第238回 韓国のドラフトは日本にはない独自の制度が盛りだくさんだった!2019年10月17日

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【目次】
[1] 日本にはない、縁故指名制度
[2] 野球事情の違いが、ドラフトにまで影響していた

野球事情の違いが、ドラフトにまで影響していた



韓国の大スター選手だったイ・ジョンボムの息子・イ・ジョンフ(現・ネクセンヒーローズ)も一次指名だ

 縁故指名が行われる1次指名から数か月後、韓国では2次指名が行われ、ドラフトは終了となる。
 この2次指名は前年のペナントレースで最下位からウエーバーで指名が行われ、最大で10ラウンド(韓国では1巡目とは言わず、ラウンドと呼ぶ)まで行われる。そのため競合や抽選は存在しない。

 では2次指名はどのような仕組みとなっているのか。ここも金さんに解説してもらった。
 「ドラフトにかかるであろう選手はソウルに一堂に集まって、会議に出席します。その様子はテレビでも中継されますが、ここには海外でプレーをしていた選手も来ます」

 日本やアメリカなどでプレーをしていた選手は7月に願書や履歴書などを提出し、申し込みを済ませる。その後、ドラフトの1~3週間前にトライアウトを受験し、スカウト陣に自分をアピールしてドラフト当日を迎える。一例として、2010年の夏の甲子園に出場した安田 権守早稲田実業出身)は今年の2次指名で斗山ベアーズから指名を受け、またKBOに所属せず、徳島インディゴソックス、東京ヤクルトでプレーしていたハ・ジェフンも昨年、SKワイバーンズに指名され、新人ながらリーグ最多の36セーブを獲得。11月に開催されるプレミア12の韓国代表にも選出されている。

 また2次指名の対象選手はトライアウトを受けた選手を含めて、韓国の高校でプレーする球児全てが対象となっている。日本はプロ志望届を提出した者のみが対象になっていることを考えると、韓国のドラフトの独特な部分だ。


複雑な韓国のドラフトを事情を語ってくれた金弘智(キム・ホンジ)さん

 しかし2次指名も開催時期は様々なところで議論が交わされているそうで、「国際大会の前にやってしまうとモチベーションが上がらなくなり、大会後にやってしまうと怪我をしてしまう可能性があるんです。なので、現場では一長一短みたいです」

 1次指名、そして2次指名ともに課題が残る韓国ドラフト。こういった課題を解消すべく、5年もしくは10年周期を目安にドラフトの制度を改善しているそうだ。
 そして現在の制度も2021年に終了し、2022年からは縁故指名制度の廃止。最初から韓国国内全体で指名ができる仕組みに変わっていくそうだ。

 金さんはこの制度に関して「韓国のプロ野球は戦力のバランスを大事にしているので、日本と同じなドラフトになることで、各球団の戦力のバランスが整いそうです」と少し笑顔を交えながら語る。

 笑顔で語るのはプレーオフが関係しているからだ。
 韓国では、上位5チームにプレーオフの出場権が与えられる。つまり縁故指名制度が無くなれば、下位で終わった球団に有力選手獲得のチャンスが巡ってくる可能性がある。そして上手くいけば来シーズンで上位進出も狙えるというわけだ。

 日本では上位チームからウエーバーで2位を指名し、それ以降は逆ウエーバーで選手を獲得していく。こうしたところも韓国のドラフトならではの仕組みといえるだろう。

 そして韓国のドラフトで最も大事なファクターが「徴兵」だ。
 金さんもこのことに関して、「大学からプロに入っても兵隊に行ってしまうと戻ってきたら25、26歳になってしまいます。そこからブランクを取り戻したとしても27、28歳となってしまうので、そこまで投資できるかどうかなんです」と話す。

 こうした背景もあり、韓国のドラフトでは大学や社会人からあまり選手を獲得せずに、高校生を指名して早い段階からプロの世界で鍛え上げる考えがあるのだ。

 日本と韓国、同じようにドラフトで選手を獲得するにしてもその方法は全然違う。そこには国内の野球事情などがあるが、日韓から世界で活躍するスター選手が登場してほしいと思う。

 そのスターへの第一歩となるドラフト会議は17日。どんな結末を迎えるのか、今年も楽しみにしたい。

(文・田中 裕毅)

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