Column

「地元の仲間と甲子園に行きたい」から始まった大船渡・佐々木朗希の3年間

2019.10.02

 10月17日に行われる2019年プロ野球ドラフト会議。星稜奥川恭伸や明治大・森下暢仁らと並び、今年のドラフトの目玉の一人として注目されてるのが大船渡佐々木朗希だ。最速163キロの未完の大器の交渉権を獲得するのはどの球団なのか。今回は、ドラフト前に佐々木の3年間の歩みを振り返ろう。

高2時の評価は「今年のドラフトでも1位」

「地元の仲間と甲子園に行きたい」から始まった大船渡・佐々木朗希の3年間 | 高校野球ドットコム
佐々木朗希(大船渡)

 岩手県陸前高田市で育った佐々木は、東日本大震災の影響で大船渡市に移り、中学時代は大船渡一中では軟式野球部に所属。当時から140キロを計測するなど、県内では知られる存在だった。「地元の仲間と甲子園に行きたい」と進学した大船渡では、1年夏からベンチ入りを果たし、公式戦初登板でいきなり147キロを計測。大谷翔平級の逸材が、またしても岩手に現れたという衝撃とともに、瞬く間にその名を全国に轟かせた。

 1年秋は登板なしで終え、迎えた2年春の県大会、公式戦初先発を果たすと、153キロを計測。夏には2回戦で完投勝利を挙げるなど、最速を154キロまで伸ばした。チームは3回戦で敗れたものの、当時の佐々木を観たスカウトたちが「今年のドラフトでも1位」と絶賛する投球を見せる。

 迎えた2年秋、背番号1を背負い岩手大会ベスト4入りを果たすも、3位決定戦で専大北上に敗れ、東北大会、翌春選抜出場が絶たれた。しかしこの大会でも済美・安樂智大がマークした2年生最速タイとなる157キロを叩き出すなど、順調にその才能を伸ばし続けた。

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全国が衝撃を受けた高校生最速163キロ

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U-18日本代表の佐々木(大学日本代表戦)

 今春選抜終了後に行われた高校日本代表候補の合宿に参加した佐々木は、実戦形式のケース打撃で163キロを計測。公式戦ではないが、花巻東大谷翔平(現・エンゼルス)の記録を塗り替え、高校生最速記録を叩き出した。

 大きな注目を浴びる中迎えた高校最後の夏。一戸との3回戦で6回参考ながらノーヒットノーランを達成。盛岡四との4回戦では、初回から150キロ台の速球を連発すると、100球を越えた8回には公式戦初となる160キロを計測。2012年夏、大谷翔平が初めて160キロを計測したのと同じ、岩手県営野球場で大台に乗せて見せた。
 延長12回に及んだ熱闘に、自らのバットで終止符を打った佐々木は、準決勝の一関工戦でも2安打完封勝利。夢舞台へあと一歩というところにまで迫っていたが、花巻東との決勝では出場なしに終わり、大船渡での3年間を終えた。

 その後、8月末に行われた第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップの代表メンバーに選出された佐々木は、大学日本代表との壮行試合に先発登板。右手のマメの影響で1回で降板したが、大学生を相手に1回を打者3人、2奪三振と完璧に封じ込めて見せた。結局、このマメの影響が長引き、大会では不完全燃焼に終わった佐々木だが、そのポテンシャルは誰もが認めるところだ。

 まだまだ身体が出来上がっていないとあって、即戦力としての期待はしづらい。しかし、その体格、身体能力、センスと、どれをとっても一級品であることは疑いようがない。常時150キロ台の直球、コースを狙っても140キロ後半、決めに行くときの直球は160キロ越え…これだけでもロマンを感じずにはいられない。

 大谷以来となる160キロ高校生を獲得するのは、いったいどの球団になるのか。注目して待ちたい。

(記事=林 龍也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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