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02年世代は野手豊作世代だ!まだまだいるスター性を秘めた野手たち【後編】

2018.12.16

 2020年には高校3年生となる現在の高校1年生たち。02年生まれとなるこの世代は清宮幸太郎など数多くのスラッガーを輩出した99年生まれに匹敵する野手豊作世代だと主張したい。個人的には来年の世界ワールドカップについては、1年生野手を多めに入れてもいいのでは?と思わせるぐらい、レベルが高い布陣なのだ。

 後編では各ポジション別で逸材野手を紹介していく。

02年世代は野手豊作世代だ!プロ入りした先輩たちを凌駕する可能性を持ったスラッガーとショートストップたち【前編】

二塁手にはセンスが優れた野手がそろう

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山田 将義(二松学舎大附)

 捕手では、山田 将義二松学舎大附)がトップクラス。立ち居振る舞いを見ていてもとても1年生とは思えず、二塁送球1.9秒台の強肩、正確性が高い打撃と高レベルで、今年指名を受けた田宮 裕涼成田)のような捕手へ成長する可能性を秘めている。そしてその成田で田宮から後を継いだ1年生捕手・古谷将也は地肩自体は、田宮にひけを取らないものを持っており、打撃もパワフルだ。

 1年春から正捕手を務める栗田勇雅山梨学院)は複数投手陣の持ち味を引き出すリード、強肩が光る好捕手。パンチ力ある打撃で打点をたたき出し、秋季関東大会4強に導いた。

 一塁手の印出 太一中京大中京)は1年春から出場を続ける強打の一塁手。思い切りのよい打撃から長打を連発。来年にかけて本塁打量産も期待できそうな逸材である。国士舘の優勝に貢献した黒澤 孟朗国士舘)も独特の構えから鋭い打球を連発する。

 中学時代から評判が高かった度会 隆輝横浜)は順調に成長を見せている。元プロ野球選手の度会博文氏の次男で、侍U-15代表を経験。1年夏は代打を中心に活躍し、1年秋は3番セカンドとしてチームを引っ張る存在へ成長。操作性が高い打撃、機敏な動きが光る二塁守備。一つ一つの所作にセンスの高さを感じさせる選手である。

 何より多くの人に好かれそうな笑顔、そして誰にでも気さくに話ができる人間性はスターになる素質を秘めている。二塁手としてかなり高レベルで、高卒プロを意識できる存在になるのか注目したい。

 同じく二塁手の宗山 塁(広島広陵)は、明治神宮大会では奥川恭伸星稜)から2安打。最速149キロのストレートをはじき返した打撃を見ると、インサイドアウトで振り抜くことができており、速球をとらえる目の良さがある。二塁守備を見ても機敏で、さらに俊足。

 先輩の福田 周平(オリックス)の高校時代を上回る可能性を秘めている。夏の甲子園・慶應義塾戦で活躍を見せた広瀬 航大中越)の振り切るスイングから放たれる打球は高速で、二塁としての動きを見ると動きが良く、楽しみな逸材。

[page_break三塁手には強打者が集う 外野手では細川凌平(智辯和歌山)がダントツ]

三塁手には強打者が集う 外野手では細川凌平(智辯和歌山)がダントツ

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細川凌平(智辯和歌山)

 奥村真大龍谷大平安)は奥村 展征(東京ヤクルト)の弟として知られるが、救い上げるようなスイングから長打を連発する。ここぞという場面では、勝負強さを発揮し、近畿大会準々決勝ではサヨナラ安打を放っている。
 同じ三塁手では、松本 憲信成田)に注目。県大会の船橋芝山戦で[stadium]柏の葉公園球場[/stadium]の上段に飛び込む本塁打。プロ入りした先輩・田宮 裕涼よりも潜在能力は上で、左打席に立った時の雰囲気がただものではない。打撃の可能性を広げ、さまざまな投手に対応し、さらに逆方向にも長打が打てるようになれば、全国区の打者と呼ばれる存在になっていてもおかしくない。

 慶應義塾本間颯太朗は秋の県大会準々決勝の横浜商戦で場外本塁打を放った。165センチほどしかないが、植田拓盛岡大附-バイタルネット)を彷彿とさせるようなスイングから変化球、速球をとらえ鋭い打球を連発する。慶應義塾は毎年、ハイレベルな打者が育つので、見逃せない。

 本間は井上朋也花咲徳栄)、福岡勇人健大高崎)と同じ生駒ボーイズ出身。生駒ボーイズトリオが日本の高校野球界を沸かせる存在になるのか、楽しみだ。東北大会では打率.375の高打率を残した入江 大樹仙台育英)は、堺ビッグボーイズで活躍を見せた右の強打者。仙台育英では久しぶりの大型打者である。

 西村 貫輔高知商)は甲子園で12打数6安打と大活躍を見せた三塁手。大舞台でも動じないメンタルの強さ、ボールを手元まで呼び込み高速スイングで広角に打球を飛ばすことができる高い打撃技術は素晴らしかった。1年生ながらクリーンナップを打つ新井 晶琉早稲田実業)もとらえた打球が鋭い大型三塁手だ。

 外野手では細川凌平智辯和歌山)がダントツだろう。秋にかけて、打撃面、守備面がレベルアップ。抜群のミート力を生かして、広角にも長打が打て、守備範囲が広く、強肩を生かした中堅守備は全国クラス。船曳 烈士大阪桐蔭)は秋季大阪大会で本塁打を放った成長株の大型外野手。実力的には青柳昴樹 (横浜DeNA)の3年時に並ぶ可能性を持った選手といえるだろう。

 1年生でこれほど名前が出るのはなかなかないこと。だが、高校野球はスタートが遅いことは決して悪いことではない。安田尚憲履正社-千葉ロッテ)も台頭するようになったのは、2年春から。今、名前に挙がらなくても来年ブレイクするための準備をしてほしい。

 今、名前が挙がった選手は素直に自分の実力を高めていってほしいし、一気に高校トップクラスの実力を身に付けた野手も出てきてほしい。そういう循環が続くことで日本の高校野球界は一気に底上げされる。来年は02年生まれ野手が高校野球を盛り上げることを期待したい。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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