第127回 今年の高校生は速球投手揃い。志望届を提出した有望な高校生投手をピックアップ!2017年10月20日

【目次】
[1]150キロ右腕7人衆に注目!
[2]全国に潜む逸材投手たち
今年、この世代を取り上げるとき、最初に野手を取り上げて、そのあと、投手を取り上げた。それは、清宮 幸太郎を筆頭に野手の人材が豊富だから。そのため2017年度は野手の年だと位置づけた。しかし安田 尚憲、中村 奨成、増田 珠といった目玉野手たちはプロ志望を表明したものの、3位~6位ぐらいの指名が予想されそうなBクラスの野手のほとんどが大学・社会人を決断。
逆に野手は指名候補が少ない年となってしまった。逆に投手の力量、人材レベルは高卒1年目から、6人が一軍登板した昨年度と比べるととどうしても落ちるが、例年並みに落ち着いたといえる。今回は、志望届けを提出した高校生投手たちを紹介していきたい。
150キロ右腕7人衆に注目!

田浦文丸(秀岳館)
まず今年はマックスだけでいえば、150キロ以上投げる投手が6人いる。そのほかにも140キロ後半を投げる投手も多くいる。これでも豊作といわれないのだから、ハードルの高さを実感する。
甲子園で唯一の150キロを計測した清水 達也(花咲徳栄)、最速151キロ右腕・石川 翔 (青藍泰斗)、最速150キロ右腕・牧 丈一郎 (啓新)、平良 海馬 (八重山商工)、山口 翔(熊本工)、最速150キロ右腕・尾形 崇斗(学法石川)、最速151キロ右腕・岡林 飛翔(菰野)は評価が高い選手であり、将来性も高く、右投手が欲しい球団はうってつけの投手たちである。
清水は、アーム式のフォームから繰り出すストレートは、常時145キロ~140キロ後半を計測。さらに、落差抜群の130キロ台のスプリットを投げる。リリーフでの登板が多いが、将来のリリーフ候補としても面白く、いずれは先発投手を試しながら投球の引き出しを増やしてほしい投手だ。石川は奥行きと完成度の高さを持ち合わせた怪腕。
細身の体型ながら、コンスタントに145キロ前後を投げ込む。最後の夏になって、ストレートもだいぶ力強くなり、縦横の2種類のスライダーの切れ味も増し、実戦的な投手へ成長した。牧は、右スリークォーターから威力ある速球を投げ込む大型右腕。ただ速いだけではなく、スライダー系統の変化球を中心にしっかりとまとめる能力がある。
平良は平均球速140キロ後半をたたき出す投手で、さらに、切れのある変化球でしっかりと投球を組み立てられる投手で、完成度は高い。初戦敗退だが、スカウト陣の評価は高い。尾形も、夏前に150キロを計測。どの試合でも、140キロ中盤のストレート、落差鋭いカーブ、切れのよいスライダーをコンビネーションに安定したピッチングが期待できる投手だ。山口は昨秋から最速149キロを計測していたようにスピード能力は非常に高い右腕。この夏は151キロを計測。切れの良いスライダーの精度も高い。岡林は好不調の波は大きいが、それでもはまった時の速球は威力抜群。夏の大会では4本塁打を打っている長打力も必見。大きく育てていきたい投手だ。
最速149キロ左腕・櫻井 周斗(日大三)は、今年の高校生では希少価値が高い本格派左腕。コンスタントに140キロ中盤をたたき出す馬力の大きさに加え、分かっていても打てない縦スライダーはプロでも大きな武器となりそう。チェンジアップに磨きをかけるなど、投球の幅を広げようと工夫している点もプラスといえるだろう。同じ左腕でいえば、U-18代表として大会最多奪三振を記録した田浦 文丸(秀岳館)は、田口 麗斗(巨人)、堀 瑞輝(北海道日本ハム)の成長曲線を描きそうな実戦派左腕。140キロ中盤の速球、分かっていても打てないチェンジアップ、スライダー、カーブを巧みに投げ分ける投球術は高校生としてはハイレベルだ。
有力投手を北から紹介すると、甲子園で最速148キロのストレートに加え、130キロを超えるカットボール、スプリットボールで勝負する剛腕・阪口 皓亮(北海)は大化けの可能性を持った逸材だ。最速149キロ右腕・吉住 晴斗(鶴岡東)、最速145キロの速球と切れ味鋭い変化球で、この夏の秋田大会で37イニングを投げ、44奪三振、防御率1.95の藤井 黎來(大曲工)、佐渡島初のプロ野球選手を目指す菊地 大稀 (佐渡)も躍動感あるフォームから繰り出す140キロ台のストレートは実に球質が良い。難波 侑平 (創志学園)は、140キロ後半の速球、複数の変化球を投げ分け、器用なピッチングができる投手だ。もちろん広角に長打が打てる打撃も魅力だ。田中 優大(羽黒)は、入学当初、外野手だったが、地肩の強さと上背の高さが見込まれ投手転向。長身から投げ込む速球は常時140キロ前後だが、投手歴が浅く、実戦力を突き詰めていきたい素材だ。

- 副編集長 河嶋 宗一
- 出身地:千葉県
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