高校通算45本塁打のスラッガー・井上広大(履正社)は思考力も非凡。ポイントは「体の中で振る」
3年ぶりに決勝進出を決めた履正社。投打の逸材がそろい、その戦力層の厚さは全国トップクラス。打撃を引っ張る井上広大は高校通算45本塁打のスラッガーだが、思考力の高さも非凡なものがあった。
相手の研究の上をいく打撃をする
井上広大(履正社) ※春の大阪府大会・大阪商大高戦で撮影
大阪大会準決勝・近大附戦の8回裏、二死二塁。2ストライク2ボールから甘めに入った外角へのボールだった。打った瞬間、レフトスタンドへ一直線。今大会3本目は貴重な2ランとなった。この本塁打について、井上は冷静に打てる要因を話をした。
「前半、タイミングが合わなかったので、少しずつポイントを近くすることで合わせていきました。そのためにバットを引くテークバックの動作を少し小さくしたことで、内から出るようになり、ホームランにできたと思います」
このように井上は試合中に微調整を行い、実行ができる。試合中の微調整を行うようになったのは、大会に入ってからだ。
「大会に入るとマークが厳しくなるのはわかってきます。その中で、相手の攻め方に応じて打撃フォームも微調整を行います。相手の研究の上をいく打撃をずっと心がけています」
その結果が22打数9安打、3本塁打9打点の活躍につなげている。井上の長打力が開花の兆しを見せたのは2年秋から。そのきっかけは打つポイントを変えたことだった。
「今までは投手よりのポイントで打っていたのですが、秋から捕手寄り。後ろのポイントでとらえるようになりました。そうなるとかなり飛ぶようになったのですが、相手投手のボールが速いと振り遅れも多くなったので、スイングスピードを速くする練習に取り組んできました」
さらに技術的に意識しているポイントとして井上は軸足(右足)を挙げた。
「右足の近くで振るといいますか、そうすることで、僕の意識としては内側で振ることができるので、無駄がなく、捉える確率も高まります。『体の中で振る』 。これを最も意識していることです」
187センチ97キロと高校生離れの体格をしているが、これまでの本塁打は持ち前のパワーを生かす技術と思考力があって成り立っているのが分かる。
決勝戦の相手は金光大阪。好左腕・辻本 湧斗、伸びのあるストレートを投げる右腕・鯵坂 由樹との対戦となる。果たして井上は3年ぶりの甲子園出場を導く豪打を見せることができるか。
文=河嶋 宗一
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