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7割がルーキーイヤーに一軍出場?!過去10年のドラフト最終指名選手を振り返る!

2019.10.04

 10月17日に行われる2019年プロ野球ドラフト会議。指名会場での観覧イベントが開かれるなど、毎年その注目度は増している。その年一番の注目選手がドラフト1位で指名され、その交渉権が決まると会場で拍手が巻き起こるように、今やプロ野球ファンにとっては恒例のお楽しみとなった。

 今回はそんな華々しい歓迎を受けてプロ入りを果たした選手から一転、ドラフト最終指名(育成は除く)で指名を受けた選手たちに注目してみたい。彼らを見て行くと、意外な事実も浮かび上がってきた。

過去10年間のドラフト最終指名選手一覧

7割がルーキーイヤーに一軍出場?!過去10年のドラフト最終指名選手を振り返る! | 高校野球ドットコム
2011年に全体の72番目に指名を受けた伊藤拓郎(帝京)

2009年 中日8位(全体66番目) 吉田利一 奈良産大

2010年 横浜8位(全体68番目) 靍岡賢二郎 愛媛マンダリンパイレーツ

2011年 横浜9位(全体72番目) 伊藤拓郎 帝京

2012年 東京ヤクルト7位(全体70番目) 大場達也 日立製作所

2013年 東北楽天9位(全体76番目) 今野龍太 岩出山

2014年 中日9位(全体81番目) 金子丈 大商大

2015年 埼玉西武10位(全体88番目) 松本直晃 香川オリーブガイナーズ

2016年 東北楽天10位(全体87番目) 西口直人 甲賀健康医療専門学校

2017年 横浜DeNA9位(全体82番目) 山本祐大 滋賀ユナイテッドBC

2018年 東京ヤクルト8位(全体83番目) 吉田大成 明治安田生命 

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最終指名を行ったのは低迷中のチームが多い

7割がルーキーイヤーに一軍出場?!過去10年のドラフト最終指名選手を振り返る! | 高校野球ドットコム
プロ初打席初本塁打を放った山本祐大(京都翔英)

 まず、最終指名を行った球団は、DeNA(横浜時代含む)が3回、東京ヤクルト、中日、東北楽天が2回、埼玉西武が1回となっている。

 2000年代に入ってから長く低迷していたDeNAや、この10年(2009~2018)で4度最下位に沈んでいた東北楽天、3度の東京ヤクルト、2013年以降はBクラスが続いている中日と、チームの建て直しを図りたい球団が、より多くの選手獲得に至ったとも言える。2015年の1回だけだった埼玉西武も、2014年からの3年間はBクラスだった。

 指名順位自体は7~10位と大きな変化はないが、2009年が全体66番目だったのに対し、ここ5年間は80番台と、全体としての指名数自体が増えている。より多くの選手を獲得し、一人でも多くの一軍戦力が出てきたら…という思惑もあるのだろう。しかし、プロ野球における支配下登録人数は1球団70名(12球団で840名)で変わっていないため、入れ替わり(=競争)が激しくなったとも言える。

 支配下の指名は少なく、育成で大量に指名するという例もあるため一概には言えないが、プロ野球全体の傾向としてはこういった流れがあるのだろう。

最終指名選手10人中7人がルーキーイヤーにデビュー

 ここまでは数字から見える全体的な傾向を探ったが、ここからは指名された選手たちに迫ってみたい。なんと、吉田利、 靍岡、西口を除き、10人中7人がルーキーイヤーに一軍デビューを飾っているのだ。

 年間通して一軍の戦力として活躍したバリバリの即戦力だったか、と言うとそうではないのだが、ドラフト1位でも一軍デビューが難しい世界だと考えると、指名時の期待値からすれば御の字とも言える。

 特に伊藤、今野は高卒ながら将来への期待も込め、シーズン終盤に昇格し、初登板を果たした。高校野球の名門・帝京出身の伊藤に対し、今野は宮城県立岩出山出身で、将来性を期待されての指名だった。

 残念ながら伊藤の一軍での登板はルーキーイヤーの2試合のみに終わり、現在は社会人野球の日本製鉄鹿島に活躍の場を移したが、今年の都市対抗野球では先発登板を果たしている。今野は故障のために育成契約になった時期もあったが、今季念願のプロ初勝利を挙げるなど、来季以降への期待が持てるシーズンとなった。

 現状、この中から年間通して一軍で活躍したと言える選手は出てきていない。しかし、上記の今野や、代打でプロ初打席初本塁打を放った山本、今季13試合に出場した吉田大など、可能性を秘めている選手も多い。来季以降、シンデレラボーイとなって成功を掴む選手が出てくることを期待すると同時に、今年のドラフトで最終指名を受けるのは誰なのか、楽しみに待ちたい。

(記事=林 龍也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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