Column

【BIG5特集】井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ!

2019.06.12

 2019年度の高校生投手『BIG5』はズバリこの選手だ!
佐々木朗希大船渡
奥川恭伸星稜
西純矢創志学園
及川雅貴横浜
井上広輝日大三

 高校野球ドットコムでは、2019年度のBIG5ピッチャーたちの大会直前の仕上がり状況や、夏に向けての歩みをレポート!今日から5日連続で配信していきます!まず第一弾は、井上広輝日大三)!

キューバ打線でも主導権を握ってしまう井上の凄さ

【BIG5特集】井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ! | 高校野球ドットコム
キューバ遠征時の井上広輝(日大三)

 昨年12月のキューバ遠征でみた衝撃が忘れられない。ノーワインドアップから始動し、大谷翔平ばりのテークバック。しなやかな腕の振りから繰り出す145キロ前後のストレートは、ストレートに強いキューバ打線でも打ち返すことができない。

 他の4人にはない井上の武器といえば、シンカー気味に落ちる120キロ台のチェンジアップだ。キューバの4番打者からチェンジアップで打ち取った時の軌道は見たことがないものだった。何より良かったのは相手打者を恐れない姿勢。キューバ打線でも井上が主導権を握って投げているのを見て、改めてメンタル、技術も一流の投手だと実感させてくれた。

 井上は最速150キロを超えるストレートが注目されるが、登板時では平均球速140キロ台を計測するスピード能力の高さ、スライダー、カーブの精度も標準以上のものがあり、低めの制球力の高さだけではなく、高めのストレートでも勝負できる。

 最近は130キロを超える高速変化球を投げる高校生も多くなってきたが、井上は純粋にストレートで勝負できる投手。その威力にはキューバの打者も苦しみ、キューバ遠征では5回11奪三振の好投。失点も完璧に打たれたものではなく、詰まらせてのものだった。当初から日本代表入りし、世界の舞台で戦いたいと考えていた井上にとっては自信になるものだった。

【BIG5特集】井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ! | 高校野球ドットコム
春の大会での井上広輝(日大三)

 この春の活躍を見るとリリーフ中心の投球が光った。1年生のときから慎重な起用が続いていた井上。2年春に肘を痛め、そこから極力、練習試合で登板する時も7割程度の力で投げるなど、出力を抑えながらの投球だった。

 右腕をムチのようにしならせることで、鋭い腕の振りを見せ、それが高校生離れした速球を生んでいるが、その分、負担は大きい。出力を抑えたり、イニングを制限しながら、これまで準備をしてきた。井上の将来を考えた育成と運用ができているといえるだろう。

 昨夏には150キロを見せたように、井上の潜在能力は高校生トップレベル。先日行われた東邦との招待試合の最速は144キロだったが、実際に投球を見ると、その内容は悪いものではなく、順調に仕上がっている様子が見られた。

 将来的な観点でいえば、井上は高校を卒業して、2年目、3年目に平均球速を上げて、さらに長いイニングを投げられる先発投手になるのではないだろうか。

[page_break:東京代表の選手たちも憧れたチームリーダーの一面]

東京代表の選手たちも憧れたチームリーダーの一面

【BIG5特集】井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ! | 高校野球ドットコム
チームメイトに声援を送る井上広輝(日大三)

 そして井上のもう1つの顔を知ってほしい。それはチームリーダーとしての自覚があることだ。それを強く感じたのはキューバ遠征。東京代表のベンチを見ると、ベンチから大きな声を出し、またキャッチボールしている時でも、「短く持って、しぶとく!」など激励している様子が見えたのだ。こんな井上の一面があるのかと驚きを隠せなかった。

 同じ東京代表のメンバーだった小松涼馬帝京)は井上について、「選手同士のミーティングでも真っ先に喋りますし、リーダー的な存在でした。井上さんは打撃も凄いですし、打撃も教えてくれます」

 小松は第1戦で速球投手から2本の長打を放った。それは井上から「バットを短く持て」とアドバイスを受けたことが大きいようだ。野手がアドバイスすることはあっても、投手がアドバイスする話はあまり聞いたことがない。
 そんな男前な一面があるのは日大三の教育があるからだと思う。

 2年前、左腕エース・櫻井周斗がプロ入りした際、小倉全由監督は櫻井へこんな言葉を送った。
「背負う選手にならなきゃだめだ、チームを背負う男になれと言ったことを、一番感じてくれたということが一番うれしいですね。その思いでプロに行ってもらいたいし、忘れないでやってほしいですね」
 その言葉は井上の立ち居振る舞いを見れば、しっかりと引き継がれていることがわかる。

 西東京のライバルが井上を打ち崩すことに燃えている中、井上はそれを寄せ付けない圧倒的なピッチングを見せることはできるか。
 世界で戦いたい。そう願う井上にとって大事な夏となる。

文=河嶋宗一

~BIG5特集~
6月12日(水)昼12時配信…井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ!
6月13日(木)昼12時配信…西純矢(創志学園) 厳しいマークを乗り越え、昨年より進化したピッチングを
6月14日(金)昼12時配信…及川雅貴(横浜)復活・覚醒をかけたモデルチェンジ
6月15日(土)昼12時配信…奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー
6月16日(日)昼12時配信…佐々木朗希(大船渡)令和元年の至宝!この夏、全国と世界へ羽ばたけ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

【山形】鶴岡東は村山産業と山形工の勝者と対戦<春季シード決定ブロック大会組み合わせ>

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード