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秋よりも遠くへ飛ばすためのパワートレーニング  ― 野手編 ―

2015.01.31

 投手のパワートレーニングに続き、野手のパワートレーニングです。野手に求められるパワートレーニングの定義について。またパワートレーニングの前に行う機能的なトレーニングとパワートレーニングの紹介をしていきます。打撃の動作の仕組みを知り、今よりも飛ばせる打者へ進化しましょう!

バッティングにおけるパワートレーニングの定義

 前足を踏み込んでから速く回転することによりパワーを発揮出来る

 パワートレーニングにおける定義を説明します。
・バッティングの加速期をまず知ること
・踏み込み足が接地してから、腰を一気に回転させるので、バッティングの動作は一気に速くなる
・この時に力を発揮しているかがバッティングのパワーポイント。
・同じ距離を移動するのであれば回転動作に一気に力を加えて動作を速くすることと加速させてあげることが必要。
・この速度と回転時間が速ければ速いほど大きいパワーを発揮。
この定義を知って、パワートレーニングを行っていきましょう。

運動エネルギーの伝達

 下半身から上半身につなげて、バットにつなげる作業が重要

 ・バッティングは、下半身のパワーを上半身につなげて、腕につなげて、バットにつなげて、全身の運動エネルギーで蓄えたエネルギーをボールに伝えてボールが飛んでいく作業が重要です。
 そのことを理解しながら、トレーニングを臨むことで、効果はがらりと変わってくるでしょう。

バッティングの専門的パワートレーニング

 年齢別でトレーニングを考えることの重要さ

 トレーナーはトレーニングを組み立てる上で大事なポイントは年齢別で何が伸びるかを考えています。
・小学校、中学校の場合は体重が多い選手ほど打球は飛んでいき、高校レベルになってくると筋力量が多い選手ほど打球は飛びます。
今回覚えておきたいのは年齢別によって伸びてくる場所は異なりますので、バッティングの伸びるフェーズと年齢で伸びてくるようなパフォーマンスをそこを照らし合わせていくとキレイな形で成長段階と一緒にパフォーマンスが伸びてくると思います。

[page_break:アンチローテーションのトレーニング]

体幹の固定力(アンチローテーション)のトレーニング

 野球をやる前に大事な体幹の固定力のトレーニング

・最初に関節の動きや固定、体そのもの機能的な部分を鍛える。
・あともう1つ大事になってくるのがアンチローテーション。野球のパワートレーニングを行う前に体幹の固定力を鍛えるトレーニングが必要。
・狙いは体の突っ込みを防ぐこと
・「体が突っ込む」と上半身の回転のパワーが発生する前に肩のラインが動いてしまうと下半身のパワーを全部出し切る前に先に上半身のパワーが発生していることになりますこれは完全にエネルギーロスとなり、「体が開いている」とも言います。
前に突っ込まないようにするには体幹の固定力が大事になってきます。このトレーニングを今から4つ紹介していきます。

Tの字ローテーション

 とにかく姿勢を固定する意識で

 腕立ての形に近い「プランク」という姿勢を取って、右腕を上方に伸ばす姿勢を取ります。この時に気を付けてほしいのが、地面の反力に負けずに体幹を固定する意識で、横から見てTの字になっているかを意識しましょう。

Tの字ローテーションのマニュアルレジスタンス

 押されてもTの字の形を倒れないように維持をする

 ・Tの字の動作を45°まで浮かしてこの状態で体幹を意識して、固定する意識で、後ろから押してもらっても、体が倒れないようにしっかり軸をキープして固定していきましょう。
・瞬間的にグっ、グっとリズミカルに押す意識で、野球のパフォーマンスは瞬間的に入りますから瞬間的に体幹をグっグっと固定できるようにしてやるようにしてみてください。

ニーリングスタビリティ

 立膝の時でも体幹は固定する意識で

・立てひざで脚を広げた状態で体幹を真っ直ぐ固定した状態にして3キロのメディシンボールを持ち、ボールを左右に揺らすトレーニングです。
ポイントは体幹がブラつかないように固定する意識が大事です。
これが終わったら両腕を前方に伸ばした状態で、パートナーに押してもらい、体幹を固定する意識で行いましょう。瞬間的にグッグッと力を入れる野球の動作につながりますので、リズミカルに押しましょう。

【1月特集】変身!パワー系球児

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[page_break:実戦に近いパワートレーニングとまとめ]

シングルスクワットのアンチローテーション

 片足だけスクワットの状態のまま体幹を固定するトレーニング

・意識するのは、つま先、ひざ、股関節を真っ直ぐにして体幹をしっかり固定してこのまま揺らしていきます。これができたら押してもらって、壁をつくる意識で固定します。
・ここまで持ってきてしっかりアンチローテーションの機能が整ってからパワートレーニングに入っていくということをしっかりと意識しましょう。

股関節の回転のトレーニング

 股関節の回転のトレーニングを3つ紹介!

1.チューブを使い、立膝の状態のまま回転動作
左側にスイングをしていく形をとっていきますそして立膝をつくります。
骨盤の横に手を置いて、骨盤を下に回す。下半身の骨盤のラインに負荷がかかっているかをチェック。

2.バランスボールを使った回転動作
バランスボールを使い、踏み込み足のローテーションのトレーニング。骨盤に手を当てて回転します。

3.立ち上がっての回転動作
腰に手をあてて、ここから膝のパワーも全部、母指球に力を入れて股関節を素早くひねり、さらに母指球を地面に蹴りましょう。
・ワンステップ付け加えても良いので、踏み込み足を強く踏むことによって地面の反力をもらうことができます。

運動連鎖を意識したトレーニング

 メディシンボールを使った、完全に実践に近いパワートレーニング

・下からエネルギーをもらって、そこからパワーを使って前に突っ込まないように体を回転させて実際にボールを投げていくトレーニング
・前かがみの姿勢をつくった時、ゴルフの形に近い。(野球の動作ならばテイクバックを取って、トップに入った状態)
・この時に余計な動きは入れないように注意すること
・下半身を捻る時、体幹を下半身のラインに沿って捻るが出来る所まで、捻って投げる。ブレないように、軸をしっかり固定すること
・これまでに行ったトレーニングを結合することが大事
・自分の筋力以外のものをしっかりと他にも使ってパフォーマンスにつなげる意識で
・打撃の動作の時、構えた状態から脚を上げる。その時、体を割る意識で。割ることによって筋肉が伸びてくる。
・伸びた力を使って回転度を高める。
・脚を上げる理由は、踏み込み足が着いた時踏み込みの加速を使ってより反力が欲しいから。
・体幹を捻る理由は、伸張反射といって筋が伸びることによって腱(筋)はより速く縮んでいく。自分がもっている筋力よりもより強いパワーを発揮することができる。
・動作のまとめとして、構えて→脚を上げて→体を割って→投げる
これらの動作をより強い動作をしながらも、体幹をブラさないようにして大きくひねって、投げる意識を心掛けましょう。

下半身の回転速度を落とさない打撃のテクニック

 打撃動作で必要な下半身の回転動作の速度を落とさないようにするには

・腰の回転動作をどういう意識をすれば速くなるかを知ること。
・連鎖でパワーを増幅させていくには、加速期を接地した時に一気にズバっと回すことが大事
・手を広げると回転のスピードは遅くなるので、慣性が大きくなる。
・手の広がりが小さいほど慣性モーメントが抑えられるので、脇を締める動作も大事。
・ヘッドが倒れると、慣性モーメントが大きくなり、ヘッドが倒れて回転動作が遅くなる。バッティングのパフォーマンスでは一番ダメな動作。
・バッティングは加速する場所がポイントで、野球はピッチングもバッティングも接地してから。
・接地して、つま先が着いて回転動作に入る瞬間が一番加速がかかってパフォーマンスの重要性が高いところ。
・慣性モーメントを小さくして回転を無駄なく出してあげることが野球のパフォーマンスを上げるためのテクニック。

障害予防のためのパワートレーニング

 意外と見落としがちな逆動作のトレーニング

・障害予防のためのパワートレーニングは今まで行ったトレーニングの逆動作が大事。
・バッターの場合、振ってインパクトを迎える瞬間は力がすべて集約されている。
・当たった瞬間にフォロースルーになり、別名「減速期」という。
・打撃動作は加速期 ⇒ 減速期の流れで行う。減速することによってパフォーマンスは最後は止まる。
・筋力をつけないと減速することができないので、筋肉を付けることが重要。
・逆動作の大きいパワーを発揮できれば、減速が出来るので障害予防につながる。

パワートレーニングのまとめ

 オフに行い、3月に成果を発揮しよう

・筋力をつけること
・野球の動作を知ること
・動作を知り、どこで加速をするのかを知り筋力を発揮する場所を知り、その部分に力を加えることそれを速くして行う結果がパワートレーニング。
・速度をもらってエネルギーを発生させてそれを伝えて大きいパワーに変えていく
・その大きいパワーを受け止めるだけの逆側のパワーが無いとケガをするので、逆動作のトレーニングも大事
シーズンオフは長いからこそ、パワートレーニングを行い、3月に成果を発揮していきましょう。

【1月特集】変身!パワー系球児

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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