第229回 佐々木朗希はプロでどこまで通用するのか、大谷と徹底比較!2019年10月03日

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 佐々木 朗希大船渡)は2日、大船渡市内でプロ志望表明会見を行った。今年の目玉である佐々木 朗希は、これまで「大谷翔平」と比べられることが多かったが、今回改めて、佐々木と大谷のピッチングを比較検証してみたい。

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ピッチングレベルは大谷翔平以上。しかし…



佐々木朗希(大船渡)

 大谷同様、佐々木のストレートの最速は160キロを超えた。まず、結論から述べると、佐々木のピッチングは高校時代の大谷を優に超えている。何が違うかといえば、スライダー主体の大谷に対し、佐々木はフォークを決め球にしていることだ。

 横振りになり、引っ掛け気味のピッチングが多かった大谷に対し、佐々木は素材型とみられている割に粗さはあまり感じられない。

 ストレートは140キロ後半と、150キロ前半~中盤と強弱をつけながら、高めのストレートで空振りを奪うこともできる。

 さらに変化球は、140キロ近い高速フォークの落差が抜群で、今夏の岩手大会の一関工戦では、2安打15奪三振完封勝利をあげた。
 15奪三振のほとんどが変化球で奪ったものだった。ストレート、変化球の制球力も高く、三振を取りたい時に、三振が取れる。それが、佐々木の魅力だった。

 佐々木は、大事に起用されてきたことから、あまりスタミナがない印象を受けるかもしれないが、実は終盤になっても球速が落ちないのも、彼の特徴だ。準決勝の一関工戦のイニング別の最高球速は以下の通り。
※なお、以下のスピードは岩手県営野球場のスピードガンではなく、編集部持参のスピードガンで計測したものである。

【1回】153キロ
【2回】150キロ
【3回】148キロ
【4回】153キロ
【5回】146キロ
【6回】154キロ
【7回】154キロ
【8回】150キロ
【9回】151キロ
岩手県営球場の最速 157キロ
平均球速 147.33キロ

 プロの一軍先発ローテーションの投手と比較しても、負けていない数字なのである。しかも佐々木は9回を投げ切ることを想定して、ところどころで球速を抑えながらこの数字なのだから、どれだけ佐々木のポテンシャルが高いかがうかがい知れる。

 岩手大会では、29回を投げて、51奪三振、わずか2失点と圧巻のピッチングだった。

 そんな佐々木でも、ドラフト前に不安視されているのは、9月に開催されたU-18ワールドカップで、血豆の影響で1試合、1イニングしか投げられなかったためだ。

 また、佐々木は大谷と違って甲子園出場もない。しかし、大舞台で投げた経験が少なくても、プロの環境に慣れれば、実力を発揮できる投手だといえる。

 まだ高校生で、即戦力を求める必要もない。大谷のプロ1年目は13試合を投げ、3勝0敗、防御率4.23だった。

 そこから2年目は11勝、3年目は15勝、4年目は10勝と3年連続10勝を挙げてステップアップした。プロ入り直後の大谷のピッチングを振り返っても、一年一年、球速も、変化球の引き出しも増やして、その成長は素晴らしいものがあった。

 佐々木は、奥川 恭伸(星稜)のような即戦力を期待される投手ではないが、しっかりとプロのローテーションを守れる体力を身に付けていけば、自然と大谷クラスの成績を残せる能力はあるといえる。特に、高卒3年目以降がキーポイントだ。この時期から、周囲の期待を上回るほどの活躍を残す可能性が十分にある。

 佐々木朗希がこれから、日本や世界を舞台に活躍するには、本人の努力以外にも、球団の育成方法も大きく関わってくるが、佐々木を日本を代表する大エースに育て上げることができれば、2020年以降のプロ野球界がさらに明るいものになるはずだ。

(記事=河嶋 宗一

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
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  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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