Column

大学球界は松本、甲斐野、上茶谷と速球派投手が勢ぞろい!

2018.10.23

 大学球界は速球投手が多く、即戦力で活躍を期待できる選手が多い。また、野手も例年以上、ポテンシャルが高い選手が多く、レギュラー争いに期待がかかる選手が多い。

ドラフト1位候補となる3人は?上位候補となる投手は?

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松本 航(日本体育大)

 今年の大学生で1位候補となるのは、松本航(日本体育大)、甲斐野央(東洋大)、上茶谷大河(東洋大)の3人となるだろう。

 松本は、今年の大学生の中では最も頭脳的な投球ができる右腕。145キロ前後の速球、ツーシーム、フォーク、カーブ、スライダーと多彩なピッチングを武器にする総合力の高さはトップクラス。総合力で勝負する投手にありがちな球威不足なところが松本にはない。出力を上げれば、150キロ台をたたき出すスピード能力がある。

 甲斐野央は最速159キロと、ここ5年の大学生ではナンバーワンの速球能力を持つ投手だ。速球の速さばかりが注目されているが、投球フォームも上半身、下半身の連動性がとれており、変化球の精度も高い。ラストイヤーでは抑えだが、3年秋はリーグ5勝挙げており、先発としても適正が高い。いずれにしろ、指名できると非常に大きい選手であることは間違いない。

 上茶谷大河はかなり評価が上がっている。最終学年だけで10勝を挙げた。140キロ前半の速球は回転数が高く、さらに両サイドへ投げ分ける能力があり、多彩な変化球で勝負する能力を持っている。ただ1年間、投げられる体力があるのかというと不安点はある。球持ちの良さで勝負するスタイルは、東洋大のOBの永井怜(東北楽天で43勝)と似ており、大学時代の永井よりもボールの力はある投手なので、十分に第一線で活躍できる素質を持っている。

 また、今年は速球派が非常に多い。昨年の明治神宮大会で優勝投手となった155キロ右腕・東妻勇輔(日体大)は、圧力のあるストレートを投げ込み、さらにスライダー、フォークの精度も高く、将来のリリーバー候補。梅津晃大(東洋大)は、多くのスカウトが1位候補と絶賛するように、投球フォームは非常に良い。胸郭をうまく使い、体の近くで腕が振れるフォームは筋が良く、140キロ中盤の速球、キレのあるスライダーでピッチングを組み立てることができる。

 清水 昇(国学院大)は、正統派なオーバーハンド。好調時には150キロに達するが、基本的には、145キロ前後の速球、多彩な変化球をコーナーへ投げ分ける先発型右腕。4年春には最優秀防御率を獲得しているように、簡単に失点を与えない。フォームの再現性も高く、1年目から先発ならば、100イニング前後、中継ぎならば、30試合~40試合は見込める選手だろう。白銀 滉大(駒沢大)は右サイドから140キロ後半の速球を投げ込む力投派。やはり中継ぎとして面白い存在だ。栗林良吏(名城大)も平均球速140キロ後半とキレのあるスライダーで勝負する速球派で、ポテンシャル的には中央球界に負けていない投手だ。

 また、左腕では高橋優貴(八戸学院大)、鈴木翔天(富士大)、小島和哉(早稲田大)の3人が中心となるだろう。高橋は140キロ後半の速球、多彩な変化球で勝負する速球派左腕。今シーズンは全国の舞台を踏むことはできなかったものの、それでも登板すれば多数の球団が視察するように指名戦略次第では一気に上位指名があり得る投手だ。さらに、鈴木は伸びのある140キロ前半の快速球、キレのあるスライダーで勝負する正統派左腕。小島は好調時は140キロ後半を計測する速球能力があり、チェンジアップ系の変化球に決め手が出たことで今シーズンは安定したピッチングを続けている。

 また中央球界では、150キロ前後の速球を計測する菅野秀哉(法政大)、亜細亜のエース左腕・中村 稔弥に注目だ。地方球界ではこの秋から一気に急浮上した泉 圭輔(金沢星稜大)、昨年の神宮大会準優勝投手で実戦派左腕・福田 俊(星槎道都大)、今秋のリーグ戦でノーヒットノーランを達成した続木悠登(日大国際関係学部)、春は故障に苦しんだが、伸びのある140キロ後半の速球を投げ込む山本隆広(関西大)、大学選手権でも登板し、140キロ後半の速球とキレのあるスライダーで勝負する骨太の本格派・山上 大輔(立命館大)、島内 颯太郎(九州共立大)、川瀬 航作(京都学園大)も指名候補として期待したい選手だ。

[page_break:辰己、頓宮など長打力と実戦力を兼ね備えた野手に期待!]

辰己、頓宮など長打力と実戦力を兼ね備えた野手に期待!

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辰己 涼介(立命館大)

 また、野手では辰己 涼介(立命大)が筆頭となるだろう。リーグ通算100安打を達したように、欠点が少なく、さらに本塁打も打てる打撃フォーム、強肩、俊足と走攻守三拍子揃った選手で、左打ちの外野手としては秋山翔吾(埼玉西武)の大学時代と比較しても引けを取らない逸材だろう。

 やはり野手については中央球界の逸材が引っ張っていくことになりそうで、侍ジャパン高校代表戦でもバックスクリーン弾を放った強打のセカンド・伊藤 裕季也(立正大)、一部、二部で通算100安打以上を記録する中川 圭太(東洋大)はPL学園出身では最後のドラフト候補として活躍が期待される逸材だ。

 渡辺元智前横浜高監督の孫である渡辺佳明は遊撃手を守れ、常にリーグ打率3割以上を残せるバットコントロールや、高校・大学と名門でレギュラーとして活躍を続けているように厳しい競争社会でも生き残れる精神力、感性の鋭さがある。また、辰己を指名できなかったアスリート型の左打ちの外野手として、逢沢 崚介(明大)、小郷 裕哉(立正大)は、ポテンシャルが高く、プロの環境次第では化ける可能性を持った逸材だ。また、東都大学リーグで年間10本塁打を放っている頓宮 裕真(亜大)は、山川穂高(埼玉西武)のように長打力を全面に押し出して成長を期待したいスラッガー。向山 基生(法大)は、3年秋から二期連続で3割を記録する好打者。守備力も高く、年間3割・10本を見込める中距離打者候補として面白い存在。

 東京六大学通算10本塁打を記録する中山翔太(法政大)は、骨格が太く、やはりプロに進んで、二けた本塁打・3割を記録することを期待したいスラッガー候補。 今川 優馬(東海大北海道キャンパス)と岩城 駿也(九州産業大)は高校では無名な存在だったが、大学で急成長したスラッガー。今川は4年秋で5本塁打、岩城はリーグ通算19本塁打を記録。

 また 米満 凪(奈良学園大)は高校時代、控え選手だったが、今ではこの世代の敦賀気比では、唯一、プロを狙えるショートストップへ成長。パンチ力ある打撃、軽快なフットワーク、俊足が光る。

 捕手では太田 光(大阪商業大)、橋本 昂稀(京都学園大)と関西球界で活躍してきた選手が注目となりそうだ。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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