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森木、笹倉、徳丸など地方大会で躍動した23名のスーパー1年生たち

2019.08.02

 1年から別格の活躍、パフォーマンスを発揮する1年生のことを「スーパー1年生」と呼ばれるが、この夏も1年生が躍動した大会となった。今回は編集部厳選した23名の1年生たちを紹介する。

森木、伊藤、笹倉、石田、風間など早くから潜在能力を発揮する大型投手たち

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森木大智(高知)

 

 1年生たちは入学前から評判が高かった森木大智高知)、笹倉世凪仙台育英)、伊藤樹仙台育英)の3名はすでに高いパフォーマンスを発揮している。

 森木は高知大会で148キロを計測。ただ速いだけではなく、コマンド力も高く、さらに120キロ後半のスライダー、130キロ前後のスプリット、110キロ台のカーブの精度もいずれもハイレベル。何よりいっぱいいっぱいではなく、与力を感じてしまうところが末恐ろしい。高知大会決勝戦でも本塁打を放ち、投打ともに見逃せない。伊藤は、完成度が1年生離れしており、常時130キロ後半の速球は伸びがあり、130キロ近いスプリットも決め球となっている。笹倉は準決勝で最速144キロを計測。左スリークォーターらしいクロスファイヤーは2017年の仙台育英のエース・長谷川拓帆(TDK)の高校時代とひけをとらない。

 3人に並ぶ大器になりそうな投手はたくさんいる。甲子園出場を果たした岡山学芸館仲村 竜は宜野湾中時代から最速139キロの速球を投げ込む逸材として騒がれた好投手。184センチ76キロと、今年の岡山学芸館の中では最もサイズに恵まれている。準決勝の金光学園戦では、リリーフとして1イニング無失点の好投を見せ、最速140キロを計測。左足をあげたときのバランスが良く、体重移動の良いフォームから繰り出す速球は角度があり、順調に成長すれば、西純矢創志学園)のようなスターピッチャーになるかもしれない。西は試合前のブルペンに入れば、一斉にファンが駆け寄り写真撮影する姿も見られたが、仲村もその可能性は秘めている。

 また大型右腕・風間球打明桜)も夏の大会で登板。常時130キロ中盤だった春の東北大会よりも明らかにストレートの凄みが増しており、輿石監督も「ロッテに進んだ山口航輝に負けないピッチャーになる可能性がある」と評しているが、それが現実味帯びてきた。山梨県・笛吹ボーイズ出身で、輿石監督に惹かれて、明桜の門を叩いた逸材はどんな進化を描くのか。

 194センチの大型左腕・鴨打瑛二創成館)はこの夏でも登板し、まだ130キロ中盤で、フォームの力強さをかけるが、最終学年にはロマンあふれる速球派左腕へ成長を遂げているか、長い目で見守っていきたい。

 甲子園出場を決めた関東一の大型右腕・市川祐にも注目。新宿シニアから評判だった逸材は、制球力の高さとゲームメイク能力の高さを評価され、ベンチ入り。182センチ80キロと恵まれた体格から投げ込む速球は130キロ前後ながらボールに重みがあり、本人が自信とする制球力の高さも見事で、マウンド上でとても落ち着いている。出力を高めるトレーニングを重ねていけば、140キロ台も見えてくる投手だろう。

 東海大相模の1年生左腕・石田 隼都も最速142キロまで伸びた速球派。細身ながら真っ向から振り下ろすフォームから繰り出すストレートは角度があり、スライダーの切れ味もよい。メンタル的にも強く、甲子園でも快投を見せてくれそうだ。

 昨年のU-15代表として活躍した金井慎之介横浜)も球持ちの良さが優れたフォームから繰り出す130キロ中盤の速球は伸びがあり、来年には常時130キロ後半〜140キロ台を計測していてもおかしくない投手。

[page_break:智辯和歌山、智辯学園にもスーパー1年生が躍動]

智辯和歌山、智辯学園にもスーパー1年生が躍動

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徳丸天晴(智辯和歌山)

 毎年逸材が登場する智辯和歌山は、1年生スラッガー・徳丸天晴はこの夏の和歌山大会でも本塁打を記録。フォロースルーが効いた豪快なスイングは多くの人々を惹きつけるものがあり、何より対応力の高さや抜群の強肩も見逃せない。1年生ながらベンチ入りした中西聖輝も期待の速球派右腕。甲子園のデビューも十分に考えられる。智辯学園も3人のスーパー1年生が甲子園出場に貢献。140キロを超える速球を投げ込む小畠一心、切れの良い速球を強気で押す西村王雅、1年生ながら4番に座った前川右京も完成度の高い打撃技術は1年生離れしており、兄・前川夏輝津田学園)とともに甲子園に出場を果たした。2人とも打撃力が高く、兄弟ともに快打を見せてもらいたい。

 智辯和歌山のライバル・市立和歌山は、貝塚ヤングから評判だった速球派右腕・小園健太、スラッガー・松川虎生は主力選手へ成長。秋以降の活躍も期待される。

 いきなり1年夏で愛工大名電の背番号1を任された田村俊介は左の技巧派として高い完成度を誇り、最速142キロをマークした畔柳亨丞中京大中京)も秋以降の活躍が見逃せない。

 昌平吉野創士はこの夏、3番打者として定着。3回戦の草加東戦で3打数2安打2本塁打5打点の活躍を見せたが、春と比べて打撃フォームの無駄がなくなり、コンタクト力が高まったことが長打を生み出す要因となっている。ライト方向にも長打が打てて、俊足。さらに外野守備ではいつでもライトの深い位置からダイレクト返球を見せるなど、走攻守のスキルの高さは、逸材が多い近年の埼玉でも飛びぬけており、野村佑希井上朋也花咲徳栄)に負けないポテンシャルを持った逸材だ。

 また1年春から高い打撃技術を見せた吉岡道泰専大松戸)、落ち着いた遊撃守備を見せる武藤闘夢帝京)、侍ジャパンU-15代表で鳴り物入りで入学した木本圭一桐蔭学園)は公式戦初打席で本塁打。余計な癖がない打撃技術の高さはずば抜けている。

 決勝戦で逆転となる走者一掃の適時三塁打を放った小田康一郎(中京学院中京)は岐阜大会で打率.632をマークした巧打の左打者。1年生ながら関東一のスタメンを獲得した初谷健心とともに小田も主力選手として活躍。なんといっても打撃センスは素晴らしいものがあり、インパクトまで無駄のないスイング軌道。下半身の使い方、軸の安定感。どれも秀でいている。いきなり甲子園でも活躍が期待できそうだ。

 楽しみな1年生たち。甲子園に進む選手たちは甲子園で躍動を。そして秋に臨む選手たちは主力選手として活躍を。まだ出場機会に恵まれない選手もあと2年ですでに出場している1年生たちを追い抜くチャンスは十分にある。お互いが刺激しあって高校野球のレベルを高めることを期待したい。

(記事・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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