第130回 昨年プロ入りを果たした高卒選手たちのプロ1年目。存在感を見せつけたのは藤平尚真と細川成也2017年10月23日

【目次】
[1]高卒1年目から3勝を挙げた藤平尚真
[2]シーズン終盤に衝撃デビューを果たした細川成也
昨年は投手豊作の年であった。高校BIG4の今井 達也(作新学院-埼玉西武1位)、藤平 尚真(横浜-東北楽天1位)、寺島 成輝(履正社-ヤクルト1位)、高橋 昂也(花咲徳栄-広島2位)などをはじめとする投手がプロの世界へ飛び込んでいった。野手は人材が少ないと言わていたが、九鬼 隆平(秀岳館-福岡ソフトバンク3位)をはじめとする選手がプロで活躍を果たした。そんな高卒1年目の投手、野手の1年間を振り返ってみた。
高卒1年目から3勝を挙げた藤平尚真

藤平尚真(横浜時代)
今年、高卒1年目の投手のレベルが非常に高い。なんと6人の投手が一軍デビューを成し遂げた。
藤平 尚真(横浜-東北楽天1位)、山本 由伸(都城-オリックス4位)、才木 浩人(須磨翔風-阪神)、梅野 雄吾(九産大九産-東京ヤクルト3位)、寺島 成輝(履正社-東京ヤクルト1位)、堀 瑞輝(広島新庄-北海道日本ハム1位)と6人いる。そして初勝利を挙げているのが藤平、山本の2人。高卒1年目はまず二軍でじっくり育成というのがこれまでのパターンだが、昨今の高校生トップクラスの投手は技術も、肉体的にも出来上がっている投手が多いので、一軍でも投げられる投手がいる。その典型的な例だが、藤平である。
藤平は、1年目から一軍で8試合を投げて3勝4敗、43.1回、防御率2.28と優秀な成績。さらにCSのファイナルステージでも登板した。藤平は高校時代から体格的にも出来上がっていて、自己管理能力も高かった。U-18期間中、同じメンバーだった佐藤 勇基(現・法大)が、藤平の行動についてこう話す。
「藤平はバイキング形式の食事でもバランス良く食べることを心掛け、肘にはサポーターをつけて、肘のけが予防に努めていました」
高卒1年目から投げられるのはある意味必然だったのかもしれない。同じU-18代表メンバーだった堀は一軍で4試合に登板。そのうち先発した試合では、藤平と投げ合うという高卒1年目対決が実現した。寺島は1試合に先発したものの、プロ初勝利とはならなかった。
オリックスの山本は5試合に先発。8月31日のロッテ戦で嬉しいプロ初勝利を挙げた。才木はシーズン終盤に昇格し、中継ぎで2試合に登板。高校時代から定評のあったストレートはさらに威力を増し、150キロ超のストレート、130キロ後半のスライダー、フォークと1つ1つのボールの精度はこの世代でもトップクラスのレベルとなっていた。梅野は2試合に先発したものの、勝ち星は挙げられず来年以降に持ち越しとなった。
1軍登板できなかった投手もいる。昨夏の甲子園で優勝投手となり、U-18でもエースとしてアジア制覇に貢献した今井 達也(作新学院‐埼玉西武1位)は度重なる右肩の怪我により2軍で1年間を過ごすこととなった。ファームでは7試合に登板し1勝0敗。長いイニングを投げることは怪我の再発リスクがあるため、球団もストップをかけている状況だが徐々に状態は回復。キレのあるアウトローへの真っすぐが時折みられるようになってきた。藤嶋 健人(東邦‐中日5位)はファームで5試合に登板。高橋 昂也(花咲徳栄‐広島2位)はファームで2勝を挙げ、防御率も1点台と高校ビッグ4の力を存分に発揮した。アドゥワ 誠(松山聖陵‐広島5位)は9試合に登板し、経験を積んでいる。潜在能力の高さは折り紙付きで、数年後に化ける可能性を秘めている。
その他には古谷 優人(江陵‐福岡ソフトバンク2位)がファームで11試合に登板し着実な成長を見せ、大江 竜聖(二松学舎大附‐巨人6位)はファームで4勝を挙げるなど高卒左腕が奮闘した。
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