ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.22「小園海斗」
ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回は日本代表を経験し、世界から刺激を受けた小園海斗。報徳学園の甲子園出場の原動力となった彼の高校3年間の歩みを振り返りながら、そのプレーの凄さを見ていきたい。
小園海斗(報徳学園)「世界を知り、進化を遂げた高校生ナンバーワンショート」
小園海斗 (報徳学園)
これ以上ないエリートコースだ。中学時代は侍ジャパンU-15代表を経験、1年春からレギュラーとなり、2年春には選抜ベスト4、2年夏には侍ジャパンU-18代表として世界大会を経験。そして最後の夏の甲子園出場。今年の高校生を代表するショート・小園海斗の成長を支えるものはなにか。
中学時代から抜群のスピードを武器に縦横無尽に駆け巡った小園。「HOTOKU」ユニフォームのカッコよさに憧れ、名門・報徳学園のユニフォームに袖を通すと、報徳学園の細かい野球を学ぶ。中学時代にやったことがなかったバントを徹底的に磨き、守備では厳しい状況設定を設けた実戦形式のノック、捕球練習では、置いてあるボールにダッシュをかけて最後は刻んで捕球する形と、捕球態勢でのゴロ捕りなどを行い、超高校級の守備力を身に付けた。
そして昨年のカナダ・サンタ―ベイでの「WBSC U-18ワールドカップ」はさらに高いレベルを目指すきっかけとなった。清宮幸太郎、安田尚憲、中村奨成とドラフト1位を受ける1学年上の先輩スラッガーを間近で見たことは大きな学びとなり、小枝 守監督からは打撃面で、「腹筋と軸足の内側への力の入れ方」を学び、体幹とタメの作り方が変わり、今でも実践し、パワーアップをもたらした。
そしてショートでは、日本ではなく、世界のライバルに衝撃を受けた。それが昨年、ワールドカップ優勝を果たしたアメリカ代表のショート・ ブライス・トゥラング(Brice Turang)だ。その後、今年のMLBドラフトで、ブルワーズから1位指名を受けるブライスについて小園は「肩もすごく強いですし、守備もアグレッシブ。彼のプレーで球場が沸く感じでした」と語る。そして今ではブライスを超えることを目指し、遊撃守備のレベルアップを目指してきた。
最後の夏を迎えた小園は攻守両面で成長を見せた。まず守備。最近になり、高校球児はプロ野球の選手に影響されて、インフィールドより後ろに守る選手が多くなったが、小園はその資格がある選手だ。このラインで守れる選手は、一定以上の肩があること。そしてもう1つ見逃してはいけないのは、前目の打球に対し、アウトにできるダッシュ力、持ち替えの速さ、動作の速さがあるか。これができなくて内野安打にしてしまう高校生が多いが、小園のダッシュ力は高校生のレベルを超えており、日本のショートにありがちな、体の正面に入るのではなく、捕ることを重視した動きの良さは高校生のレベルを超えている。
打撃面では滝川第二戦で決勝本塁打。中堅120メートルの[stadium]姫路球場[/stadium]のバックスクリーンに打ち込む本塁打となった。
確かな努力を続け、ついにつかんだ夏の甲子園。今年の夏の甲子園、そしてドラフトの主役となる。
文=河嶋宗一