【BIG5特集】井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ!
2019年度の高校生投手『BIG5』はズバリこの選手だ!
佐々木朗希(大船渡)
奥川恭伸(星稜)
西純矢(創志学園)
及川雅貴(横浜)
井上広輝(日大三)
高校野球ドットコムでは、2019年度のBIG5ピッチャーたちの大会直前の仕上がり状況や、夏に向けての歩みをレポート!今日から5日連続で配信していきます!まず第一弾は、井上広輝(日大三)!
キューバ打線でも主導権を握ってしまう井上の凄さ
キューバ遠征時の井上広輝(日大三)
昨年12月のキューバ遠征でみた衝撃が忘れられない。ノーワインドアップから始動し、大谷翔平ばりのテークバック。しなやかな腕の振りから繰り出す145キロ前後のストレートは、ストレートに強いキューバ打線でも打ち返すことができない。
他の4人にはない井上の武器といえば、シンカー気味に落ちる120キロ台のチェンジアップだ。キューバの4番打者からチェンジアップで打ち取った時の軌道は見たことがないものだった。何より良かったのは相手打者を恐れない姿勢。キューバ打線でも井上が主導権を握って投げているのを見て、改めてメンタル、技術も一流の投手だと実感させてくれた。
井上は最速150キロを超えるストレートが注目されるが、登板時では平均球速140キロ台を計測するスピード能力の高さ、スライダー、カーブの精度も標準以上のものがあり、低めの制球力の高さだけではなく、高めのストレートでも勝負できる。
最近は130キロを超える高速変化球を投げる高校生も多くなってきたが、井上は純粋にストレートで勝負できる投手。その威力にはキューバの打者も苦しみ、キューバ遠征では5回11奪三振の好投。失点も完璧に打たれたものではなく、詰まらせてのものだった。当初から日本代表入りし、世界の舞台で戦いたいと考えていた井上にとっては自信になるものだった。
春の大会での井上広輝(日大三)
この春の活躍を見るとリリーフ中心の投球が光った。1年生のときから慎重な起用が続いていた井上。2年春に肘を痛め、そこから極力、練習試合で登板する時も7割程度の力で投げるなど、出力を抑えながらの投球だった。
右腕をムチのようにしならせることで、鋭い腕の振りを見せ、それが高校生離れした速球を生んでいるが、その分、負担は大きい。出力を抑えたり、イニングを制限しながら、これまで準備をしてきた。井上の将来を考えた育成と運用ができているといえるだろう。
昨夏には150キロを見せたように、井上の潜在能力は高校生トップレベル。先日行われた東邦との招待試合の最速は144キロだったが、実際に投球を見ると、その内容は悪いものではなく、順調に仕上がっている様子が見られた。
将来的な観点でいえば、井上は高校を卒業して、2年目、3年目に平均球速を上げて、さらに長いイニングを投げられる先発投手になるのではないだろうか。
[page_break:東京代表の選手たちも憧れたチームリーダーの一面]東京代表の選手たちも憧れたチームリーダーの一面
チームメイトに声援を送る井上広輝(日大三)
そして井上のもう1つの顔を知ってほしい。それはチームリーダーとしての自覚があることだ。それを強く感じたのはキューバ遠征。東京代表のベンチを見ると、ベンチから大きな声を出し、またキャッチボールしている時でも、「短く持って、しぶとく!」など激励している様子が見えたのだ。こんな井上の一面があるのかと驚きを隠せなかった。
同じ東京代表のメンバーだった小松涼馬(帝京)は井上について、「選手同士のミーティングでも真っ先に喋りますし、リーダー的な存在でした。井上さんは打撃も凄いですし、打撃も教えてくれます」
小松は第1戦で速球投手から2本の長打を放った。それは井上から「バットを短く持て」とアドバイスを受けたことが大きいようだ。野手がアドバイスすることはあっても、投手がアドバイスする話はあまり聞いたことがない。
そんな男前な一面があるのは日大三の教育があるからだと思う。
2年前、左腕エース・櫻井周斗がプロ入りした際、小倉全由監督は櫻井へこんな言葉を送った。
「背負う選手にならなきゃだめだ、チームを背負う男になれと言ったことを、一番感じてくれたということが一番うれしいですね。その思いでプロに行ってもらいたいし、忘れないでやってほしいですね」
その言葉は井上の立ち居振る舞いを見れば、しっかりと引き継がれていることがわかる。
西東京のライバルが井上を打ち崩すことに燃えている中、井上はそれを寄せ付けない圧倒的なピッチングを見せることはできるか。
世界で戦いたい。そう願う井上にとって大事な夏となる。
文=河嶋宗一
~BIG5特集~
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