第201回 佐々木、及川の実力は?研修合宿に参加した投手14名を徹底考察!【東日本編】2019年04月09日

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【目次】
[1]漫画のような佐々木 朗希
[2]伸び代はまだまだある3投手!

 4月5日から行われた高校日本代表研修合宿は座学、紅白戦、実戦形式の練習があり、非常に内容の濃いものであった。全国トップレベルの選手が切磋琢磨する姿は見ていて面白いものがあった。選手を分析するものからすれば、これ以上ない機会をいただき、感謝を申し上げたい。今回は参加選手のパフォーマンスを実際に考察していきたいと思う。まずは東日本の投手から。

漫画のような佐々木 朗希



最速148キロ右腕・小林 珠維(東海大札幌)

小林 珠維東海大札幌):投手/3年/183/86/右/右
 最速148キロ右腕。研修合宿1日目の時にあまり調子が良くないと語っていたが、その言葉通り、ストレートの球速は最速140キロにとどまった。それでも120キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを投げ分け、粘り強い投球を見せた。投球フォームを見ると、上半身と下半身の連動が弱く、上半身の動きだけで投げている。札幌支部予選にかけて調子を上げることを期待したい。

佐々木 朗希大船渡):投手/3年/190/86/右/右
 文句なしで世界レベルの逸材。比較対象が日本の高校生ではなく、アメリカ代表の剛速球右腕になる。2017年のアメリカ代表は150キロ越えの右腕が4人いたが、彼らと比較しても素材は間違いなく上だ。彼がいるだけで、日本人投手は凄いと優越感に浸ることができる。

 スカウトのガンでは、最遅が150キロ中盤で、最速160キロを超えていた。大絶賛のコメントが相次いでいるが、それが大げさではないぐらいすごかった。よく漫画では剛速球を「ごおおお」「ぎゅるるる」など擬音を使って表現するが、それが現実に起きているように感じられた。190センチで、縦回転を使った投球フォームをしているので、ボールには角度が感じられ、昨年よりも空振りが奪えるストレートとなった。さらには130キロを超えるフォーク、スライダーの切れ味の鋭さは初見ではなかなか捕球できないものだ。スライダーは左打者に対してはフロントドア(アウトコースのボールゾーンからストライク)を使って見逃し三振に取り、スプリットで空振りを奪うなど、6奪三振のうち5つが変化球だった。

 変化球のレベルも高いので、少ない球数で抑えることができる。走者一塁の場面でも淡々と自分のピッチングができていた。本人は緊張していたというが、佐々木の投球を目の当たりにしていた参加選手、報道陣、スカウト、ファンの方は「いやいや落ち着いていて堂々としていたじゃん」と思ったはずだ。

 佐々木の良さは自分のルーティンを持っているということ。まずキャッチボール。剛速球投手にしてはかなり距離が短い。ほかの選手たちが塁間以上で投げているのに対し、佐々木は塁間の距離で投げていたのだ。速球投手のキャッチボールを見たことがある人ならばわかると思うが、距離は長い。60メートルぐらいの距離からライナー性で投げ込み、「やっぱり投手のキャッチボールってすごいんだな」と感じるが、佐々木は一定の距離だ。本人は「いつもやっていること」という。

 その距離で左足を胸の高さまで上げていき、縦回転のフォームから淡々と投げ込み、自分の動きを確認しているのだ。また、肩甲骨が非常に柔らかく、合宿2日目に及川 雅貴とキャッチボールをする前に肩甲骨のマッサージをやっていたが、かなりの柔らかそうだった。また3日目はマエケン体操をして、肩甲骨を動かすストレッチは必ずやっている。そういうところから故障を防ごうとする意識が見える。



肩甲骨のマッサージを行う佐々木朗希と相手を努める及川雅貴

 佐々木の柔軟性の高さは写真を見ていただければ、お分かりいただけると思う。さらに足を勢いよく踏み込んで、柔軟な上半身によって尋常ではない回転力のあるフォームとなっている。普段の口ぶりはシャイだが、自分のやるべきことをしっかりやっていて感心させられた。

 ただ今年に入ってから登板時のイニング数はまだ少ない。長いイニングを投げてみて、今のような効率的な投球ができるか。金属バットを持つ打者に対して、圧倒できるか。

 佐々木の場合、並外れた速球を投げる分、負担も比例して上がってくる。165キロ、170キロという声もあるが、そこにこだわって出力を高めすぎると、故障のリスクはさらに高くなる。

 佐々木は7割~8割の出力で、完成度の高いピッチングをするべきではないか。佐々木に求めたいのは165キロではなく、程よい出力で、少ない球数で、抑える投球術を身に付けること。ファン、メディアからすれば物足りなさは感じるだろう。しかしそれが佐々木の才能を守り、強豪校相手にも抑えられる投手になるために大事なスキルといえる。

 世界最速を狙うのは、しっかりと負荷を耐えうる肉体になってからでも遅くはない。

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副編集長 河嶋 宗一
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  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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