どこよりも早いドラフト2018!ミレニアム世代ドラフトガイドブック(東日本編)
2000年生まれの選手のことをミレニアム世代と呼ぶが、今年は全国各地で優秀な逸材が集まった。今回は東日本、西日本の2地区に分けて紹介したい。まずは東日本から。
■北海道地区は春以降、どれだけの逸材が出てくるのか?
才木 海翔(北海道栄)
まだ全国的には無名だが、140キロを超える速球を投げ込む投手が多くいるのが特徴だ。
最速145キロ右腕・沼田 翔平(旭川大高)、最速143キロ右腕・才木海翔(北海道栄)が中心となりそうだ。
また札幌第一の柴田 颯も全国区を代表する左打者として注目を浴びる。打撃技術は高く、攻守両面でレベルアップを果たしたい。全道大会決勝で本塁打を打った舞原陽和(駒大苫小牧)は、一塁手ではいろいろなポジションを守れて、さらに長打力もある選手で、将来を見据えるならば一塁手以外のポジションでしっかりと守れる姿を見せると評価が高くなりそうだ。
沼田 翔平(旭川大高)投手
才木 海翔(北海道栄)投手
柴田 颯(北海道栄)内野手
舞原 陽和(駒大苫小牧)一塁手
■東北地区は秋田県で好投手揃い!
東北地区は速球派右腕が多いのが特徴だ。秋田県は、好投手がそろっており、最速144キロ右腕・吉田 輝星(金足農)、最速142キロ右腕・佐藤 亜蓮(由利工)、秋田県の左の小さな大投手を引き継ぐ佐藤 開陸(能代松陽)は東北大会4強まで導いた140キロ左腕。山形県では171センチの小柄ながら、最速145キロを計測する速球派右腕・佐藤 幸弥(羽黒)に注目だ。
野手では高校通算33本塁打の桜庭 佑希也(弘前東)、赤平 竜太(青森山田)、攻守の動きに躍動感がある矢吹 栄希(聖光学院)、4番を打つ五味卓馬(聖光学院)もパワフルさを秘めた外野手。東北大会でも自慢の打撃を発揮した。
桜庭 佑希也(弘前東)
赤平 竜太(青森山田)
吉田 輝星(金足農)
佐藤 亜蓮(由利工)
佐藤 幸弥(羽黒)
矢吹 栄希(聖光学院)
五味 卓馬(聖光学院)
■関東地区は豊作年
佐野 涼弥(浦和学院)
夏の甲子園では2年続けて関東地区が優勝しているように、今年は、レベルが高い。
特に埼玉県が人材豊富だ。なんといっても好投手揃いだからだ。秋、関東大会に出場すれば優勝候補として期待された浦和学院。県大会準々決勝で敗れ、選抜は厳しい立場となった。それでも、選手の実力は随一のレベル。左腕エース・佐野 涼弥は、真っ向から振り下ろすフォームからストレートは常時140キロ前後。そしてストレートに近い軌道で落ちる125キロ前後の縦スライダーは魔球そのもの。全国的にトップレベルの力量を持った左腕であり、そのまま実力を伸ばせば全国区の左腕として注目を浴びそうだ。
そして右のエース・渡邉 勇太朗も面白い。188センチ78キロと恵まれた体格から振り下ろすストレートは常時140キロ~142キロで、ボリュームたっぷりなストレート。スピンがかかったカーブとのコンビネーションで翻弄するピッチングは、頭一つ抜けたピッチング。そして埼玉栄の米倉 貫太も来年のドラフト上位が期待できる素材。投球フォームの安定度は高く、140キロ前半のストレートは回転数が高く、スライダー、チェンジアップ、カーブを同じ腕の振りで投げ分けることができる投手だ。今年のドラフト候補投手でも逸材ぞろいだが、野村 佑希(花咲徳栄)も注目。
野村は、長打力だけではなく、対応力の高さだけではなく、秋になって走塁意識の高さも出てきた。投手をすれば、140キロ台をマークする強肩がウリの選手。適正は完全に野手だが、今年のチーム状態を考えると、もう少し、駆け引き、フォーム技術を高めていきたいところ。それが野村の成長につながると考えている。身体能力が高い右のスラッガーとして人気株になりそうだ。
茨城県では、細川拓哉(明秀学園日立)。細川成也の弟だが、兄と比べると体格は一回り小さいが、地肩の強さ、スタミナ面が素晴らしく、135キロ前後の速球を130球を超えても、維持できる。変化球の各種の切れ味も高く、兄と比べると投手らしい。打撃はまだ粗削りだが、今後も注目したい逸材。増田 陸(明秀日立学園)は、外回りのスイング軌道からとらえる強打型のショート。守備範囲は広いが、スローイング面、グラブさばきに課題があり、高卒からプロにいくにはもっと鍛えこんでいかなければならないだろう。群馬県では、健大高崎の野手陣のレベルは、全国的にトップクラス。特に本塁打を放った山下 航汰、元プロ野球選手を父に持つ強打の外野手・髙山 遼太郎、巧打堅守の遊撃手・大越 弘太郎の3人は他校と比べても、トップレベル。桐生第一の強打の捕手・伊藤一晟も楽しみな左の強打の捕手。栃木県では、伊藤 龍之介(矢板)、福田 翔(宇都宮短大附)の長身で、140キロの速球を投げ込む2人がどこまで本格化するか、楽しみである。
千葉県では、秋準優勝の中央学院のエース・大谷 拓海に注目。1年生の時はテークバックも大きく、まさに本格派らしいフォームだったが、今では腕の振りも小さくなり、コンパクトな腕の振りから135キロ前後~130キロ後半のストレートと落差抜群のフォーク、切れ味鋭いスライダーで勝負する右腕へ成長した。県大会で2本塁打を打った打撃力にも注目で、関東大会準々決勝では勝利に導き、初の甲子園出場の大きな原動力となっている。均整がとれた体格、古谷 拓郎(習志野)は、130キロ後半のストレート、スライダー、フォークを投げ込む逸材。古谷と比べると本格派らしく、右肩上がりで伸びていけば、高卒プロの可能性を秘めた逸材だが、ここから伸びるか、伸びないかは本人の努力、チームの育成力にかかっている。清宮 虎多朗(八千代松陰)はグラウンド上ではひときわ目立つほど体格が良く、マウンドに上がる姿を期待したくなる大型右腕。この投手がクローズアップされるのは、この先かもしれない。野手では、野尻幸輝(木更津総合)は豪快なスイングから放たれる打球の鋭さは圧巻。近年の木更津総合の野手の中では最もプロを狙える打撃力を持った選手である。
神奈川県では、東海大相模の2人に注目。県大会決勝まで高校通算37本塁打の森下 翔太、強打俊足強肩の好ショート・小松 勇輝。森下は全国クラスの右の強打者として、小松は東日本を代表する遊撃手として、注目したい逸材だ。
対するライバル横浜は、粗削りながらも投打ですごいポテンシャルを持つ万波中正、全国的にはトップクラスの左の強打者・長南 有航の2人は全国トップクラスのポテンシャルはある一方で、技術的な粗さをどこまで改善できるか。藤嶺藤沢の好左腕・矢澤 宏太は小気味いい腕の振りから130キロ後半の速球、スライダーで勝負する左腕だ。
東京都では、関東一の強肩捕手・石橋康太は、高校通算30本塁打を超え、さらに1.9秒台のスローイングタイムを誇る強肩も光る。そして、野村大樹(早稲田実業)は高校通算48本塁打を放っているが、打撃技術、意識の高さ、パワーとほかの同世代の右打者と比べても頭一つ抜けており、さらに俊足で、捕手・三塁手を守れるユーティリティ性と、高卒プロへ行ける素質は備わっており、清宮 幸太郎が高卒プロ入りを決めたことは、野村にどんな影響を与えたのか。帝京の140キロサイド・松澤海渡、強打俊足の遊撃手・田中悠我も全国区の逸材だけに注目が集まる。東海大菅生は飛距離が抜群の左のスラッガー・片山 昂星、あきる野の牛若丸こと田中幹也も1年間追いかけていきたい選手。田中は165センチだが、抜群の動きを見せる遊撃守備、スローイング、そしてここ最近身に付きつつある強打と見逃せない選手となってきた。
投手では勝又温史(日大鶴ヶ丘)に注目。勝又は今年の関東地区では最も速いストレートを投げる147キロ右腕で、実際の試合でも常時140キロ~145キロを計測したのだから、実力は本物。ただ制球力、変化球の精度に大きな課題を抱えているが、2年秋に完成された投手はほとんどいないのだから、これからの伸びしろとしてとらえるべきだろう。夏までしっかりと積み上げていければ、高卒プロを狙える素質は秘めている。
細川 拓哉(明秀学園日立)
増田 陸(明秀学園日立)
福田 翔(宇都宮短大附)
伊藤 龍之介(矢板)
佐野 涼弥(浦和学院)
渡邉 勇太朗(浦和学院)
米倉 貫太(埼玉栄)
大谷 拓海(中央学院)
古谷 拓郎(習志野)
野尻幸輝(木更津総合)
森下 翔太(東海大相模)
小松 勇輝(東海大相模)
万波 中正(横浜)
長南 有航(横浜)
石橋 康太(関東一)
松澤 海渡(帝京)
田中 悠我(帝京)
片山 昂星(東海大菅生)
田中 幹也(東海大菅生)
勝又 温史(日大鶴ヶ丘)
■東海地区は世代最速右腕・田中(菰野)がリードできるか?
田中 法彦(菰野)
東海地区では田中 法彦(菰野)が引っ張る存在となるだろう。173センチと決して大きくないのだが、世代最速の150キロを計測。スライダーなど各種の精度の高さも必見。体が出来上がっていて完成度も高い投手なので、現時点でどこまで伸びしろが残っているか気になる右腕であるが、すでにNPBのスカウトが練習試合の視察に訪れているようで、期待の速球派右腕だ。また横田 龍也(豊田工)は田嶋 大樹(JR東日本)を彷彿とさせるようなフォームから繰り出す速球は最速142キロ、切れのあるスライダーも必見の好左腕だ。また同じ愛知県では、最速146キロ右腕の扇谷 莉(東邦)、均整がとれた体格から140キロ台の速球を投げ込む浦野 海斗(中京大中京)の成長にも期待したいところ。
野手では打撃センス抜群の梶田 蓮(三重)、攻守に能力が高い柳本 優飛(愛工大名電)、沢井廉(中京大中京)といった選手たちが注目といえるだろう。攻守にポテンシャルの高さを感じさせるのが中神 拓都(市立岐阜商)。打ってはライトへ本塁打にできる打撃技術、投げては146キロを計測する肩の強さとポテンシャルの高さは必見の遊撃手だ。
田中 法彦(菰野)
横田 龍也(豊田工)
扇谷 莉(東邦)
浦野 海斗(中京大中京)
梶田 蓮(三重)
柳本 優飛(愛工大名電)
沢井 廉(中京大中京)
中神 拓都(市立岐阜商)
■北信越地区もプロ注目投手がズラリ
北信越地区は、速球派の逸材がそろう。日本文理 鈴木 裕太(日本文理)、最速145キロ右腕・大橋 修人(日本航空石川)、最速142キロ右腕・直江 大輔(松商学園)、最速148キロ左腕・山田 龍聖(高岡商)。4人とも北信越大会には出場したものの、鈴木、山田は未登板に終わり、直江も打ち込まれる試合があるなど、思うような実力を発揮できていない。大橋は勝利に貢献しているが、さらにこの秋で、全国クラスのピッチングを披露できるか注目される。また1年夏で甲子園のマウンドに登った竹谷 理央(星稜)も、投打で高い才能を秘めた逸材。また上田 優弥(日本航空石川)も、甲子園を経験したことで、打席内で余裕が出て、圧巻の打棒で県大会では打率.684、3本塁打と打ちまくったスラッガーだ。
日本文理鈴木裕太(日本文理)
大橋 修人(日本航空石川)
直江 大輔(松商学園)
山田 龍聖(高岡商)
竹谷 理央(星稜)
上田 優弥(日本航空石川)
(文・河嶋 宗一)
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