【小関順二のドラフト指名予想】埼玉西武ライオンズ編 「望まれるのは投手陣の補強」
埼玉西武ライオンズ 今季戦績
143試合 79勝 61敗 3分 勝率.564 パ・リーグ2位(10月10日現在)
今の西武に望まれる補強は投手だ
石川翔(青藍泰斗)
リーグ4位だった昨年とくらべ、17年はいろいろな部分で違いが表れた。攻撃面では盗塁数が97(リーグ4位)→129(1位)、犠打数が80(6位)→93(6位)と増え、投手面では与四球数が524(6位)→403(1位)、被本塁打数が78(1位)→125(3位)と変遷している。積極的に仕掛ける攻撃陣、与四球、被本塁打数の増価は逃げずに勝負に行っている投手陣の攻撃的な姿勢を表していると言える。
この野手と投手どちらの補強が今の西武に望まれているかだが、私は投手だと思う。清宮幸太郎(早稲田実)は高校時代、ほとんど一塁だけ守ってきた。昨年西武で50試合以上一塁を守ったのはメヒア73、山川穂高66、浅村栄斗55と3人もいて、いずれもリーグを代表する強打者。ここに清宮が入るとチームのバランスがさらに悪くなることは確実。
中村奨成(広陵)も捕手がチーム内に炭谷銀仁朗(来季31歳)、岡田雅利(29歳)、森友哉(23)と揃っていることを考えると指名しづらい。安田尚憲(履正社・三塁手)は中村剛也の年齢的な衰えが見え出している今、貴重な人材だが、ポスト中村は外崎修汰、呉念庭と候補がいないわけではない。そう考えると、来年オフに勃発してもおかしくない菊池雄星のメジャー移籍騒動に備えるほうが賢明である。
私が推したいのは石川翔(青藍泰斗)だ。150キロを超えるストレート以外でも、ストレートと同じ腕の振りから放たれるスライダー、カーブ、チェンジアップのキレ味が素晴らしく、緩急ともコントロールを備えている。14年以降、高橋光成(前橋育英)、今井達也(作新学院)という北関東の高校の本格派を1位指名し、2人とも大成する雰囲気を漂わせていて北関東との相性もバッチリ。高橋光、今井、石川が順調にチームの柱に育つという前提で話を進めると、ここに多和田真三郎が入れば先発の骨格はだいぶ強化される。
[page_break:リリーフ陣も要補強]リリーフ陣も要補強
リリーフ陣も要補強である。17年は勝利の方程式を形成する増田達至、牧田和久がいずれも防御率2点台で完璧とは言えなかった。このポジションは増田、牧田もそうだったように社会人から好人材が入っている。嘉弥真新也、森原康平、佐藤達也、増井浩俊、武田久、谷元圭介、石崎剛、森福允彦、岩瀬仁紀、秋吉亮……などなどだ。
2位以内で残っていそうな社会人では、西村天裕(NTT東日本)、柏原史陽(JX-ENEOS)、永野将司(Honda)、谷川昌希(九州三菱自動車)などが挙げられる。
西村は1位候補と言ってもいい豪腕なので、残っていればラッキーくらいな感じで挙げた。バランスの取れたフォームから150キロを超えるストレートを投げ、打者手元で小さく落ちるツーシームのような変化球も有効である。
永野は左腕のスリークォーター西村を超えるストレートを投げる。スピードガン表示の低い大田スタジアムで投げ合ったときは最速148キロの西村に対して永野は152キロだった。速いことは速いが前肩の開きが早く、投げに行くときのヒジの位置が低いというのが課題の未完の大器で、チーム内では短いイニングを投げるリリーフ役をまかされているので、西武の需要には合っている投手だ。左腕というのも魅力。
10月に行われたアジア選手権で活躍してその存在が脚光を浴びているのが谷川昌希(九州三菱自動車)だ。同選手権では強豪が相手になるスーパーラウンドでの好投が光った。韓国戦が先発で8回投げて無失点、決勝のチャイニーズタイペイ戦が9回にリリーフ登板して1回を無失点に抑え、総合成績は3試合(先発2、リリーフ1)に登板して12回を7安打、16三振、1死球という完璧な内容で無失点に抑えた。150キロ近い快速球は今風に言えば回転がよく、スライダーのキレもプロレベルだ。
(文・小関 順二)
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