Column

NPBへの輩出偏差値からわかる!NPB入団へ最も近道となるチームは徳島インディゴソックスだった!

2019.11.17

 2019年ドラフト会議が終わった。107名(そのうち育成は33名)の選手が指名されたことになる。高校生が51名、大学生36名、社会人11名、そして独立リーグが9名が内訳である。今回のコラムでは、NPBの入団する上でどの「チーム」に入るのが最もNPBに近道なのかを考えてみたい。

NPBへの近道

NPBへの輩出偏差値からわかる!NPB入団へ最も近道となるチームは徳島インディゴソックスだった! | 高校野球ドットコム
徳島インディゴソックスからNPB入りをする上間永遠投手・岸潤一郎内野手兼外野手

 一番最初にも触れたが、高校・大学・社会人・独立リーグという区分けをしたが、今回はあくまでも、「NPBに入りやすいチーム」について考察したい。

 高校生ではドラフト会議で51名が指名されたが、何名の中から選ばれた51名なのか母数を考えたことはあるだろうか。日本高等学校野球連盟に所属している硬式野球部を持つ高校の数は、3957校となる、部員数は143,867名である。この数値は硬式野球部だけに限定したもので、軟式野球部を入れればその数は更に増えるのは容易に想像ができる。つまり硬式野球部に所属している部員数で考えても、全部員の0.035%以下の選手しか選ばれないのである。ただし今回の命題は「NPBに入りやすいチーム」である。そうなると、高校というセグメントで括るのでなく、チーム単位で考えたほうが良いのである。つまり、高校ならば、大阪桐蔭敦賀気比花咲徳栄横浜などのチームが多くのNPB選手を輩出している。このようなチームでの割合を考える必要が出てくる。

 では、高校、大学、社会人などのセグメントを忘れて、単純に人数だけで比較してみたい。過去5年間でNPBにドラフト指名された選手が最も多い高校は、大阪桐蔭花咲徳栄で7名がドラフト指名された。大阪桐蔭は、昨年4名がドラフト指名され注目が集まった。大学では、慶應義塾大学が今年の4名指名を含め、ここ5年間で8名がドラフト指名された。社会人野球チームでは、JX-ENEOS、JR東日本、Hondaなどが7名を送り込んでいる。JR東日本は2011年より毎年のように選手を送り出すなど非常に安定している。独立リーグでは、徳島インディゴソックスが5年間で12名をNPBに送り出すなど独立リーグだけでなく全セグメントを含めても頭一つ抜けているのが分かる(ドラフトでは10名が指名)。

 ただ、本当の凄さはNPBに輩出した人数でなく、所属チームからNPBに行く人数の割合である。なぜなら今回のテーマは「NPBに入りやすいチーム」である。極端にいえば、100名の中の2名がNPBに行くよりも、9名のチームで1名NPBに輩出しているチームがあれば、NPBに入りやすいのは9名のチームのほうが5倍以上入りやすことが分かる。

 では、まず高校のチームを考えてみる。少数精鋭で知られる大阪桐蔭は1学年20人前後在籍している。全学年で約60名になる。1昨年の4名がドラフトに選ばれた時期を考えると、7%近い割合でNPBに行ったことになる。では、それ以外の年はどうだろうか?大阪桐蔭の5年平均を見ると、NPB輩出率は約2%となる。高校の中ではNPB輩出率が高い数値になる。2%という数値は大学トップレベルのチームにも当てはまる。今年4名をNPB輩出し、当たり年となった慶應義塾大学の部員数は163名である。(4年生47名、3年生46名、2年生33名、1年生37名)その中から4名がドラフトに選出された。割合で言えば2.5%となる。高校、大学などをみるとこの2.5%が上限なってくる。

 ただし、もう1つ気にしないといけないポイントがある。それはピーキングである。言われてみれば当たり前だが、高校も大学も1年生からNPBには行けないのである。つまり、ドラフト対象年以外はNPB排出率は0%なのである。そうなるとドラフト対象年でNPBの目に留まる活躍をする必要が出てくる。つまりピーキングが重要になる。1年生時にピークが来てもドラフト時にピークが過ぎていれば指名されない。そして在学中に来るたった1度の機会をものに出来る選手は慶應義塾大学ですら全部員中の約2.5%になる。この数値でも当たり年の4名で計算した数値である。これが2017年、2016年のように1名の指名なら1%に届いてこないのである。非常に狭き門であることが分かる。

 一方、社会人野球チームはどうだろう、JR東日本は所属部員数は35名、JX-ENEOSは30名と多くないが、今年も1名NPBに入れている。直近5年間で、両チームは多い年ではJR東日本が2014年に3名、JX-ENEOSは2017年で3名ドラフトで選ばれている。そう考えると3%~10%近くが選ばれることになり、高校・大学よりは多い割合が行くことになる。ではピーキングという点ではどうだろうか?ここも学生とは大きく違ってくる。高校卒業後、社会人チームに入団した場合は3年間、大学卒業だと2年間プレーする必要がある。その後にドラフト指名の権利が出る。つまりピーキングは1年目でなくもちろん、ドラフト対象年以降になる。なぜ以降と書いたかというと、実はその後は毎年機会が訪れるからである。ここが学生野球とは大きく違う点である。

 最後に、独立リーグはどうだろう。徳島インディゴソックスは、所属選手は35名である。今年は3名、2017年には4名と、7年連続NPBに選手を輩出している。その割合は、10%を超える年が出るほど高い数位で割合が推移しているのが分かる。

[page_break:NPB輩出偏差値]

 ピーキングという点ではどうだろう。高校が3年間、大学が4年間で1度の指名チャンスがあるのに対して、独立リーグはすべての選手が毎年、NPBへ入る機会がある。2017年にドラフト3位で西武ライオンズに入団した伊藤翔や、今年、同じく西武ライオンズに指名された上間永遠両選手は、高卒後すぐに徳島インディゴソックスに入団し1年でNPB入団を決めている。2人が徳島インディゴソックスに入団した理由の1つに「1年目からプロに挑戦することが出来る」ことを上げている。

 では、徳島インディゴソックスの例は、独立リーグ一般に言えることなのか?答えはNOである。徳島インディゴソックスは、独立リーグの中でずば抜けている存在だと言える。

 独立リーグは四国アイランドリーグ(四国IL)に4チーム、ベースボール・チャレンジ・リーグ(BCL)に12チームが属している、それに関西独立リーグや今年は沖縄にも独立リーグが設立された。この中で今年のドラフトでNPBに選手を輩出したチームは2019年、2018年ともに5チームのみである。つまり、独立リーグがNPBに最短距離と言うには話しが飛躍しすぎる。むしろ、徳島インディゴソックスならば最短距離である。が正解である。

 そうなると、今回の「NPBに入りやすいチーム」を考える上で、独立リーグでどのチームを選ぶとNPBに入りやすいかを考えることが重要になる。

 独立リーグでNPB輩出に関しての偏差値を作成したので見てほしい。偏差値というぐらいなので、偏差値50がちょうど平均である。また、NPBのドラフトに選ばれた選手の数や、毎年選ばれているかなどが反映できる計算方法となっている。

NPBへの輩出偏差値からわかる!NPB入団へ最も近道となるチームは徳島インディゴソックスだった! | 高校野球ドットコム
NPB輩出偏差値

 つまり、このグラフに出てくる偏差値50以上のチームは、独立リーグの中でも上位のチームと言える。四国アイランドリーグならば安定して高いレベルにある徳島インディゴソックス(偏差値:77.5)や、香川オリーブガイナーズ(偏差値:50.8)などはNPBを考える上で念頭に入れても良いチームになる。ベースボール・チャレンジ・リーグでは、石川ミリオンスターズ(偏差値:62.4)や新潟アルビレックスbc(偏差値58.7)もNPBを狙える位置にいると言える。

 ただし、偏差値が75を超える徳島インディゴソックスは、別格と言えるのが分かる。毎年の指名選手を出すということは、しっかりした育成体制と、チーム内でNPBを始めとするプロリーグに行くことを当たり前と考えるチーム文化が浸透していることが関係している。所属選手も「NPBにどうしても入ってやる!」という意識が高い選手が多いのも大きな違いだろう。

 また、徳島インディゴソックスは、NPBに輩出した12名以外に、韓国プロ野球、台湾プロ野球にも所属選手が指名されている点にも注目したい。現在プレミア12の韓国代表に選ばれているハ・ジェフンは、徳島インディゴソックスから韓国のSKワイバーンズに入団し、1年目で32セーブでセーブ王を獲得している。この点からは意識が高い選手が多く、非常にレベルが高いチームであることが分かる。

 そろそろ、話の結論に移りたい。今回のコラムは、「NPBに入りやすいチーム」となる。そうなると、徳島インディゴソックスが他チームを圧倒していると言える。もちろん、高校、大学、社会人、独立リーグなどのセグメントで切り分けて、入団人数だけを見れば、高校生が51名と最も多くNPBにドラフトで指名された。ただし、今回はあくまでも「NPBに入りやすいチーム」である。そして、それを客観的に数値としてみていくと、徳島インディゴソックスが現状一番魅力的に映るのは私だけではないはずだ。

(文=田中実)

今回の偏差値の計算方法
平均をA、標準偏差をB、得点をC(i)とした時、偏差値T(i)を下記の数式で計算
T(i)=(C(i)-A)/B×10+50
また、得点Cに関してはNPB入団選手1名につき1点/人とした。また、毎年排出することに対して一人あたりの点を高くするように設定した。2年連続で1.2点/人 3年連続で1.4点/人 4年以上で1.8点/人に固定。4年間の得点をベースにしてある。あくまでもドラフトで指名された選手の数値のみからの計算となる。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.27

【福岡】飯塚、鞍手、北筑などがベスト16入り<春季大会の結果>

2024.03.27

青森山田がミラクルサヨナラ劇で初8強、広陵・髙尾が力尽きる

2024.03.27

【神奈川】慶應義塾、横浜、星槎国際湘南、東海大相模などが勝利<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.27

中央学院が2戦連続2ケタ安打でセンバツ初8強、宇治山田商の反撃届かず

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.24

【神奈川】桐光学園、慶應義塾、横浜、東海大相模らが初戦白星<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.23

【東京】日本学園、堀越などが都大会に進出<春季都大会1次予選>

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.22

報徳学園が延長10回タイブレークで逆転サヨナラ勝ち、愛工大名電・伊東の粘投も報われず

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.11

立教大が卒業生の進路を発表!智弁和歌山出身のエースは三菱重工Eastへ、明石商出身のスラッガーは証券マンに!

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.01

今年も強力な新人が続々入社!【社会人野球部新人一覧】