Column

佐々木朗希はプロでどこまで通用するのか、大谷と徹底比較!

2019.10.03

 佐々木朗希大船渡)は2日、大船渡市内でプロ志望表明会見を行った。今年の目玉である佐々木朗希は、これまで「大谷翔平」と比べられることが多かったが、今回改めて、佐々木と大谷のピッチングを比較検証してみたい。

佐々木朗希はプロでどこまで通用するのか、大谷と徹底比較! | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから
奥川恭伸の完成形は菅野智之か?ある課題を乗り越えれば、毎年沢村賞を狙える投手だ!

ピッチングレベルは大谷翔平以上。しかし…

佐々木朗希はプロでどこまで通用するのか、大谷と徹底比較! | 高校野球ドットコム
佐々木朗希(大船渡)

 大谷同様、佐々木のストレートの最速は160キロを超えた。まず、結論から述べると、佐々木のピッチングは高校時代の大谷を優に超えている。何が違うかといえば、スライダー主体の大谷に対し、佐々木はフォークを決め球にしていることだ。

 横振りになり、引っ掛け気味のピッチングが多かった大谷に対し、佐々木は素材型とみられている割に粗さはあまり感じられない。

 ストレートは140キロ後半と、150キロ前半~中盤と強弱をつけながら、高めのストレートで空振りを奪うこともできる。

 さらに変化球は、140キロ近い高速フォークの落差が抜群で、今夏の岩手大会の一関工戦では、2安打15奪三振完封勝利をあげた。

 15奪三振のほとんどが変化球で奪ったものだった。ストレート、変化球の制球力も高く、三振を取りたい時に、三振が取れる。それが、佐々木の魅力だった。

 佐々木は、大事に起用されてきたことから、あまりスタミナがない印象を受けるかもしれないが、実は終盤になっても球速が落ちないのも、彼の特徴だ。準決勝の一関工戦のイニング別の最高球速は以下の通り。
※なお、以下のスピードは岩手県営野球場のスピードガンではなく、編集部持参のスピードガンで計測したものである。

【1回】153キロ
【2回】150キロ
【3回】148キロ
【4回】153キロ
【5回】146キロ
【6回】154キロ
【7回】154キロ
【8回】150キロ
【9回】151キロ
岩手県営球場の最速 157キロ
平均球速 147.33キロ

 プロの一軍先発ローテーションの投手と比較しても、負けていない数字なのである。しかも佐々木は9回を投げ切ることを想定して、ところどころで球速を抑えながらこの数字なのだから、どれだけ佐々木のポテンシャルが高いのかがうかがい知れる。

 岩手大会では、29回を投げて、51奪三振、わずか2失点と圧巻のピッチングだった。

 そんな佐々木でも、ドラフト前に不安視されているのは、9月に開催されたU-18ワールドカップで、血豆の影響で1試合、1イニングしか投げられなかったためだ。

 また、佐々木は大谷と違って甲子園出場もない。しかし、大舞台で投げた経験が少なくても、プロの環境に慣れれば、実力を発揮できる投手だといえる。

 まだ高校生で、即戦力を求める必要もない。大谷のプロ1年目は13試合を投げ、3勝0敗、防御率4.23だった。

 そこから2年目は11勝、3年目は15勝、4年目は10勝と3年連続10勝を挙げてステップアップした。プロ入り直後の大谷のピッチングを振り返っても、一年一年、球速も、変化球の引き出しも増やして、その成長は素晴らしいものがあった。

 佐々木は、奥川恭伸(星稜)のような即戦力を期待される投手ではないが、しっかりとプロのローテーションを守れる体力を身に付けていけば、自然と大谷クラスの成績を残せる能力はあるといえる。特に、高卒3年目以降がキーポイントだ。この時期から、周囲の期待を上回るほどの活躍を残す可能性が十分にある。

 佐々木朗希がこれから、日本や世界を舞台に活躍するには、本人の努力以外にも、球団の育成方法も大きく関わってくるが、佐々木を日本を代表する大エースに育て上げることができれば、2020年以降のプロ野球界がさらに明るいものになるはずだ。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.18

進学校対決は、「恐るべき9番打者」の活躍で青稜に軍配!【東京春季大会一次予選】

2024.03.18

白鷗大足利 プロ注・昆野に続く第2の投手は現れたのか?【練習試合】

2024.03.18

【センバツ】優勝候補は健大高崎と広陵! 健大高崎は超強力打線&2年生2枚看板、広陵は経験豊富な右腕・高尾に「スーパーエース」の予感!

2024.03.18

復活をかける「元・都立の星」東大和、部員12人でコールド発進!【東京春季大会一次予選】

2024.03.18

淑徳巣鴨が2年ぶりの公式戦勝利! 基礎から見つめ直し新3年生は入学後初の歓喜!【春季東京大会一次予選】

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.15

宮崎の中学から東海大相模へ! スーパー中学生・三渡琢真は超実戦派左腕!

2024.03.16

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.03.13

副業で高校野球の仕事に携わりたい人、大募集!営業、企画管理、編集など、あなたの“できる”を高校野球メディアで生かしてみませんか?

2024.03.13

学生インターン募集開始【2024春】 高校野球の編集・取材・撮影・企画運営など興味のあることに挑戦する半年間!月1回の記事添削講座も。

2024.02.25

取材歴13年「私の出会った個性派キャプテン」たち…叱咤激励型、調整型、高校・大学・社会人ですべて日本一の「殿堂入りキャプテン」も!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.8】

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.02.26

ポニーリーグの球春告げる関東大会が開幕! HARTY氏の大熱唱で協会創立50周年が華々しくスタート! 「まさにプロ野球さながら」

2024.02.24

【大学野球卒業生進路一覧】 2023年の大学野球を盛り上げた4年生たちの進路は?

2024.02.21

センバツ出場32校のユニホームを調べてみた! 漢字とローマ字どっちが多い?ワセダ文字は5校も! レッドソックス風も登場!