Column

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.11「古谷 拓郎、中村 奎太」

2018.07.12

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回は関東を代表する投手2名を紹介したい。

古谷拓郎「習志野高、21世紀最高右腕」

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.11「古谷 拓郎、中村 奎太」 | 高校野球ドットコム
古谷拓郎(習志野)

 21世紀に入って習志野高校の過去のエースと比較しても、総合力、将来性含めてナンバーワンと呼べる投手が古谷拓郎ではないだろうか。

 上半身、下半身が連動した投球フォームから繰り出す直球は常時140キロ前後で、最速は143キロと突出した球速はない。だが、迫力のあるストレートは本物で、高校生として球質はトップクラス。さらに縦に割れるカーブ、120キロ中盤のスライダーと変化球の精度もハイレベル。緩急自在で、勝負所で力の出し入れが絶妙で、勝てる投手。まだ細身で、さらに球速が速くなる奥行きもある。魅力がたっぷり詰まった逸材だ。

 鎌ケ谷二中から評判の好投手だった古谷は1年秋の公式戦登板。まだこの時は135キロ前後だったが、2年夏には139キロへスピードアップ。2年秋にはエースとなり、県大会4強まで勝ち進んだが、選抜出場の中央学院と対戦し、エース・大谷拓海の投げ合いに負けてしまったが、それでも切れのある140キロ前後の速球、縦に割れるカーブの切れの良さを披露し、期待を持たせるピッチングだった。 そして今春、千葉県大会と関東大会で好投。特にピンチの場面の投球は冴えわたり、千葉大会準々決勝の八千代松陰戦では6回裏には、一死三塁のピンチを防ぎ、7回裏には1点を取られた後の一死満塁から140キロを連発し、連続三振にピンチを切り抜け勝利に貢献。

 また関東大会の日大三戦では6回途中からリリーフとしてマウンドに登り、1回三分の二を投げて、2奪三振。関東大会で強打で観衆を沸かせた日大三打線を味方による失策で1点を失ったが、全力で投げこんだ142キロのストレート、習志野の川島のミットを大きく響かせ、迫力十分のストレートであった。

 リリーフとして140キロ台を当たり前に出せるレベルとなっている。あとは先発でも140キロ前半のストレートを継続して投げられるスタミナが身につけば、さらに可能性は広がりそう。

 2011年夏の甲子園ベスト8からはや7年。千葉大会で3度決勝に進出するも、いずれも準優勝に終わっている習志野にとって今年は大チャンス。「習志野高、21世紀最高右腕」として甲子園出場をつかんで見せる。

[page_break:中村 奎太(日大三)「一歩ずつ成長を見せた日大三の投打の柱」]

中村 奎太(日大三)「一歩ずつ成長を見せた日大三の投打の柱」

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.11「古谷 拓郎、中村 奎太」 | 高校野球ドットコム
中村 奎太(日大三)

 強力打線で知られる日大三で見逃せないのは1人1人を段階を追って育成しているということ。今年の日大三のエース・中村奎太は地道に一歩ずつ積み上げていきながら成長した投手だ。

 下半身と上半身が連動したバランスの良いフォームから繰り出す常時140キロ前半(最速145キロ)のストレートは威力があり、120キロ後半のスライダー、フォークの精度も高く、高校生としてはハイレベル。打者としての能力も高く、近年の日大三の右投手では屈指の完成度の高さがある。

 八千代松陰中時代は第8回 BFA U15アジア選手権に出場。日大三に入学し、出場するようになったのは2年春から。130キロ後半の速球、キレのあるスライダーをコンビネーションに先発・中継ぎを中心に登板。夏でもベンチ入りし、最速142キロをマークした。そして2年秋はエースと5番打者の中心選手として活躍。秋の公式戦では公式戦5試合に登板し、防御率2.55。そして打者としても打率.400、1本塁打、10打点の活躍で、7年ぶりの秋季大会優勝に貢献した。冬場ではスクワットやランジといったウエイトトレーニングや、坂道ダッシュといった下半身中心のトレーニングで強靭な下半身を鍛え、そして前年エースの桜井周斗(現・横浜DeNA)から体重移動を学び、フォーム改善に努めた。

 自身初の甲子園となった今年の選抜では2試合に登板し、4回を投げて無失点。打っても8打数3安打と投打で存在感を示した。

 選抜から帰ってきた中村はさらにすごみが増していた。春季東京大会準決勝では早稲田実業と対戦。ピッチングでは4回途中で降板したものの、本塁打を放つなど、勝利に貢献。関東大会出場に貢献した。

 関東大会ではまず1回戦の桐光学園戦では6回2失点の好投を見せ、自己最速の145キロを計測。また準々決勝の習志野戦では3回までパーフェクト、7奪三振の圧巻のピッチング。その後も落ち着いたピッチングで、7回まで8奪三振、2失点完投勝利を見せた。

 ここまで充実の結果を残している春。最後の夏ではさらに投打でレベルアップを果たせるか。5年ぶりの夏の甲子園へ、獅子奮迅の活躍を見せる。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.14

【奈良】高田商などコールド発進<春季大会>

2024.04.14

【茨城】岩瀬日大が9回4点差を逆転、東洋大牛久も9回逆転サヨナラで県大会切符<春季県大会地区予選>

2024.04.14

【山梨】日本航空、東海大甲府が初戦突破<春季大会>

2024.04.14

【春季東京都大会】東海大菅生が盤石の投手リレーで準々決勝進出!前半投手戦を繰り広げた錦城の健闘光る

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.09

慶大が全新入生を公開! 甲子園優勝メンバー14人、智辯和歌山・報徳学園からも有力選手獲得!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>