第262回 強豪・鳴門渦潮(徳島)にいる、ドラフト候補投手トリオ!ともに信頼、切磋琢磨で夏の成就へ!2020年05月15日
2012年4月、過去に髙橋 広監督(現:神戸医療福祉大監督)の下、2006年・WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)優勝捕手の里崎 智也(元:千葉ロッテマリーンズ)をはじめ数多くの野球選手も輩出している市立鳴門工と、こちらも日本プロ野球屈指の名手・藤田 一也(東北楽天ゴールデンイーグルス)など多くのプロ野球選手を生み出している県立鳴門第一が統合する形で誕生した県立鳴門渦潮(徳島)。
昨年も卒業後、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスで約5年を過ごした俊足巧打の内野手・平間 隼人が読売ジャイアンツから育成1位指名を受け、関西大の大型遊撃手・野口 智哉など好選手を生み出し続けるチームには、今年も注目を浴びる3投手がいる。すでに「高校野球ドットコム」youtubeチャンネルで紹介した以下の3名だ。
仁木 登真(にき・とうま)174センチ80キロ・右投右打・鳴門市鳴門中出身・最速144キロ
鈴木 連(すずき・れん)177センチ76キロ・右投右打・徳島市加茂名中出身・最速142キロ
徳山 一翔(とくやま・かずと)175センチ75キロ・左投左打・海陽町立海陽中出身・最速135キロ

鳴門渦潮3年・左から鈴木連・仁木登真・徳山一翔
身体のサイズはほぼ同じ3人。しかし持ち味は三者三様である。仁木は打者としても昨年11月の「徳島県高等学校野球体力・技術向上研修会」において歴代1位のロングティー117メートル32をマークしたナチュラルなパワーと、低めへの制球力が魅力。鈴木はストレートだけでなくカットボール・スライダーを含めた多彩な変化球が持ち味。そして徳山はホームベース手前からのキレ味に強みを持つ。
「刺激し合いながら桐生 祥秀(日本生命)・ケンブリッジ 飛鳥 アントニオ(ナイキ)・サニブラウン ・アブデル・キーム(アメリカ・フロリダ大)のようになってくれれば。3人が完投能力を備える中でバトンをつないていく形にしていきたいですね」
鳴門第一では藤田 一也を育て2004年夏には甲子園出場。母校の城南では2011年センバツで21世紀枠での甲子園初出場を果たし報徳学園(兵庫)を破っての1勝。
そして鳴門渦潮でも2017年夏に同校名として初の甲子園出場に導いた森 恭仁監督も日本短距離陸上界のホープ3人にたとえて、3投手への期待を寄せる。
かつ仁木・鈴木・徳山の3人はお互いを「ライバル」として認めあいながら、1つの絆で結ばれている。仁木が「鈴木はフィールディングがよくボールにキレがあるし、徳山はゆったりしたフォームからびっくりするくらいキレがある」と話せば、鈴木は「2人に勝つために制球力アップを目指すようにした」と仁木・徳山の「強さ」を認めた上で自分の課題を追究。そして徳山は「鈴木は球速以上のノビ、仁木はスピードと重さがある」右腕2人にない左腕の武器・右打者へのクロスファイア(インローストレート)を磨いてきた。
昨年11月のインタビュー時に表明していた、それぞれの冬の成果を発揮すべき春の大会は新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止。緊急事態宣言発出により2ヶ月以上、全体練習はできない状況となってしまったが、最終的な勝負は7月。
仁木 登真・鈴木 連・徳山 一翔はさらに上のレベルで野球を続けていく術を「相互信頼」の中で培い、「みんなで甲子園に行く」夏の成就を目指していく。
(記事=寺下 友徳)
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- 寺下 友徳
- 生年月日:1971年12月17日
- 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
- ■ 経歴
國學院大學久我山高→亜細亜大。
幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。 - ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
- ■ 執筆実績
web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。
さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。 - ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
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