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球界を席巻しつつある若手スターは1994年世代から始まった【前編】

2019.03.07

 近年の野球界は若手のスターが球界を席巻しつつある。その発端は大谷翔平だと思う。高卒2年目で10勝・10本塁打を放ち、そのまま超一流の階段を上っていったように、大谷に続くように、1995年世代以降の選手たちが球界を席巻しつつある。

 現在の若い選手はNPBに入っても、高卒初年度からそれなりのパフォーマンスが出来る選手が多いのだ。2020年以降、野球界のレベルをさらにレベルアップさせるであろう1994年世代以降のトップレベルの選手を紹介したい。

全米を震撼させた大谷を筆頭にスターが多い1994年世代(1994年4月2日~1995年4月1日生まれ)

球界を席巻しつつある若手スターは1994年世代から始まった【前編】 | 高校野球ドットコム
94年世代を代表する選手たち(左から藤浪晋太郎、大谷翔平、鈴木誠也選手)

 この世代のトップといえば、大谷翔平(1994年7月5日生まれ)だろう。NPB時代は2014年、NPB史上初となる「2桁勝利・2桁本塁打」を達成。2015年には最優秀防御率、最多勝利、最高勝率の投手タイトルを獲得。2016年には10勝、22本塁打を放ち、優勝に貢献。そして2018年にはエンゼルスで4勝、打率.285、22本塁打と投打で活躍し、アメリカンリーグの新人王に輝いている。

 また、1994年世代の選手でポテンシャルならば大谷にひけをとらない阪神・藤浪晋太郎(1994年4月12日)は苦戦が続いている。高卒3年目まで3年連続二けた勝利を挙げたまでは良かったが、投球フォームが固まらず苦しんでいる。現在は腕を下げたフォームにしているが、それがはまるか。

 また1994年世代の野手トップは鈴木誠也(1994年8月18日生まれ)、入団4年目の2016年から大ブレイクを果たし、3年連続で25本塁打以上。このままMLBにいかず、30歳を迎えた時点で、250本塁打~300本塁打を打つ可能性を秘めた選手ではないだろうか。

 他では昨年、パ・リーグ新人王の田中 和基(1994年8月8日)、千葉ロッテの正捕手・田村龍弘(1994年5月13日)、中日ドラゴンズのショートストップ・京田陽太(1994年4月20日生まれ)、2017年新人王左腕・濱口遥大(1995年3月16日生まれ)、天才的なバットコントロールを見せる西川龍馬(1994年12月10日生まれ)、オリックスの速球派リリーバー・黒木 優太(1994年8月16日生まれ)など多くの選手が成長を見せている。

 ちなみにこの世代、野球界だけではなく、五輪2大会連覇のフィギュアスケーターの羽生結弦選手や、エンタメ界では先月、卒業した乃木坂46の西野七瀬さんなどお茶の間で人気なタレント・アイドルが多いのも特徴である。

小さくてもテクニック、パワー、メンタルの強さを秘めた1995年世代(1995年4月2日~1996年4月1日生まれ)

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左:松井裕樹投手 右:森友哉選手

 この世代でトップを走るのは投手ならば松井裕樹(1995年10月30日)、野手ならば森友哉(1995年8月8日生まれ)だろう。2人ともプロ野球選手の中ではそれほど体が大きい選手ではなく、松井は174センチ74キロならば、森は170センチ80キロなのだが、テクニック、パワー、メンタルの強さが群を抜いている。

 松井は高卒1年目では先発を中心に27試合に登板。2年目からクローザーに転向し、現在は101セーブ。森は高卒1年目から6本塁打を放ち、昨年は打率.275、16本塁打、80打点と打撃では活躍を見せ、課題の守備面でもフレーミング技術が格段に磨かれ、打てる捕手として成長を見せている。

 この世代、小柄な好投手が多く、今年オリックスの開幕投手を任される山岡 泰輔投手(1995年9月22日生まれ)、2017年に13勝を挙げた田口 麗斗(1995年9月14日生まれ)、昨季、11勝を挙げ、新人王を獲得した東克樹(1995年11月29日生まれ)も170センチ78キロと投手として小柄だ。決して大きくなくてもプロの勝負でも証明してくれた世代だと思う。

 上記3人以外では、昨季22本塁打を放った福岡ソフトバンクが誇るアスリート型外野手・上林 誠知(1995年8月1日生まれ)、昨季12本塁打を放った東北楽天の若きスラッガー・内田靖人(1995年5月30日生まれ)など少しずつ台頭を見せている。

[page_break:1996年世代/1997年世代]

キャラクターが濃く、ポテンシャルが高い1996年世代(1996年4月2日生まれ~1997年4月1日生まれ)

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左から岸潤一郎、安楽智大、岡本和真、松本航選手

 この世代はとにかくキャラクターとポテンシャルの高さを兼ね備えた逸材が多い。能力はもちろんだが、いろいろな選手がキャラ立ちしていて面白い世代だ。高校時代、最速157キロを計測した剛腕・安樂智大(1996年11月4日生まれ)、精神的に図太く、伝統の巨人4番を担った岡本和真(1996年6月30日生まれ)は、昨シーズン、史上最年少で3割30本100打点を達成。さらには西武の若きエース候補・高橋光成(1997年2月3日生まれ)も球速は150キロを超える大型右腕。何よりマイペースな性格も魅力。田嶋大樹(1996年8月3日生まれ)などこの世代は自分の道を突き進む選手が多い。

 かといって、プロ入りしてはいないが、徳島インディゴソックス・岸潤一郎(1996年12月8日生まれ)のようにビジュアルが優れた選手もいれば、昨年の明治神宮大会で逆転2ランを放ち、MVP的な活躍を見せた伊藤 裕季也(1996年8月30日生まれ)はまさに男前キャラ。プロ顔負けの自己管理能力、人間性の高さを秘めた埼玉西武のルーキー・松本航(1996年11月28日生まれ)などいろんなキャラクターを持った選手がいて、非常に面白い世代である。

洗練されたスターが集まった1997年世代(1997年4月2日~1998年4月1日生まれ)

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左から森下暢仁、平沢大河、オコエ瑠偉、勝俣翔貴選手

 1996年世代と違うのはビジュアル的にもプレーヤーとしても洗練された選手が多かったのが1997年世代。特に野手はその傾向が顕著だ。
 オコエ瑠偉(1997年7月21日生まれ)、平沢大河(1997年12月24日生まれ)、選抜優勝投手となり、プロ入り後に野手に転向した平沼翔太(1997年8月16日生まれ)と高校時代から高校生とは思えないスピーディーさとセンスのある動きを見せていた選手だ。

 またビジュアル的には千葉ロッテの若き左腕・成田翔(1998年2月3日生まれ)や大学野球でドラフトの目玉となっている森下 暢仁(1997年8月5日生まれ)も甘いマスクがウリの剛腕だ。

 また小笠原慎之介(1997年10月8日生まれ)のようながっしり体形で、丸顔の大型左腕もいれば、大学生ナンバーワンスラッガー・勝俣 翔貴(1997年7月20日生まれ)は愛される要素しかない天然キャラ。今後、プロに入れるぐらいの結果を残して、そしてプロ野球で活躍すれば、人気打者になる可能性を秘めている。

(記事=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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