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ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.17「甲子園での大爆発が期待したい万波中正・山田健太」

2018.08.01

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。

万波中正 (横浜) 高校屈指の注目スラッガー

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.17「甲子園での大爆発が期待したい万波中正・山田健太」 | 高校野球ドットコム
万波中正 (横浜)の3年春の瀬谷戦の打撃フォーム

 ずっと苦しんきた選手が、山を乗り越えると強い。そう感じさせたのが万波中正だ。東練馬シニア時代からスラッガーとして騒がれ、鳴り物入りで入学し、1年春から4番打者として起用される。この時から自分の理想とする打撃フォーム探しが始まった感じがする。入学当初の万波はノーステップ。この時は高校レベルの速球に振り遅れ、空振りを繰り返していた。ここから左足を上げ始めるようになり、1年夏の神奈川大会では[stadium]横浜スタジアム[/stadium]でバックスクリーン弾。観ていたNPBのスカウトを騒がせる当たりだったが、2年生以降も、一発は出ても、長続きがしない。昨夏の決勝戦では5打席連続三振。2年夏は打率.179となっていた。

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万波中正 (横浜)の横浜創学館戦の打撃フォーム

 不調は続く。3年春の地区予選のこと。万波はノーステップになっていた。重心を低くした構えだが、始動の仕掛けが遅く、両腕が硬直した状態から振り出すので、ストレートに振り遅れる形となり、凡打を繰り返す万波。そこから足を上げたり、ノーステップにしたりと、フォームが変わり、関東大会の明秀日立戦では代打で3球三振。状態は深刻。一時はベンチ外となった。

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万波中正 (横浜)の常総学院戦の打撃フォーム

 だが、この期間で、しっかりと見つめなおしたのだろう。この夏の万波は入学してから最も打てる構えとなっていた。少し左足を開いたオープンスタンス。グリップの位置はやや低く、重心を下げた構えとなっている。以前の万波と違うのはグリップ位置がこれまでより低いこと。少しオープンスタンス気味にしたことで懐が広くなり、今までよりも視野が広く感じるのではないだろうか。「さあ、いらっしゃい」という感じである。

 そうすることで打てるポイントが広がり、この夏、大爆発。まず立花学園戦では[stadium]横浜スタジアム[/stadium]の電光掲示板直撃の弾丸ホームラン。そして高校野球ファンを驚かせたのが、決勝の鎌倉学園戦だ。1回表、一死一、二塁から高めに浮いたスライダーを逃さず、センターフェンス直撃の適時二塁打。そして3回表には、外角ストレートを逃さず振り抜いた打球はレフト最上段に飛び込む本塁打。7回表にはカーブを振り抜いて、レフトフェンス直撃の二塁打と3安打4打点の活躍で、3年連続の甲子園出場に貢献した。

 万波は6試合で、打率.542、2本塁打、12打点と過去最高の成績を残した。時間はかかり、とにかく苦しんだ。しかしそれを乗り越えたからこそ誰も驚く大爆発を見せた。あとは甲子園でも打てるか。

 甲子園に出てくる好投手に対しても次々と豪打を見せれば…。ネクスト中村奨成として、甲子園のファンを熱狂させる可能性は十分にある。

[page_break山田 健太(大阪桐蔭) 大阪桐蔭でトップ打率を誇る成績]

山田 健太(大阪桐蔭)大阪桐蔭でトップ打率を誇る成績

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.17「甲子園での大爆発が期待したい万波中正・山田健太」 | 高校野球ドットコム
山田 健太(大阪桐蔭)

 逸材集団・大阪桐蔭が4季連続の甲子園出場を決めた。ドラフト上位候補として注目される根尾 昂藤原恭大より甲子園で打っている選手がいる。それが 大阪桐蔭山田健太だ。まず3人の成績を見てみよう。

 藤原 13試合 59打数15安打 2本塁打10打点 打率.254
 根尾 13試合 49打数17安打 0本塁打15打点 打率.347
 山田 13試合 48打数21安打 2本塁打12打点 打率.438

 183センチもあって、さらに二塁守備を見ても機敏に動けて、高校通算20本塁打以上も打てて、ロマンしかない。容姿の良さとこれまでの活躍もあって、人気も急上昇している山田は「料理」も得意とのこと。山田曰く「基本的に何でも作れますが、自分はオムライスが好きなので、オムライスが得意です」と爽やかな笑顔を見せて答えてくれた。

 そんな山田はこの夏へ向けての課題は「軽く打つ」ことだった。山田は選抜の大会を振り返って、「まだ力みすぎていたところがありましたので、軽く打つイメージで振り抜くことを意識しています」と答えてくれた。

 そのイメージが実現したのが、近畿大会の最中に行われた日体大とのオープン戦。山田は本塁打を放った。「あの本塁打はイメージ通りでした。でも打てないときはまだ力んでいるので、徐々に自分のものにしていきたいと思います」と、夏へ向けて自分が目指す打撃の完成度を高めることが課題となっていた。

 そしてこの夏の山田は「軽く打つ」打撃を実現した大会だった。4回戦の常翔学園戦で、満塁本塁打、2ランを放つ大活躍。準決勝の履正社戦では決勝の2点適時打。適時打を打つ前、ストライクコースを打っても凡打になると判断して、バットを止めて、その後、高めのストレートを逃さず、タイムリー。勝負強さが只者ではない。北大阪大会では21打数11安打、2本塁打、12打点と活躍を見せた。

 急上昇を見せる山田。最後の夏の甲子園では世代を代表する大型二塁手として、ロマンあふれる活躍を誓う。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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