Column

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.19「石橋康太」

2018.08.03

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。

超大物キャッチャー「石橋康太」

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.19「石橋康太」 | 高校野球ドットコム
石橋康太 (関東一)

 2015年の都市対抗準決勝の日、午前8時からリトルシニア選抜対ボーイズ選抜というエキジビションゲームが行われた。この試合は残念ながら資料がなかったので選手の素性がよくわからないが、ボーイズ選抜2番の小松(左打者・二塁手)は第2打席でバント安打を放ち、一塁到達は3.76秒という猛烈な速さだった。
 小松以外にもリトルシニア選抜では生井、矢澤という左腕本格派が目立ち、苗字や利き腕から小松は小松勇輝東海大相模・内野手)、生井、矢澤は生井惇己(慶応高・投手)、矢澤宏太藤嶺藤沢・投手)だと類推できる。これら好選手の中でも〝超大物″と評価したのはキャッチャーの石橋康太ひとりだった。

 この試合で計測した二塁スローイングのタイムは、イニング間では1.97秒が最速で、実戦では2回に二盗されたときが1.95秒、4回に二盗されたときが1.96秒だった。投手がモーションを盗まれたため二盗を2回許しているが、ノーバウンドで伸びていく球筋は本物だと思った。

 ちなみに、そのあと見た四国アイランドリーグ選抜対フューチャーズ(プロ三軍)と、都市対抗準決勝の大阪ガス対三菱重工広島では石橋以上の強肩キャッチャーはいなかった。このことをプロのスカウトに話すと、「中学生の指名は考えないといけないかもしれませんね」と話してくれた。時代は恐ろしいくらいどんどん前に進んでいるなと思った。

 関東一進学後は1年夏に早くもレギュラーを取るが、ポジションはキャッチャーでなく一塁手だった。この夏には東東京代表として甲子園大会に進み、1回戦で敗れこそしたが広島新庄の超高校級左腕、堀瑞輝(日本ハム)からずれも142キロのストレートをとらえ、第1打席でセンター前ヒット、第3打席でライト前ヒットを放っている。

 2年夏には東東京大会で4試合連続ホームランを放ち長打力が脚光を集めるが、石橋の長所は何と言ってもキャッチャーとしての肩。今年春の東京大会準々決勝、早稲田実戦では野村がイニング間で最速で1.86秒を計測すれば、石橋は3回に野村が二盗を企図したとき、1.87秒というモンスター級の二塁送球で補殺、さらに6月3日、花巻東を招いた親善試合ではイニング間で最速1.89秒を計測している。

 バッティングもいい。この花巻東戦で見せた下半身の動きは、大島康徳氏(元中日)がバッティングの極意として語る「ステップは落とし穴がないか闇夜を歩くときのように慎重に出す」を実践していた。
 第1打席は1死一、三塁の場面、フルカウントから内角の厳しいコースに来た球をインサイドアウトで押し込んでレフト前にゴロヒットで打点1、第2打席は無死二塁の場面で初球の低めを打ってセンター前ヒットを記録、勝負強さを発揮した。

 昨年は中村奨成(広島)という超高校級のキャッチャーが出現したが、石橋クラスのキャッチャーはそうそう毎年現れるわけではない。この花巻東戦では4回裏の無死一、三塁の場面で5番打者がセンターフライを放ち、三塁走者がタッチアップしてホームを陥れ、一塁走者はホーム返球のスキを突いて二塁に進塁しているが、このときの一塁走者が石橋だった。ゲームへの参加意識の高さも魅力がある。

文=小関順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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