Column

西日本最強スラッガー・安田尚憲(履正社)の勢いが止まらない!

2017.07.27

 西日本最強スラッガー・安田尚憲。この夏、その称号に相応しい活躍を見せている。現在、6試合に出場して、15打数11安打3本塁打13打点、10四球 打率.733 出塁率.840と驚異的な打撃成績を残している。なぜその成績を残せるまでになったのか。

この夏の安田の打撃は全く次元が違う

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安田尚憲(履正社)

 隙が見当たらない。安田の打撃を見た方はそう感じたのではないか。そして西日本最強スラッガーという評判に異論をはさむ方はいないだろう。それぐらいこの夏の安田のバッティングは次元が違う。それが実現できているのは安田自身、自分が求める打撃のレベル、内容が非常に高いからだろう。

 昨秋、公式戦16試合で、打率.420、4本塁打、22打点に圧倒的な打撃成績を残していても満足することなく、打ち損じをして、凡退した打撃を悔いる安田の姿があった。そして今年の選抜では17打数7安打、1本塁打、7打点と好成績を残し、選抜準優勝に貢献。大会後半にかけて状態を上げていったのはさすがだった。そして夏、選抜よりも一回り成長した安田の姿があった。

 まず1回戦の常翔啓光学園。第4打席だった6球目の低めのチェンジアップを引き付けて、ライトスタンドへ飛び込む夏第1号。しかも僅か5秒ほどライト上段に打ち込む驚異の打球速度だった。

  

 そして4回戦の今宮戦では外角低めの変化球を拾って、レフトスタンドへホームランを放った。逆方向への本塁打は昨秋から求めていた本塁打。低めの変化球を体を開かずに打ち込む技術を身に付けた安田の勢いは止まらず、準々決勝の大体大浪商戦でも圧巻のバッティング。

 1回裏、1対0で履正社がリードの場面で、安田は無死一塁で第1打席を迎えた。2-2からだった。左腕・宮本 大勢が投じた甘く入ったスライダーを見逃さず、振り抜いた打球は、右中間スタンドへ飛び込む今大会第3号2ラン。これも非常に速い速度で入ってしまう本塁打だった。第2打席は。続く第2打席。宮本はオールスライダー勝負。安田はスライダーに体が開くことなく、今度はレフトフェンス直撃の適時二塁打。左投手が左打者を抑えるためにスライダーを投げるのは定石ともいっていいが、そのスライダーを逆方向のフェンス直撃にしてしまう安田の技術の高さは超高校級だ。そして第3打席は圧巻だった。第3打席に立った安田はカウント1ストライク3ボールからの5球目。高めの直球を振り抜いた打球はライトへ場外ファール。安田自身、手応え十分と感じたのか、ゆっくりと打球の行方を追っていた。結果は見逃し三振に終わったが、ここまでの打席を振り返ると、よくボールが見えており、構えから窮屈さがなく、非常に良いタイミングでボールを見ることができている。

 そしてスイング軌道を見ても肩口から振り出して、インパクトまでロスのないスイング軌道でボールを捉えることができており、スイングスピードも非常に速く、規格外の打球を飛ばすことができているのだ。この夏、打ち損じが非常に少ない。安田は良い精神状態で打席に入ることができているのではないだろうか。それが、うまく打撃技術と連動している。

 次の相手は大阪桐蔭に決まった。大阪桐蔭の投手陣はほぼ全員140キロ台の速球を投げ込む好投手ばかり。安田を打たせないためにかなり厳しいマークをすることだろう。そのマークを乗り越え、安田はチームの勝利に貢献する一打を打つことができた。今回の進化はすべては大阪桐蔭に勝つため。ドラフト上位候補として評価される安田にとっては今後の野球人生を占う試合にもなりそうだ。

 2日後の29日、西日本最強スラッガーの勝負の4打席に注目だ。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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