神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 対戦した学校から「今年の創価はエグい！」と呼ばれる理由とは
11月3日、高校野球の会場で長く使用されてきた[stadium]明治神宮第二球場[/stadium]はラストデーを迎えた。3日に開催された秋季都大会準々決勝の創価vs日大二、日大三vs帝京の2試合はラストを飾るに相応しい試合だった。
いずれも白熱とした2試合だったが、4校とも逸材が多かった。来春へ向けて進化を期待したい逸材を紹介していきたい。今回は創価だ。
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創価vs日大二
今年の東京都ナンバーワン右腕になれるか？創価のエース・森畑 侑大
創価エース・森畑 侑大
「今年の創価はエグイ」
今年、東京都をメインに取材している記者、創価と公式戦、練習試合で対戦した学校の指導者が口を揃えて、今年の創価についてそう評する。
今年の創価の勝ち上がりを改めて振り返ると、一次予選から都大会1回戦まで3試合連続で完封勝利。2回戦の大森学園、準々決勝の日大二でも中盤まで接戦を演じながら終盤に突き放すなど接戦にも強い。
特に日大二戦は、日大二の折笠 利矩の投球の前に苦しんだが、終盤に逆転勝利を挙げた試合内容は、改めて創価の強さを印象付ける試合となった。
まずピックアップしたいのは創価のエース・森畑 侑大だ。森畑は速球の勢い、変化球の精度ともに今年の東京都ではトップレベルの好右腕だ。
ストレートは常時130キロ前半～138キロとストレートのスピードは平均的だが、球速表示以上に伸びを感じさせるストレートで次々と空振りを奪うことができる。120キロ前後のスライダーも打者の手元で鋭く曲がり、本人が自信とする120キロ前後のフォークも決まる。
ストレートの速さだけではなく、コントロール、駆け引きも優れた右腕。4回裏に先制の適時二塁打を打たれてしまうが、その後も落ち着いたピッチング。7回裏には二死二塁のピンチを招くが、この日最速の138キロのストレートで空振り三振に打ち取るなど、終盤になっても球威は衰えなかった。
森畑は「今日は3人で打ち取って、リズムを作ることをイメージしましたが、なかなかそれができず苦しい思いをしました」と振り返るが、それでも自信とするフォークでしのぎ切った。
調布シニア出身で、入学時は120キロ前半だったが、体づくりに取り組み、入学から5キロ増量。投球フォームも踏み出し足の幅、軸足の力の入れ方などあらゆる部分を意識しながら、この夏、最速145キロまでに達した。だが、この秋は投球術の成長が著しく、創価の片桐監督も「ピッチングの幅が広がっている」と評価する。優勝して、東京都ナンバーワン右腕と呼ばれる存在となれるか。
野手もハイレベルな顔ぶれ
谷藤大二郎（創価）
そして野手のレベルも非常に高い。今年の創価は180センチ越えの野手は少ないが、170センチ前半でも下半身主導で体の回転を生かして鋭い打球を飛ばせる選手が多い。スタメンのほとんどがレベルが高い。
まず1番・島本 康平は162センチながらセンス抜群の外野手で、右足を一本足のように挙げて踏み込んで打ちに行く選手で、広角に打球を飛ばせる。なんといっても魅力なのは脚力の高さで、日大二戦の9回表に記録した三塁打では11秒28を計測し、かなりの俊足である。
2番・庄司 一馬はここまで打率.667をマークしている左の巧打者。庄司も169センチと小柄ではあるが、小力のある打者で、外野の間を抜く打球を連発する。さらに守備範囲の広い二塁守備も魅力だ。
3番・宮原 光夫も今大会打率5割をマークしている三塁手で、打撃に穴がなく、内回りのスイングで、安打を連発。切れの良い三塁守備も魅力だ。
4番・高沢 春佑（1年）はここまで打率.214と苦しんでいるが、中学時代は軟式のオール茨城のメンバ―として活躍した右の強打者。捉える打球の速さ、レフトから投げ込む地肩の強さは高校1年生としてははレイベルだろう。
5番・石坂 大河は、投打ともに才能あふれる選手で投手として日本学園戦で5回を投げて7奪三振の好投を見せ、打者としても12打数5安打、1本塁打9打点と好成績を残している。石坂も170センチ70キロと上背がないが、投打ともに技術が優れた選手だ。
6番・谷藤大二郎は都内屈指の遊撃手だ。源田（埼玉西武）に憧れを持つ、谷藤はとにかく守備範囲が非常に広い。谷藤自身も守備範囲の広さには自信を持っており、「速めに追いつくことと、また投手が頑張って投げているので、なんとしても喰らいつくことだけを考えています」と語るように、球際が実に強い。さらに捕球してから送球するまでの持ち替えも速く、深い位置から軽々とダイレクトで投げられる肩の強さも魅力だ。
そして1年夏からベンチ入りし、主軸打者だった河合 圭聖が7番に座っていることが恐ろしい。日大二戦では同点打を放ったように、ここ一番の勝負強さは素晴らしく、軸のブレが小さく、鋭いバットスイングを見ていると7番打者の打撃ではない。
また、9番に座る小松 稜平（1年）も、正確なスローイングとシュアな打撃が光る好捕手で、リードは森畑の強気のピッチングをうまく引き出している。
そして9日の準決勝はこの夏の西東京大会決勝戦以来の神宮球場でのプレーとなる。河合は「夏に敗れた悔しさを忘れず、そして苦しい状況でも我慢しながら勝てるチームを目指していきました。優勝したいです」と決意を語った。
相手は優勝候補・帝京。これまでの都大会でも死闘を繰り広げてきた両校の対決は白熱としたものとなりそうだ。
（記事＝河嶋 宗一）
