打者の膝元に決まったときは空振りを奪うことができる。コントロールもまずまずで四球から崩れることは少ない。
投球フォームを見ても完成度は高く、左足を挙げて、右足で立った時のバランスの良さ。テークバックからトップに入るまでしっかりと肘が上がり、胸の張りも良い。現在、185センチ65キロとかなりの細身。半年間、専門的に体づくりができる球団や、トレーニング指導を受けた時、どんなボールを投げ込むのかとても楽しみな投手だ。
即NPBという投手ではなかったが、NPBならば3年間の養成機関で大きく化ける可能性があり、独立リーグを経由すれば、1年~2年でNPB入りを狙える才能を秘めている。
榮 龍騰(津田学園)投手 176センチ80キロ 左投げ左打ち
夏前からプロ志望を掲げていた左の本格派。ストレートのキレ、キレの良いスライダーは光ものを感じさせる投手。
左スリークォーターから常時135キロ~138キロのストレートは切れ味抜群。しっかりとコーナーに決まったときは空振りを奪えるが、細かなコントロールに欠け、4四球。やはりキレで勝負する投手は初球から難なくストライクを取れる制球力の高さが欲しい。120キロ前半のスライダーのキレも良いのだが、不用意に四球を与えてしまって、ストレート、変化球の切れの割には失点が多く与えてしまいそうなイメージがある。
体づくりをしていけば、常時140キロ中盤まで速くなりそうな潜在能力は秘めているが、まずはテンポよくストレート、スライダーをストライクに投げ込める制球力を身に着け、投球を展開する。自分を優位に持っていく。また相手打者に応じた投球術を身に着けることが次のステージで活躍できるカギとなりそうだ。
(記事=河嶋 宗一)
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