Column

【小関順二のドラフト指名予想】埼玉西武ライオンズ編 「望まれるのは投手陣の補強」

2017.10.18

埼玉西武ライオンズ 今季戦績

 143試合 79勝 61敗 3分 勝率.564 パ・リーグ2位(10月10日現在)

今の西武に望まれる補強は投手だ

【小関順二のドラフト指名予想】埼玉西武ライオンズ編 「望まれるのは投手陣の補強」 | 高校野球ドットコム
石川翔(青藍泰斗)

 リーグ4位だった昨年とくらべ、17年はいろいろな部分で違いが表れた。攻撃面では盗塁数が97(リーグ4位)→129(1位)、犠打数が80(6位)→93(6位)と増え、投手面では与四球数が524(6位)→403(1位)、被本塁打数が78(1位)→125(3位)と変遷している。積極的に仕掛ける攻撃陣、与四球、被本塁打数の増価は逃げずに勝負に行っている投手陣の攻撃的な姿勢を表していると言える。

 この野手と投手どちらの補強が今の西武に望まれているかだが、私は投手だと思う。清宮幸太郎(早稲田実)は高校時代、ほとんど一塁だけ守ってきた。昨年西武で50試合以上一塁を守ったのはメヒア73、山川穂高66、浅村栄斗55と3人もいて、いずれもリーグを代表する強打者。ここに清宮が入るとチームのバランスがさらに悪くなることは確実。

 中村奨成(広陵)も捕手がチーム内に炭谷銀仁朗(来季31歳)、岡田雅利(29歳)、森友哉(23)と揃っていることを考えると指名しづらい。安田尚憲履正社・三塁手)は中村剛也の年齢的な衰えが見え出している今、貴重な人材だが、ポスト中村は外崎修汰呉念庭と候補がいないわけではない。そう考えると、来年オフに勃発してもおかしくない菊池雄星のメジャー移籍騒動に備えるほうが賢明である。

 私が推したいのは石川翔青藍泰斗)だ。150キロを超えるストレート以外でも、ストレートと同じ腕の振りから放たれるスライダー、カーブ、チェンジアップのキレ味が素晴らしく、緩急ともコントロールを備えている。14年以降、高橋光成前橋育英)、今井達也作新学院)という北関東の高校の本格派を1位指名し、2人とも大成する雰囲気を漂わせていて北関東との相性もバッチリ。高橋光、今井、石川が順調にチームの柱に育つという前提で話を進めると、ここに多和田真三郎が入れば先発の骨格はだいぶ強化される。

[page_break:リリーフ陣も要補強]

リリーフ陣も要補強

 リリーフ陣も要補強である。17年は勝利の方程式を形成する増田達至牧田和久がいずれも防御率2点台で完璧とは言えなかった。このポジションは増田、牧田もそうだったように社会人から好人材が入っている。嘉弥真新也森原康平佐藤達也増井浩俊武田久谷元圭介石崎剛森福允彦岩瀬仁紀秋吉亮……などなどだ。

 2位以内で残っていそうな社会人では、西村天裕(NTT東日本)、柏原史陽(JX-ENEOS)、永野将司(Honda)、谷川昌希(九州三菱自動車)などが挙げられる。

 西村は1位候補と言ってもいい豪腕なので、残っていればラッキーくらいな感じで挙げた。バランスの取れたフォームから150キロを超えるストレートを投げ、打者手元で小さく落ちるツーシームのような変化球も有効である。

 永野は左腕のスリークォーター西村を超えるストレートを投げる。スピードガン表示の低い大田スタジアムで投げ合ったときは最速148キロの西村に対して永野は152キロだった。速いことは速いが前肩の開きが早く、投げに行くときのヒジの位置が低いというのが課題の未完の大器で、チーム内では短いイニングを投げるリリーフ役をまかされているので、西武の需要には合っている投手だ。左腕というのも魅力。

 10月に行われたアジア選手権で活躍してその存在が脚光を浴びているのが谷川昌希(九州三菱自動車)だ。同選手権では強豪が相手になるスーパーラウンドでの好投が光った。韓国戦が先発で8回投げて無失点、決勝のチャイニーズタイペイ戦が9回にリリーフ登板して1回を無失点に抑え、総合成績は3試合(先発2、リリーフ1)に登板して12回を7安打、16三振、1死球という完璧な内容で無失点に抑えた。150キロ近い快速球は今風に言えば回転がよく、スライダーのキレもプロレベルだ。

(文・小関 順二

▼プロ全12球団ドラフト分析はこちらから
広島東洋カープ
横浜DeNAベイスターズ
阪神タイガース
読売ジャイアンツ
中日ドラゴンズ
東京ヤクルトスワローズ
福岡ソフトバンクホークス
埼玉西武ライオンズ
東北楽天ゴールデンイーグルス
北海道日本ハムファイターズ
オリックス・バファローズ
千葉ロッテマリーンズ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.18

【岡山】センバツ出場の創志学園は2回戦から登場! 2回戦で昨年夏の決勝戦と同じカードが実現の可能性も!<春季県大会地区予選組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード