榮枝 裕貴(高知-立命館大3年・捕手) 安定感増した二塁送球で 大卒プロを目指す高知のいごっそう
意識改革で成長遂げた「二塁送球の正確性」
侍ジャパン大学代表候補・榮枝裕貴(立命館大3年・捕手)
紅白戦の2日間。投球練習を終えるたび、1秒8~1秒9のタイムで背番号「27」から正確なボールがホームから二塁ベース上へと伸びる。かねてから噂は聞いていたが、地肩に頼りすぎ2塁送球タイムは2秒前後で正確性も欠いていた高知中・高知時代を知っている筆者にとって、立命館大3年・榮枝裕貴の成長度は想像以上であった。
紅白戦後、声をかけると「お久しぶりです」と言いながら握手を交わしてきた彼にその理由を聞いた。「よく解らないんですけど」と中学・高校時代のままの意図的なワンクッションボケを一発入れた榮枝だが、その後の説明は実に理路整然としていた。
「タイムであれば1秒8で二塁送球は投げられますが、それも正確性がないと意味がないと思っています。送球がバラついている時は捕球してから伸び上がって投げているので、そこを今はちょっとずつ修正しています。そこはよくはなってきています」
高校時代から榮枝も知っているNPB某球団スカウトも「成長している」と認める原動力は、こういった意識改革があったのである。
さらなる課題克服し「大卒プロ入り」のステージへ
とはいえ、課題はまだある。本人も認める打撃に別のNPBスカウトが「まだミット周りの動きに固さがある」と指摘するキャッチング。やや投手がなげにくそうにしていたリード面も成長の余地あり。「現時点でプロへの自信はない」と榮枝も現状に満足はしていない。
だからこそ……2020年は彼にとって勝負の時だ。最後に榮枝はこう明言した。
「この冬は高いレベルを目指して、そこに到達するための努力をしていきたいし、全国大会に出ないとアピールもできないので、まずは関西学生リーグをしっかり戦いたい。そして進路を決める時期に選択肢ができるようにしたいです」
その選択肢とはもちろん「大卒プロ入り」。懐かしき四国の地で成長へのさらなる宿題を得た榮枝裕貴は、これからもステージを上がるための奮励努力を続けていく。
(記事=寺下 友徳)
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