クイックネストレーニング ドリル説明編
四国アイランドリーグ・徳島インディゴソックス、ストレングス&コンディショニングトレーナーの殖栗正登です。これまで、クイックネストレーニングの解説をしてきましたが、今回は、トレーニングやスピードドリルの紹介をしていきます。
加速を磨くトレーニング
野球におけるスピードとは、一塁までの駆け抜けと盗塁というイメージが強いでしょう。野球の塁間は27m。その間をいかに早く駆け抜けるかというスピードがポイントです。
単純な話ですが、30mスプリントと10mスプリントは強い相関性があります。10m走はほぼ「加速」能力。最初の3歩~5歩でスピード相関があります。要はいかに少ない歩数で加速して、スピードにのるかにかかっている「加速」が大切となってきます。
上記をふまえて、加速力を磨くトレーニングの解説を行っていきたいと思います。
【A】
体組成的には、
1.高強度トレーニングで速筋繊維に刺激を加える。
→そのためには高い強度の負荷をかけて、速筋繊維の動員を増やさなくてはならない。
2.体脂肪は6%~10%、しかし野球選手は14%位か理想。
→これはピッチングやバッティングには体重があった方が優位だからである。
徳島インディゴソックスにもリーグ盗塁王がいます。体脂肪は10%ですが、身体能力はずば抜けています。ただ、やはりバッティングに目を向けると、長打力はありません。このように、体脂肪とスピード、バッティングとの相関関係が見えてくると思います。
【B】
加速とスピードはピッチを高くして、ストライドを開けていくことがトレーニングの基本です。このためには、第一選択肢としてフォームを改良するということがあります。いかに地面を効率的に「プッシュ」できるかが、ポイントです。ここは以前紹介した動画をみてください。基本は、
1.真っ直ぐ立って地面反力を最大にもらえる形を作る。
2.ウォールドリルでドライブ期の「プッシュ」をイメージ、とくに加速にはこの「プッシュ」が大切
3.ハードルドリルでは「プッシュ」と「リカバリー」「アーム」を意識する
4.バードリルでストライドを開けていく
5.「1・2・3」のかけ声で加速をイメージ
6.アームドリルで腕の使い方をドリルする
のような動きになります。
加速とスピードのテストと評価
【C】加速とスピードのテストと評価
1.野球としては10m、30m、50m、100mのスプリントテストを行う。
2.スピード持久力
→120ヤードダッシュで、40ヤード~80ヤードと80ヤード~120ヤード間のタイム差が0.2秒以内、40ヤードダッシュ10本を30秒レストで最高と最低が0.4秒以内(1ヤード=0.91m)
3.ストライド巾
→1.14×身長(インチ)(1インチ=2.5cm)
4.筋力
→スクワットを体重比率1:2.5以上
5.筋バランス大腿四頭筋とハムストリングが10:7~9、50%以下はダメ
6.柔軟性
→SLRとオーバーヘッドTestクリア
【D】
「加速とスピードのトレーニング」の前にベースの筋力とパワーのトレーニングが必要となります。6~12週にかけて、最大筋力の60%から始めていきましょう。種目としては、
1.爆発的トレーニングとして(A)クリーン(B)ジャック(C)スナッチ
2..脚 (A)スクワット(B)フロントスクワット(C)ランジ(D)フロントスクワット
3.背部 (A)デッドリフト(B)ラットプル(C)ベントロー
4.肩、腕、胸 (A)ベンチペレス(B)インクライン・ベンチプレス(C)ナローグリップベンチプレス(D)ショルダープレス
(E)アームカール(F)トライセプスエクステンション
5.ハムストリングス (A)シングルデッドリフト(B)レッグカール
【E】プライオメトリック
このトレーニングはピークパフォーマンスを作るために期分けを用います。
筋力トレーニングの次に接地時間を短くして筋力を発揮します。
プライオメトリックトレーニングを行います。このトレーニングは以前の第74回、第75回、第76回の動画を見てください。
【F】スプリントローディング
スプリントローディングは加速の爆発的動作をきたえることに役立つトレーニングです。
1.ヒルスプリント勾配8~10度 10m、30m、50m
2.階段スプリント
3.荷重ウェイトひき
4.荷重ウェア
スピードドリルの紹介
【G】スピードドリル
1.バウンディング
2.アウトサイドバウンディング
3.インサイドバウンディング
4.バットキッカー(踵を臀部に)
5.スタート&スプリント10m
6.ステップ・アップ・スプリント(ジョグ10m、次の10mでステップを多く踏むをくり返す)
7.ウォールサイクリンフ
8.ダウン&オフ(シングル)
9.フロントプル スルー
10.スティンクスプリント 45cmずつ、20本ひろげていく
11.インターナルタッチ
12.アウターナルタッチ
【H】スピード持続力
野球には三塁打とランニングホームランがあります。ここはスピードの持続力が必要で、私は100mインターバルランとPCランを行っています。
【I】アシステッドスプリント
1.(ア)ダウンヒルスプリント:3~7度の勾配の坂50mを下るか (イ)20mのスプリントを行う 15m坂=>20mスプリントでもOK
2.チューブ牽引
→(A)チューブを20m位のばして2回は4分の3のスピードで、3回をハイスピードで、2回ハイニーで、2回をサイド、2回をハック、2回をクロスオーバーで行う。
→(B)2人で行う時は1人が抵抗に逆らって30mスプリントもう一人はハイスピードスプリント10本、これをシーズン中は1~2回、オフトレーニングは2~3回行う。
【J】トレーニングプログラム
(a)加速&スタート
1.盗塁のスタートダッシュフォーム 2.プライオメトリック 3.筋力トレ 4.パワートレーニング 5.ファンクショナルトレーニング 6.スプリントローディング 7.アシステッドスプリント
(b)ストライド 1.ファンクショナルトレーニング 2.パワートレ 3.筋トレ 4.プライオ 5.スプリントローディング 6.アシステットスプリント 7.フォーム
(c)ピッチ 1.筋力トレ 2.アシステットスプリント
(d)スピード持続力 1.フォームトレ 2.持続スプリント 3.スプリントローディング
になってくる。
今回は直線的スピードトレーニングと加速のトレーニングを紹介しましたが、とくに高校一年生はスピードがどんどんついてくる時期です、頑張ってください。