ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.14「戸郷翔征、田中法彦」
ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。
戸郷翔征(聖心ウルスラ)宮崎ナンバーワン右腕 春から大きく成長
戸郷翔征(聖心ウルスラ)
毎年、多くのプロ注目投手を輩出する宮崎県。今年も高卒からプロ入りできる可能性を持っているのが戸郷 翔征(聖心ウルスラ)だ。この夏で最速148キロを計測するなど、進化を見せている。戸郷の特徴といえば、テークバックが大きい独特の投球フォーム。ここでしっかりと肘を上げて、一気に腕を振り下ろす投球フォーム。腕の振りが鋭く、それによって、140キロ後半の速球を生み出している。さらに130キロ前後のスライダー、スプリットの切れや落差も脅威。九州地区を代表する速球派右腕へ上り詰めた。
戸郷の歩みを振り返ると、妻ヶ丘中では軟式でプレー。聖心ウルスラに入学し、1年秋から公式戦のマウンドを踏むと、急成長を見せたのは2年春から。県大会で最速143キロを計測し、2年夏には5試合で37イニングを投げ、防御率2.19の好投で自身初の甲子園出場を決める。
甲子園では早稲田佐賀戦に2失点完投勝利。2回戦の聖光学院に敗れたが、甲子園の経験について「自分の実力不足を痛感する大会」とコメント。秋の大会が終わり、戸郷は長距離走をメインに体力強化に努めてきた。
さらに体づくりにも取り組み、体重も3キロ増量の75キロまでアップさせた。
県大会でも優勝を果たし、九州大会出場を決めた。九州大会では濱田太貴擁する明豊と対戦。濱田に2安打を浴び、5失点を喫し、初戦敗退となった。戸郷は「もう一度、ストレートを磨きなおします」と誓った。そして夏では2回戦の都城農戦で8回14奪三振3失点完投勝利。最速148キロを3回も計測するなど、著しい成長を見せている。
2年連続の夏の聖地へ。さらなるレベルアップに追求したが、準々決勝敗退となった。それでも、春から成長した姿は示した。今後はどんな進路をたどるのか、大きく注目される。
[page_break:田中法彦(菰野)東海地区を代表する速球派右腕 エースとして10年ぶりの甲子園に導きたい]田中法彦(菰野)東海地区を代表する速球派右腕 エースとして10年ぶりの甲子園に導きたい
田中法彦(菰野)
東海地区を代表する速球派右腕。ここまで順調に成長を遂げてきた。ヤングリーグの三重川越ヤングでは中学1年生にして、128キロ。そして ランメニュー、サーキットメニューなど俊敏性を鍛えるメニューや体幹メニューを中心に取り組み、3年生には最速142キロまで速くなっていた。菰野の戸田直光監督曰く「中学3年に腰を痛めて、4月から8月まで登板していません。だけど、実力は同じ東海地区で騒がれていた根尾昂君と実力は同等だったと思います」と語る。そして、菰野でプレーしていた兄2人を追うようにして、菰野へ入学。
1年生から登板機会を積むが、戸田監督の計らいで、イニング制限をしながら、じっくりと実力を磨いていく。1年冬には、食トレ、スクワットを中心としたトレーニングやウエイトトレーニングを行い、投球フォームでは打者の近くまでギリギリで離すことを意識し、回転数の高いストレートを投げる感覚をつかんだ田中は、2年夏には最速148キロを計測。一躍、県内トップクラスの速球投手へ成長した。しかし準決勝の津田学園戦で本来の投球ができず、敗退。登板間隔が短い中、自分の実力を発揮できなかった甘さを反省し、新チーム以降からアップから取り組みを見直した。
秋では好調を維持。初戦の三重県大会四日市地区予選2回戦・三重川越相手に自己最速の150キロを計測。県大会の津田学園戦でも150キロの速球を武器に7回無失点に抑えた。しかし三重に敗れ選抜を逃した田中はピンチに強い投手になるべく取り組んできた。
春先は不調に終わったものの、夏初戦で自己最速タイの150キロをマーク。万全の状態で迎えたこの夏だったが、惜しくもベスト16で敗退。次のステージでの活躍が期待される。
文=河嶋宗一