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ピリオダイゼーションと夏の大会に向けての調整法【前編】

2016.06.04

 みなさんこんにちは。殖栗 正登です。今回は高校野球においてより高いパフォーマンスへと導く効果的な計画の立て方の作成方法をお話ししようと思います。

 ピリオドは本来、期間という意味であり、トレーニングにおいては特定の「期」を表し、トレーニングプログラムにおいては「ピリオダイゼーション」=「期間分け」と言います。

年間のピリオダイゼーションプラン

計画的にトレーニングを行うことが重要

 高校野球の場合は、「春」「夏」「秋」と年間3つの大会にピリオダイゼーション(期間分け)できる。まず第1サイクルは、11月から3月にかけて行われる春の大会と甲子園。第2サイクルは4月から7月に地区予選から始まり甲子園まで。そして第3サイクルは8月から9月にかけて行われる秋の大会になる。

 1番長いのは第1サイクルで、長い準備期間がある。そして第2、第3と短くなる。なので、第1サイクルはいかに一般的、専門的に準備期間をしっかり鍛えあげれるかが年間トレーニングプランを成功させるカギである。

年間計画におけるトレーニング期の特性

【準備期】
準備期は年間トレーニング全体において非常に大切だ。なぜなら次の試合期のための身体的、技術的、戦術的、心理的準備の一般的な骨組みを成すからである。

 この準備期で不適切なトレーニングが実施されると、トレーニングで改善されるべき基本的能力が低いまま残り、試合期に好ましくない影響が起きてくる。なのでこの時期に多量のトレーニングを行うことが大切で、次の専門的トレーニングに対しての基礎を作ることにもなる。

ポイントは、
(1)一般的体力の向上
(2)スポーツに必要とさせる専門的体力向上
(3)スポーツに特異的な心理特性の開発
(4)技術の開発、改善、完全化
(5)次の期において必要とされる基本的戦術への慣れ

 この時期は3~6ヶ月は必要であり、独立リーグの場合この時期が短くてやはり身体的に長いシーズンを戦うのに無理がきて故障の原因にもなりました。

 準備期は、一般的準備期と専門的準備期間の2つに分かれ、一般準備期の目標は、トレーニング能力と一般的なコンディションの養成、基礎技術の改善及び基本的なゲーム戦略の指導となる。

 専門的準備期は、試合期に向けての移行期であり、トレーニング目標は一般的準備期と同じであるが、トレーニング内容はより専門的となる。トレーニング量は意外と多いが、ほとんどのトレーニング(7~8割)は、スキルやテクニックに関連した専門的エクササイズで成り立っている。この期の終盤に向かってトレーニング量を徐々に落としながら、反対に強度と質を上げていくといいだろう。

 アジリティ量、スプリン量、ジャンプ量やローテーション量を増やしていきながら、全体の量は落として野球そのものに必要な専門的トレーニングに集中しよう。

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[page_break:年間計画におけるトレーニング期の特性(試合期~移行期)]

年間計画におけるトレーニング期の特性(試合期~移行期)

【試合期】(大会2週間前の調整法)
試合期においては、トレーニング要素を完成させることが主要な課題となる。
これを達成させればアスリートは能力を改善させ、ゲームや選手権において成功を収めることができる。

 その目標は、
(1)スポーツの特異性に対応した身体的、心理的能力の改善
(2)技術やテクニックの完成と結合
(3)戦術の完成とゲーム経験の獲得

 大会前には、短期のテーパリング、すなわち負荷軽減期を設定する。
テーパリングの目標は、ピークパフォーマンスと年間のベストパフォーマンスを促すことである。

 運動量を半分に下げて2週間前の水曜日と金曜日に強度を80パーセントにあけて、他は60パーセントに下げる。試合の1週間前は、火曜日にピークを作り、強度70パーセントの量に、そこから水曜日は60パーセントの強度、木曜日は50パーセント、金曜日は40パーセントと落としていく。

 ある程度スピード&パワー系の野球は、強度を高くする必要があるが、量は半分にしていくのがテーパリングのポイントとなる。

【移行期】
トライサクルの場合、2週間ほどの移行期を儲けるのが理想。移行期の目的は心身の疲労除去や心理的なリラックス、そして損傷部位の回復を図ること。移行期はトレーニング量は50パーセントに落としていくが、きちんとトレーニングは行うこと。なぜならば筋力は最初の1週間で約5パーセント低下するからだ。これは筋力に依存するスピード、パワー、クイックネスなども低下することを意味している。

 また、最初の2週間で持久的能力は約7パーセント低下する(ヘモグロビン量30パーセント減少、ミトコンドリア50パーセント以上低下)。この低下を最低限に防ぐためにトレーニングを継続するが、これは形にとらわれない、サッカーやバスケ、テニス、バドミントンなどのスプリント、ジャンプ、持久力、スイング、クイックネスなどの要素が入ったスポーツなどを行うと良いだろう。

運動力のピリオダイゼーション

 ピリオダイゼーションの重要な要素は、手間を通して筋力、スピード、持久力のような主要な運動力をどのように鍛えるかということである。例えば、11月からのオフ期間に充分の筋肉量を上げて、筋力を上げないで2月にいきなりスピードトレーニングを行っても、すぐに能力の頭打ちが来てしまう。

 夏の大会に向けて、今もう一度身体を作り、野球に必要なパワー、スピード、クイックネス、持久力などを作り上げていきましょう!

 後編はトレーニングプログラムなども合わせたストレングスピリオダイゼーションについて解説する。


注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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