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2019年ドラフトガイドブック(投手編) 特A、Aクラス投手がひしめく豊作年!

2018.10.26

 来年は投手に特Aクラスの投手、Aクラスの投手が世代をけん引している。うまくいけば、来年のドラフト会議では上位へ名を連ねる可能性を秘めている。

 そんな逸材たちを紹介したい。

野手編はこちらから!

2019年度ドラフトガイドブック野手編「石川、黒川など甲子園組が世代をけん引する!」

特AとAクラスの投手はこの6人だ!

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佐々木朗希(大船渡)

 特Aといえば、やはり大船渡佐々木朗希だろう。体躯の大きさ、ストライドが大きいフォームから繰り出す常時150キロ中盤の速球、140キロ前半のスライダーとどれ1つをとっても、大谷翔平クラス。

 日本でトップの高校生でメジャーのトッププロスペクトに負けない才能を持った選手は10人に1人、2人いるかの確率。佐々木はそういう選手たちと比較しても全く負けていないポテンシャルを持った特Aクラスの選手といっていい。

 岩手県大会では盛岡大附打線に打ち込まれた。徹底マークをして強力打線を仕上げてきたチームを抑える投球術を身に付けることが課題ではないだろうか。

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井上広輝(日大三)と及川雅貴(横浜)

 また、A級の投手は非常に多い。井上広輝日大三)、及川雅貴横浜)、西純矢創志学園)、奥川恭伸星稜)、根本太一木更津総合)の5人となるだろう。

 井上は夏の甲子園で最速150キロを計測したが、なんといっても魅力なのはダイナミック且つ脱力が利いたフォームで、回転数抜群の140キロ中盤の速球を投げ込むことができること。リリーフで登場した目白研心戦を振り返ると、ストレートの平均球速140.12キロ・最速146キロとボールの走りは相変わらずよかった。井上にとって怖いのはケガ。持っている素質は素晴らしいだけに、器を大きくしながら故障に強い投手となってほしい。

 及川は本物の速球派左腕。関東大会・甲府工戦では8回まで投げて、ストレートの平均球速は144.24キロと、プロの速球左腕とひけをとらないものであり、過去に騒がれてきた左腕と比較してもぐんと速い。その試合は140キロ以下は2球のみで、この2球はバントをさせようと思ったもの。いつでも140キロを出すことができるのだ。

 また、130キロ前半の高速スライダーは打者の手元で変化するもので、2019年度の高校生左腕では最も精度が高いだろう。ただ、投球の引き出しが乏しいのが課題。準々決勝の春日部共栄戦では、3安打はすべて長打となり、5失点を喫した。現在は球種を制限しているが、制限しているなりにストレートに強弱をつけるなど、メリハリをつけてほしい。

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西純矢(創志学園)・奥川恭伸(星稜)・根本太一(木更津総合)

 西は岡山大会、甲子園の無四球完封を果たしたときのピッチングは本当に隙がなかった。前田健太を彷彿とさせるような投球フォームから、140キロ後半の速球、縦横のスライダーを投げ分けたピッチングは脅威。ただ、秋の県大会を見ると、失点が多い。どこかメカニズムに狂いがあるのか、気になってしまう。中国大会で巻き返すことを願っている。

 神宮大会出場を決めている星稜の奥川。ステップ幅が狭いフォームから繰り出す150キロのストレートは重量感があり、ただ1人、2年生ながら代表入りしたアジア大会のピッチングを振り返っても、3年生に負けていない威力があった。

 北信越大会で10者連続三振、さらに準決勝では150キロ。また、北信越大会の成績を見ると、決勝戦の2失点は自責点0だったので、33イニングで防御率0.00、41奪三振、与四球は1。投手の制球力を示すK/BBでは41.00と、驚異的な成績を残した。奥川に望むことはただケガをしないこと。世代トップの成績を残してほしい。

 また根本は、来年、常時150キロ越えに期待がかかる速球派右腕。甲子園ではリリーフ中心で活躍し、最速149キロをマークした。しかし秋の大会では打撃力が高い中央学院に打ち込まれた。

 木更津総合は例年、大学に進学する傾向にあるが、もし高卒プロに行きたい場合、甲子園出場。そして甲子園で実績を残し、全体的なピッチングのレベルアップに成功すること。大学進学傾向が強い学校はこういうケースから大学進学からプロ入りに転換しているだけに、根本には高い要求になるが、ドラフト1位指名で行ける力量に達することを期待したい。

■注目投手リスト その1
佐々木朗希大船渡
井上広輝日大三
及川雅貴横浜
西純矢創志学園
奥川恭伸星稜
根本太一木更津総合

[page_break全国にまだまだいる楽しみな速球派投手たち]

全国にまだまだいる楽しみな速球派投手たち

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福浦太陽(霞ヶ浦)・岡林勇希(菰野)・飯塚脩人(習志野)

 さて北海道から見ると速球派が多い。小林珠維東海大札幌)は183センチの長身から最速146キロを投げ込み、185センチ右腕・岩田永遠(とわ・北海)も130キロ後半の速球を投げ込む。一冬かけてこの2人がドラフト候補に化けることができるか。
 また、初の神宮大会出場を決めた札幌大谷はエースの西原健太は140キロを超える速球を投げ込む右腕だが、全道大会では不調に終わった。神宮大会の巻き返しを期待したい。

 東北では、甲子園で140キロ中盤の速球を投げ込んだ篠田 怜汰羽黒)はフォームの土台もよく、素直にポテンシャルを伸ばしていけば、上位候補になる可能性を秘めた逸材。また、渡辺拓海酒田南)は191センチ109キロと巨体から投げ込む速球の最速は144キロ。また本塁打を量産するパワーも持っている。

 関東では、茨城県の3人に注目だ。がっしり体型から146キロの速球を投げ込む岩本 大地(石岡第一)、140キロ台の速球を投げ込む福浦 太陽鈴木 寛人霞ヶ浦の2枚看板は注目だ。鈴木はプロ入りした綾部翔を思い出すような投球フォームに大きな可能性を感じさせる。鈴木が一冬超えて化けると2019年の高校生投手の豊作度は一気に増すだろう。

 埼玉では、米山 魁乙昌平)は下半身主導のフォームから常時130キロ後半の速球は勢いがある。

 千葉では関東大会で145キロを計測した飯塚 脩人習志野)は一冬超えてどこまでスケールアップすることができるか。東京では最速148キロを誇る廣澤優日大三)は秋でほとんどアピールできずに終わった。高卒プロへは来春、来夏での大会での活躍が問われそう。

 東海地方では、150キロを計測する岡林勇希菰野)は左肩のグラブを高くつき上げ、一気に振り下ろす豪快なフォーム。速球の威力、変化球の精度ともに優れているが、まだ制球がまとまらない。好みが分かれるタイプだろう。同じ三重でも前佑囲斗津田学園)は、140キロ前後ながら、始動からフィニッシュの流れがスムーズで球もちが良く、前を評価する関係者も多くなるだろう。

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清水大成(履正社)・宮城大弥(興南)

 北信越では、夏の福井大会で148キロを出した小林勇仁福井商)がどこまで本格化するか。啓新敦賀気比坂井福井工大福井とライバルは実に多いが、そこに強豪校に勝てるようなピッチングができることが、世界も変わってくると思う。

 近畿では、142キロ右腕・吉田力聖光泉)、近畿大会で最速145キロを計測した左腕・清水大成履正社)、大阪屈指の本格派・坪井悠太大阪偕星学園)、兵庫屈指の速球派右腕・藤本 竜輝)も注目となるだろう。

 中国では新鋭・武田(広島)のエース・谷岡颯太はこの広島大会で146キロを計測。来年にかけて話題になりそうだ。また広島広陵のエース・河野佳も安定感抜群の145キロ右腕。名門校らしい完成度の高いピッチングで選抜を目指す。

 四国では140キロ前後を計測する好投手は多くなっているが、ドラフト候補として期待できるのは英明黒河竜司。恵まれた体格ながら、下半身主導のフォームから140キロ前半の速球、カーブ、スライダー、縦系の変化球を精度良く投げ分ける四国屈指の投手だ。

 九州大会ベスト4まで勝ち進んだ西舘 昂汰筑陽学園)は準々決勝の興南戦で、エース・宮城大弥に投げ勝った。最速144キロを誇る長身右腕で来年にかけて本格化しそう。また惜敗した宮城も独特のインステップ気味のフォームから140キロ中盤の速球、キレのあるスライダーで勝負する左の実戦派左腕だ。
 また、春の九州大会優勝に貢献した145キロ右腕・下村海翔九州国際大付)、大分では指折りの好投手・翁長佳辰(日本文理大付)は来年、九州大会出場に導くほどまでに成長できるか。この秋は初戦敗退に終わったものの、浅田 将汰有明)はアーム気味のフォームから145キロ前後の速球は威力抜群。また、﨑村太陽秀岳館)も140キロ中盤の速球で勝負する速球投手だ。

 全国を見渡すと、楽しみな素材が多い。ここからどれだけの選手が本格化して、ドラフト戦線に割り込んでいくのか楽しみにしたい。

■注目投手リスト その2
小林珠維東海大札幌
岩田永遠北海
篠田 怜汰羽黒
渡辺拓海酒田南
岩本大地(石岡第一)
福浦太陽霞ヶ浦
鈴木寛人霞ヶ浦
米山 魁乙昌平
飯塚脩人習志野
廣澤優日大三
岡林 勇希菰野
前佑囲斗津田学園
小林 勇仁福井商
吉田力聖光泉
清水大成履正社
坪井悠太大阪偕星学園
藤本竜輝
谷岡颯太武田
河野桂(広島広陵)
黒河竜司英明
西舘 昂汰筑陽学園
下村海翔九州国際大付
浅田 将汰有明
﨑村太陽秀岳館
宮城大弥興南

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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