第243回 巨人のスコアラー・編成部に関わった三井康浩さんが語るドラフト秘話 岡本和真はなぜ1位になったのか?2020年05月10日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]岡本は巨人の4番を担っていくものがあった
[2]数少ないチャンスをものにした岡本がこのドラフトを成功させた


 今では野球ファンの間で大人気コンテンツとなっている「ドラフト会議」。ドラフト会議で新人選手を獲得することは、プロ野球球団の骨組みを作って行く上で欠かせないものであり、その成果を高めるため12球団は綿密に戦略を練っている。今回は長年、巨人のスコアラー、編成に関わった三井康浩さんにお話を伺い、当時のドラフト秘話をシリーズ別で掲載。まずは巨人の4番岡本 和真の指名秘話である。

岡本は巨人の4番を担っていくものがあった



2014年巨人に1位指名を受けた岡本和真

 12球団の命運を握るドラフト1位。その選手の成否は球団の数年後の明暗を分けるものといっていい。このドラフト1位について、三井さんは非常に難しいものと語る。

 まずドラフト1位野手についてどういう選手が指名される傾向にあるのか。三井さんはこう定義づけている。
「3拍子が揃ったトップの選手が1位、2位候補なんです。候補に入るだけで、圧倒的な打力や守備力があって、『これはすぐに1軍で使える。ドラフト1位で欲しい』と言う選手だからなんです」

 もちろん三拍子が揃わなくても、球団の編成事情でドラフト1位になるタイプがいる。まずはスラッガータイプだ。三井さんは2010年代から編成部に関わり、2018年のドラフトまで関わったが、そのスラッガータイプとして代表的なのが、2014年ドラフト1位の岡本 和真智辯学園)だろう。

 高校時代の岡本の一番のストロングポイントは高校通算73本塁打の長打力。U-18代表の4番打者として活躍し、木製バットでも鋭い打球を飛ばし、岡本とU-18代表のチームメイトだった選手たちは岡本の打球を見て、「同じ高校生?」と目を丸くしたという。巨人も岡本の長打力を最大限評価していた。

「将来としてジャイアンツの4番を狙って指名です。本来は3拍子揃っている選手は1、2位候補になり得るんですが、そこで岡本のような圧倒的な長距離がある、将来1軍のクリーンナップで使える選手だと思えば、ドラフト1位で獲るんです」

 当時のドラフト市場を振り返ると、大学生では有原 航平広陵-早稲田大-北海道日本ハム)、山﨑 康晃帝京-亜細亜大-横浜DeNA)が即戦力投手として高く評価され、高校生では157キロ右腕・安樂 智大済美-東北楽天)、2013年の甲子園優勝投手・髙橋 光成前橋育英-埼玉西武)が将来のエース候補として高く評価されていた。

 その中で、巨人が岡本の単独指名に踏み切ったのは、当時の選手層から「和製大砲』の獲得が一番の補強ポイントと考えていた。
「編成の中で考えた時、投手より岡本を取っておいた方が、近い将来のジャイアンツにハマるだろうと。そういったことを考えるのが編成の仕事です。各ポジションの年齢とかを見ながら、『2、3年後には空くのかな?』と編成はデータを持っていますので。スカウトは持っておりませんが、編成はそういった仕事があるので持っていますが、空いたポジションに当てはまる選手がいれば、その需要にあった選手を指名していきます」

【次のページ】 数少ないチャンスをものにした岡本がこのドラフトを成功させた

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第1174回 もう1人の坂本勇人(唐津商)はスローイングタイム1.85秒を誇る超高校級捕手。強肩強打を支える秘密とは 【2020年インタビュー】
第268回 夏の代替大会が開催されることを願って…。全国のドラフト・注目野手リスト一覧【ドラフト特集コラム】
第111回 1996年世代の高卒スターに負けじと大学4年間で這い上がった大卒2年目(1996年世代)の逸材たち【高校野球コラム】
第267回 巨人期待のホープ・湯浅大はなぜ指名に至ったのか 元巨人編成部が語るドラフト指名秘話【ドラフト特集コラム】
第266回 村上宗隆を獲得できていれば巨人の未来はどうなった?巨人のスコアラー・編成部に関わった三井康浩さんが2017年ドラフトを振り返る【ドラフト特集コラム】
第265回 「獲得すれば、10年は間違いない」巨人のスコアラー・編成部に関わった三井康浩さんが語る小林誠司獲得秘話【ドラフト特集コラム】
第1101回 最速146キロの大型左腕・松浦慶斗はなぜ旭川を飛び出して大阪桐蔭を選んだのか?【前編】 【2020年インタビュー】
大阪桐蔭vs智辯学園【2019年秋の大会 令和元年度 秋季近畿地区高等学校野球大会】
智辯学園vs智辯和歌山【2019年秋の大会 令和元年度 秋季近畿地区高等学校野球大会】
智辯学園vs神戸国際大附【2019年秋の大会 令和元年度 秋季近畿地区高等学校野球大会】
第1056回 投手復帰2年目で叩き出した「左腕150キロ」園田 龍矢(伯和ビクトリーズ・投手) 【2019年インタビュー】
第1059回 ボールの見極めをチームで徹底し、悔しい敗戦を糧に頂点までのぼりつめた 井上広大【後編】 【2019年インタビュー】
第1058回 井上広大(履正社)が最強の4番打者になるまで。奥川と対戦して自分の無力さを知った【前編】 【2019年インタビュー】
智辯学園vs奈良大附【奈良県 2019年秋の大会 令和元年秋季近畿地区高等学校野球大会奈良予選】
八戸学院光星vs智辯学園【第101回全国高等学校野球選手権大会】
仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本【トレーニング編】
仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本【打撃編】
仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本【走塁編】
仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本【守備編】
仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本
岡本 和真(智辯学園) 【選手名鑑】
坂本 勇人(唐津商) 【選手名鑑】
坂本 勇人(光星学院) 【選手名鑑】
村田 修一(東福岡) 【選手名鑑】
智辯学園 【高校別データ】
智辯和歌山 【高校別データ】

プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム