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ポスト山川、柳田はこの中に!2019年・大学野球の主役は彼らだ!

2019.01.18

 「TOKYO2020」が目前に迫る2019年。侍ジャパントップチーム・世界一奪還への先陣を切る存在として注目されるのが7月16日(火)に開幕、全5戦の「第43回日米大学野球選手権大会」を闘う侍ジャパン大学代表である。
 そこで今回は昨年12月に開幕戦開催地となる愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで行われた「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」で、大会代表予定枠24名を巡るアピール合戦を繰り広げた39名を中心に、2019年の大学球界の主役候補たちを紹介。

 2020年以降の野球界をけん引していこうとする彼らを「高校野球ドットコム」らしく高校時代との比較や写真・映像も交えながら紹介していこう。
*学年は4月からの新学年で表示します。

「侍ジャパン」経験者が見せる輝き

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侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿に参加した選手たち

第42回日米大学野球選手権大会/第29回ハーレムベースボールウィーク
侍ジャパン大学代表 経験選手
<投手>
森下暢仁 (明治大4年)   180センチ73キロ 右投右打 大分商
津森宥希 (東北福祉大4年) 177センチ80キロ 右投右打 和歌山東
田中誠也 (立教大4年)   173センチ65キロ 左投左打 大阪桐蔭
伊藤大海 (苫小牧駒澤大3年)175センチ80キロ 右投右打 駒大苫小牧
小郷賢人 (東海大3年)   180センチ80キロ 右投右打 関西
<捕手>
海野隆司 (東海大4年)   173センチ80キロ 右投右打 関西
佐藤都志也(東洋大4年)   180センチ77キロ 右投左打 聖光学院
藤野隼大 (立教大4年)   181センチ83キロ 右投右打 川越東
<内野手>
勝俣翔貴 (国際武道大4年) 177センチ78キロ 右投左打 東海大学菅生
佐藤輝明 (近畿大3年)   186センチ92キロ 右投左打 仁川学院
児玉亮涼 (九州産業大3年) 165センチ60キロ 右投右打 文徳

当時メンバー24名中11名
末尾の「*」は昨年12月の「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」参加選手(3名)

2018 FISU世界大学野球選手権大会 侍ジャパン大学代表(東京六大学選抜)
<投手>
石井雄也 (慶應義塾大4年) 175センチ75キロ 右投右打 慶應志木
小林大雅 (東京大4年)   167センチ70キロ 左投左打 横浜翠嵐
中川颯  (立教大3年)   184センチ79キロ 右投右打 桐光学園
高田孝一 (法政大3年)   183センチ88キロ 右投右打 平塚学園
磯村峻平 (明治大2年)   177センチ81キロ 左投左打 中京大中京
<捕手>
郡司裕也 (慶應義塾大4年) 180センチ83キロ 右投右打 仙台育英
<内野手>
檜村篤史 (早稲田大4年)  181センチ78キロ 右投右打 木更津総合
相馬優人 (法政大4年)   173センチ70キロ 右投左打 健大高崎
福岡高輝 (早稲田大4年)  174センチ74キロ 右投左打 川越東
<外野手>
柳町達  (慶應義塾大4年) 180センチ72キロ 右投左打 慶應義塾
加藤雅樹 (早稲田大4年)  185センチ85キロ 右投左打 早稲田実

当時メンバー22名中11名
末尾の「*」は昨年12月の「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」参加選手(4名)

 まずは2018年の侍ジャパン大学代表の状況を読者の皆さんに知って頂くため、上記の表を作ってみた。このように昨年も約半数が下級生を占めていた「侍ジャパン大学代表」において、来る2019年も彼らが中心となるのは間違いないところだろう。

 事実、「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」に参加した7名はやはり3日間を通じて場慣れ感が随所に見えた。特に捕手については「甲斐野央(東洋大~福岡ソフトバンクホークス)や松本航(日本体育大~埼玉西武ライオンズ)と招集した投手陣との違いをレポートしてほしいので招集したが、経験があるし明るくやってくれる」(侍ジャパン大学代表・生田 勉監督)と評した海野、佐藤、藤野に加え、侍ジャパンU-18代表として2015年に日本開催の「第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で、森下、勝俣、平沢大河仙台育英~千葉ロッテマリーンズ)、オコエ瑠偉(関東第一~東北楽天ゴールデンイーグルス)、当時早稲田実1年だった清宮幸太郎(北海道日本ハムファイターズ)らと共に世界と戦った郡司の4名が二塁送球タイムやインサイドワークを見ても図抜けていた。

 「打撃はいい」とNPBスカウト陣も好評価を与える郡司をはじめ、高校時代は知る人ぞ知る存在だった藤野や、一定評価は得るも絶対的ドラフト候補までには至らなかった佐藤、海野も交えてのハイレベルな代表定位置争いは、ドラフト戦線の行方も含め2019年大学野球の最大注目点である。

[page_break:「木更津総合~早稲田大コンビ」に着目せよ]

「木更津総合~早稲田大コンビ」に着目せよ

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早川隆久(早稲田大)は大学でさらにスケールアップした

 もう1つ2019年の大学野球で着目してほしいのは、侍ジャパン経験者の括りにも入るこのコンビ。共に木更津総合から早稲田大のルートを辿った大型ショートストップ・檜村篤史(4年・181センチ78キロ・右投右打)と、2016年に侍ジャパンU-18代表で「第11回BFA U-18アジア選手権」を寺島成輝(履正社~東京ヤクルトスワローズ)、藤平尚真(横浜~東北楽天ゴールデンイーグルス)、堀瑞樹(広島新庄~北海道日本ハムファイターズ)今井達也(作新学院~埼玉西武ライオンズ)、藤嶋健人(東邦~中日ドラゴンズ)らと戦った左腕・早川隆久(2年・179センチ72キロ・左投左打)の両名である。

 高校時代からセンスの高さはドラフト候補レベルだった2人だが、侍ジャパン大学代表選手強化合宿の紅白戦ではレフトボール際にライナーで飛び込む本塁打を放った檜村、最速147キロ・145キロ前後を安定して出した早川共に体軸の強さと回転力の速さ、上手さが当時とは格段に上がっていた印象。「リリースポイントと体重移動を教わった」(早川)早稲田大・小宮山 悟監督による千葉ロッテマリーンズ、横浜ベイスターズ、MLBニューヨーク・メッツなどでの選手経験等々を活かした指導が早くも成果を出しつつあることがうかがえた。

 これも高校時代からの課題であった状態のムラさえ克服できれば、当然2人は侍ジャパン大学代表に入るべき存在。特に「『残りの大学2年間で20勝は頼むぞ』と言われている」早川は、2020年ドラフト1位に最も近い大学生と言えよう。

 その他にも、横浜時代は1学年下の藤平から3番手格だったものの、日本体育大での探究で急成長。侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿紅白戦で150キロを叩き出した北山比呂(4年・176センチ78キロ・右投右打)なども、今からマークしておいてほしい選手である。

「ポスト山川 穂高・柳田 悠岐」は大学球界にあり

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東海大菅生時代から注目されていた勝俣翔貴

 中部商では沖縄県屈指の右スラッガーにとどまっていたが、富士大2年で侍ジャパン大学代表に引き上げられ、今や日本球界屈指の右の大砲となった山川 穂高(埼玉西武ライオンズ)。一方、広島商では日の当たる道を歩いていなかったものの、広島経済大で俊足強打の左打外野手としてブレイク。さらに福岡ソフトバンクホークス入団後の飛躍で世間一般にも認知される野球人となった柳田悠岐。いずれも大学球界が生んだ至宝である。

 そんな彼らの大学時代から10年近くが経過した2019年。その系譜は確実に受け継がれ、ポスト山川穂高柳田悠岐」の芽吹きは目前に迫っている。

 まず左打者で言えば国際武道大4年・勝俣と近畿大3年・佐藤。高校時代からスイングの鋭さが持ち味で「第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」でも木製バットで本塁打を放った勝俣は、大学でも順調に成長。今年の侍ジャパン大学代表にもリストアップされることはほぼ確実視されており、2017年・侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿での大アピールを契機に初の侍ジャパン入りを果たした佐藤も、逆方向に本塁打が放てるパワーを有している。

 これに対し、「右打者の発掘」に重点がおかれた昨年12月の侍ジャパン代表候補選手強化合宿で、大きくアピールに成功したのが東海大相模時代に横浜スタジアムのスコアボード直撃弾を放っている赤尾光祐(東海大北海道キャンパス2年・外野手・181センチ93キロ・右投右打)だ。山川穂高を彷彿とさせる体系から放つスイングインパクトの強さ、飛距離、打球スピードは「外国人の150キロに対しても振り負けていなかった」(生田監督)山川の2年生当時と比較してもほぼ同格だった。彼も順調に春のリーグ戦を推移できれば、初の侍ジャパン代表入りは濃厚である。

 このように今回は大学野球を少し異なる目線で追ってみた。世間的には右本格派の明治大・森下、右サイドの剛腕・津森や第一項で記した捕手陣に注目が集まるであろう2019年の大学野球界であるが、皆さんはもう少し長いスパンで俯瞰して、ぜひ「先取り選手」を発掘してほしい。2年半が現役生活の高校野球より1年ほど長い大学野球ならではの面白みがそこにあるのだから。

(記事=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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