2019年 スラッガー・西川僚祐、149キロ右腕・中森俊介など地方大会でキラリと光った2年生の逸材たち
今年の2年生は逸材野手が多く、夏の大会を振り返っても野手の活躍が光った。そんな夏の地方大会でキラリと光った2年生を紹介していきたい。
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3年生野手も凌駕する勢いの2年生野手たち
左から鵜沼魁斗、山村崇嘉、西川僚祐(春季県大会、春季関東大会で撮影)
まず今の2年生野手を引っ張るのが東海大相模の鵜沼魁斗、山村崇嘉、西川僚祐だ。鵜沼は先頭打者をたびたび記録するなど強打堅守のセンター。昨秋からミート力の高さが光ったが、だいぶパワーが出てきた。また山村は高校通算38本塁打、西川は高校通算42本塁打と順調に数字を伸ばしている。西川は入学前、「中学ではジャイアンツカップで東京ドームでホームランを打ちましたので、横浜スタジアム、甲子園で打ちたい」と語っていたが、横浜スタジアムでホームランを放ち、残るは甲子園だけだ。その可能性は十二分に持っている。
また選抜で大ブレイクした来田涼斗(明石商)も甲子園に乗り込む。25打数8安打4打点と無安打の試合が2試合もあり、来田らしくないと思わせるあたり、来田の期待の高さがうかがえる。
甲子園に登場する井上朋也(花咲徳栄)も5回戦の所沢商戦で右中間へ弾丸ライナーでホームラン。勝負強い打撃は磨きがかかっており、さらにライトからの鉄砲肩も魅力。夏の甲子園でも活躍が期待できそうだ。
選抜準優勝の習志野は守備範囲の広さ、スピーディな守備を誇る角田勇斗、勝負強さが増した右の強打者・高橋雅也を中心に、2年生に逸材がそろう。夏の甲子園でも大暴れしそうだ。
2年連続で夏の甲子園出場の土田龍空は決勝戦の9回二死。誰もが抜けたと思ったセンター前ヒットを正面の位置に入っていたポジショニングの良さだけでもセンスは超一流と感じさせるショートストップ。滋賀大会では本塁打を放ったように、打撃も力強さが増している。
すでに高校通算31本塁打を放っている渡邉 翔大(昌平)、大阪大会決勝戦で高校通算22号本塁打を放った小深田大地(履正社)も、まるで安田尚憲の高校時代を思い出させるようなスイングだった。また、愛知大会で活躍を見せた遊撃手・中山礼都、捕手に転向したスラッガー・印出太一の進化も見逃せない。
昨年、1年生ながら甲子園に出場した山田響(済美)は2試合連続本塁打。手元までボールを呼び込んで、強い押し込みで本塁打にしてしまう技術とパワーは超高校級だ。
名門・星稜の4番に座る内山壮真は2回戦、準決勝の本塁打とパワーが増している。守備力の高さ、巧打で注目される内山だが、高校日本代表の県外合宿で内山の打撃練習を見たとき、中田翔と思わせるような重心を沈め、腰を鋭く回転させてフルスイングから木製バットでも長打を量産している打撃が目についた。ようやくそのパワーを公式戦でも発揮するようになっている。
1年夏からスタメンを獲得した小松涼馬(帝京)は打撃面で力を発揮できなかったが、セカンド守備はさらに安定度が増している。秋では東京都をけん引する野手となれるか。平尾 柊翔(春日部共栄)は埼玉大会でも2本塁打を放ち、その打撃力はさらに磨きがかかり、この秋は井上に並ぶ埼玉二大スラッガーとして注目を浴びるだろう。
仙台育英の大型内野手・入江大樹はこの夏の宮城大会でもホームランを放ち、飛距離はこの世代でもトップクラス。さらに化けそうだ。
決勝進出の日大藤沢は今大会3本塁打を放った牧原巧汰は、強肩強打の左打者。決して体は大きくないが、縦振りのフルスイングで横浜スタジアムのレフトスタンドに打ち込んだ技術の高さは見事だ。また4番を打つ姫木陸斗もパワー、スピードともに一級品。大化けが楽しみな大型外野手だ。
[page_break:中森、菊地と150キロ近い速球を投げる投手が続々登場!]中森、菊地と150キロ近い速球を投げる投手が続々登場!
中森俊介※写真:共同通信
投手では中森俊介(明石商)は決勝戦で最速149キロを計測。淡々と140キロ中盤のストレート、切れのあるスライダー、フォークを投げ込んで相手を追い込んできたら、ここぞという場面では、140キロ後半の速球で圧倒する投球と、試合状況に応じて強弱をつけるのがうまくなった。
素質ならば、中森に並ぶ篠木健太郎(木更津総合)は140キロ中盤を計測するなど、ストレートの伸びは素晴らしいものはあるが、まだ力勝負にいきすぎて、配球が単調になることが多い。準決勝で習志野に敗れた悔しさをどう生かすか、注目をしていきたい。
菊地竜雅(常総学院)も最速150キロを計測するなど、明らかにパワーアップを遂げており、別格の投球を見せた。敗れた試合を糧に勝てる投手となれるか。また、伸びのある快速球で県大会、春季関東大会で活躍を見せた豆田泰志(浦和実)は、浦和学院戦で完封勝利を挙げ、凄みが増している。これから厳しいマークをされながら投げることになるが、その上を行く投球ができるか。140キロ後半の速球を投げ込み、来年には150キロ越えの期待もかかる高橋宏斗(中京大中京)、143キロ右腕・山下 舜平大(福岡大大濠)も福岡大会では粘り強い投球を続けた。秋では躍動が期待される。
松本 隆之介(横浜)は130キロ後半の速球、落差が鋭いチェンジアップが光る好左腕。宮崎大会で最速146キロを出した有馬太玖登(都城東)も、2020年度の宮崎をけん引する好投手となりそうだ。
この世代は野手のほうが目立っているが、投手も2年生になって体力面の成長によって140キロを超える好投手が多くなってきた。また大会を見ても2年生の好投手が出てきており、この秋はハイレベルな戦いが繰り広げられそうだ。
文=河嶋 宗一
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